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僕だよ#2

前回からの続きです。
まだの方は先にそちらをどうぞ
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僕だよ#1



無事に司法書士のファインプレー本人確認を終えて、売買契約を交わすときに香田さんに確認。

「今月末に現金化したいって仰っていますが、今月末までに引っ越しできますか?あと、室内の不要物と駐車場に放置されている車の処分とかも二週間しかないけどできます?」
「ん?いやいや。それは無理でしょ」

イラ。。。簡単に無理っていうなや。
さっきまで必死に長男アピールしていたのに本人確認が無事に済んだとたんにこの態度か。
やっぱりサンポール取ってこようか。。。


「いや、無理でしょじゃなくて物件の引き渡しと同時じゃないとお金は払えませんよ?」
「え?いやいや。それはキツイ。うん。そうか。でもお金も無いしな。じゃあどうすればいいの?」


そうか、この価格で他社にいかれちゃまずいと思って二日で契約まで持ってきたけど、この人お金がないと引っ越せないもんな。
なんか交渉もスムーズすぎるし、ちょっと油断してた。
そこの見落としは反省だな。
でもこの態度の変わり様は一回くらいサンポールを飲ませてもいい気分だ。単純にムカつくwww


「わかりました。ではこの契約の手付金で200万払います。そのお金で引っ越しとか処分とかをお願いします。
念のために引き渡しは今月末じゃなくて来月の末にしましょうか?
病院代も手付金で支払って下さい」

「あ、そう?じゃあそれでいいかな。別に今月絶対にお金が必要ってことも無いし」
「じゃあそうしましょう。引き渡し期日の変更ですね。。」

その場で契約書の特約に引き渡し延長の内容を記入する。
引渡しが延びるのはこっちにとってはメリットでもデメリットでもある。
でもいっそ延びるならその間に出口も決めればいい。そうなりゃメリットしかない。

「あと測量ですが知り合いが居るって仰っていましたよね?」
「あ~はいはい。それなら大丈夫大丈夫。それよりも早く200万円ちょうだいよ」


イライラ。。。抑えろ俺。


「はい。契約書の署名押印後に指定の口座に振り込みますから」
「え?今この場で貰えるんじゃないの?振込みだとわざわざ銀行に行かないといけないじゃない」
「すみません。原則として振込みでのみの対応とさせてもらっています」
「あ~ぁ。仕方ないか。わかったよ」


渋々契約書にサインをする香田さん。

イライラするが早くここを出たい。
香田さんの体臭も口臭も嫌だが、老人が多い病院特有の化学製品と尿の臭いが混ざったあの何とも言えない空間から早く脱出したい気持ちでいっぱいだ。

香田さんの態度にイライラしトイレにサンポールを取りに行きたい気持ちもギリギリのところで抑えてどうにかこうにか契約も完了し、手付金も振り込んだ。

~~~~~~

ここで不動産豆知識。

たまに素人がこんな人に手付金を渡しても大丈夫?
って聞いてくる人が居ます。

A:仲介の時で残債がギリギリの時とかは慎重になります。
その場合は残債を消すという大義名分があり、買主さんの手付金を保全しないといけないという立場になりますから。
ただ、自社が買い取る時とかは逆に手付金を使い込んで引き渡しに間に合わないような状態になってくれればいいとも思います。更に今回は運がよくお父さんのガン団信のおかげで残債は無いし、病院面談時に司法書士に識別情報とかも全部預かってもらっているから、引き渡しまでの間に悪さをされて別担保の設定をされる恐れもない。更に特約とかでガッチガチに固めてるから引渡しに間に合わないようなら債務不履行で即違約金をガッポリ取れるし、その違約金を払えない様なら強制執行かけて上手くいけば買取価格よりも断然安・・・うn。。ゴホン。ゴホン。


あ~手付金が心配ダナー。フアンダナーーー。


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沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!