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いや、だからね#1

こんにちは。
株式会社REGATEの金城です。

本日も愉快な出来事を思い出したので披露します♪
いつもネタ切れになってると思いきや
「あ、そういえばこんな人もいたな〜」
と、ネタがどんどん出てきます。

不動産の仲介って毎回いろんなドラマがあります。
毎度毎度いろんな人が出てきては私を悩ませてくれます。。。

そんな感じの毎日ですが最近はnoteを更新するために不動産業を営んでいる感じになってきました。
お客さんの行動や言動で少しでもおかしなところがあれば即座にメモする癖もつきました。
不動産は副業でnoteが本業みたいな。。。

さてそんなことよりも本日は土地の分筆をテーマにした内容なので画像を見ながらお楽しみください。

今回は私が仲介の営業として新人だった時の反省点ばかりのお恥ずかしいエピソードをお披露目しますw

ではど〜ぞ〜


◆不整形地


ピコ〜ン♪
一件の査定依頼メール。

△◇市の土地か。

場所は。。。
うん微妙。
周辺の都市化に伴って人口が減少しているエリアだ。
人口が増え続けている沖縄で減少するってどうよ?という地域。うん微妙。


でも需要は無くは無いかな。・・・多分。
微妙・・・だよな。

価格の付け方を間違わなければ売れる場所だと思う。

謄本で面積を見ると少し広すぎる。
二つに割れたら住宅地としてちょうど良いかも。

さて、公図は。。。と


おう・・・なかなかの不整形地www
※右にはみ出した部分は実際はもっと大きな面積です。

いや、そこまで悪くもないけどとても中途半端な不整形。
接道を確保しながら二つに割るにしても歪な土地になるし。。。
さてどうやって価格をつけようか。

査定依頼者は大野さん。70歳男性。
息子さんがいつか使うかもと残しておいた土地だが息子さんは別の町に家を建てたらしい。
んでこの土地を売ってローンの足しにしてあげたいという親心による売却依頼。
本来は若いときに自分自身の自宅を建てようと買った土地らしく、その時の単価より少し高いくらいで売り出したいという希望。
沖縄の相場は上がっているから当時の土地の単価よりは高く売れるはず。
でも一筆で売るには広すぎて一般的な購入層が買える予算に収まらない。

できるだけ大野さんの期待に添えるようにしたいが形がな〜・・・

色々相談した結果、最終的にはこんな感じの分筆提案で売り出すことになった。

少し歪な形だが広すぎて買い手が付かないよりはいいだろうということに。
※簡略化した図ですが実際の土地は高低差とかもありかなりややこしい形でした。

旗竿の不整形部分は少し単価を抑えて、残った方でトータルの価格を回収するという提案。

これだと先に左側の間口の広い方が売れるかもしれないけど旗竿に2m取られるから間口6mの細長い土地になってしまう。
旗竿の部分は売れ残って苦戦するか。。。
いや。どっちもどっちか。

とにかくどちらの土地もお手頃感が出る価格に収まったし。
よしやったろう!


◆売り出しすれども


ネット広告もバッチリ♪
現地の写真も綺麗♪
現地看板も誘導看板もOK♪

早速売り出し。
ガンガン反響なってくれよ〜!






。。。あれ?

・・・売り出し当初って近所で探していた人が食いついたりするんだけどな。
びっくりするくらいに問い合わせがないw


ひと月が経ち、、、


ふた月が経ち。。。。

値段も近隣と比べてみても少しお手頃なのになぜ??
ご近所の方に話を聞いても忌み嫌われるような事故とかもないけどな。

なかなか問い合わせもないと言うことで頭を悩ませていると、現場の近くで長年不動産をやっている二桁のおじさんが教えてくれた。

「このエリアで家を建てる人にはこの分筆プランだと狭いって言われるよ。田舎だから広々とした土地を好むからね〜。かと言って分筆無しだと土地の形が悪いし広すぎる、2mの進入路ももう少し広げれたらいいのに。あとその一筆の価格だと土地を買える人が極端に少なくなるwこれの3分の2くらいの大きさだったらよかったね〜。嫌な形の土地だね〜wま、がんばんなさいやww」


なるほどね〜。
さすが地場二桁。
地域の買い手さんを熟知している。
でも嫌な形とか言うなよ。がんばっているんだよこっちは。
旗竿の2mの進入路を広げると残る土地のカタチが悪くなるし・・・


広さと価格のバランスか、、、
なんかギリギリアウトのラインをスレスレでアウトという感じだな。。。

とりあえず売り出して3ヶ月も閑古鳥なんだから大野さんに説明して一筆売りで単価を下げることを提案してみっか。


◆絶対ダメ


大野さんにアポをとって売値の調整を相談することに。

物件を預かるときには同席しなかった奥様が横に座っている。
初めましてという状態なのになぜか私に対して敵対している感じがビンビン伝わる。

減額して一筆売りという提案に対しては返ってきた答えは「NO」

大野さん自身は下げても問題ないような態度だが奥さんが絶対に値下げを許さないという姿勢だ。

「私たちが買った時よりも沖縄の地価は上がっているでしょ?なんでそんな安売りしないといけないのよ!売れないのはあんたの努力不足じゃないの?営業不足よ!とにかく安売りは絶対ダメ!」

いや、あのね。まぁ確かに沖縄県全体の相場は上がっているよ。
だけどこのエリア一帯はどんどん過疎化が進んで需要がなくなってきているんだよ。実際に売り出してみて骨身に染みてわかったんだよ。
ほら周りを見回しても畑と独居老人の古屋くらいしかないじゃない?
あまりにも不便だし、海も無いし観光客も寄り付かないしで若い人たちがなかなか好まないのよ。

周りの相場が上がろうがここみたいに需要が薄いところは薄いまんまなんだな。そうなると土地の価値が上がるはずもないんだよね。。。
ましてや土地の地形も悪いしちょっと厳しい。

努力不足。営業不足。。。か。
う〜ん。説明しても多分火に油だろうな・・・
まあどうにかなるだろう。とりあえずわからずやの奥さんは無視だなw

奥さんの剣幕に押されて価格を下げることは断念。
ではどうやって売ろうかと現地に赴いて土地と向き合ってみることにする。

にしても奥さん。
私、何かあなたにやりました?
全く思い当たる節がないんだが。。。


◆奇跡が起きる


現地で次なるプランを考えていると大きな高級車が横に停まった。

「あの〜この土地を扱っている不動産屋さんですか?」

まさかの現地での問い合わせ。
お客様の名前は森さん。
子供の学区の関係もありこの地域で探しているが、希望している建物の形状や庭の大きさなどの妥協ができずなかなか理想の土地に恵まれないという。
車が好きでガレージ付きのいい感じの建物を建てたいという希望らしい。

「もしこの形で売ってくれるならすぐに買いたいんですが地主さんに相談ってできるんですか?」

森さんの希望は上記の間口になる「a」の部分を買って×の部分はいらないという構想だ。土地の高低差や間口の大きさなどを考慮してこの形が理想と熱弁してくれた。

だがこの案は媒介当初から私の頭にあったが、間口aの地主は謄本上の住所には住んでいなくてアプローチができずに断念していたんだよな。
旗竿部分が無くなることで残地が売りやすくなる。
願ったりかなったりの提案だ。

「一度当たってみて断念したんですがやってみましょうか」
「はい。もしaが買えるならaの土地は後ろの土地の3倍出してもいいので」

お♪いいね、間口部分の重要な土地に3倍出すことを知っているなんて森さんは不動産に対しての感覚がいい感じの人だ。
※一般的に不動産は隣地は2倍の金額でも買えと言われている。これが土地の間口ともなると倍どころではなく3倍以上の金額を出しても買うべきだ。


少し風向きが変わったか?

自分では追えなかったけど家屋調査士に測量依頼をしてaの地主との立ち会いに同席すればもしかしたらもしかするかも♪
3倍の価格を出すとなれば地主さんも売る気になるっしょ♪

森さんは連絡先の名刺をくれてその場を後にした。
結構な大企業の役員さん。
aの土地と大野さんのはみ出した土地を合わせると土地代がすごいことになるけど問題なく払えそうだ。

あと、これがうまくいけば大野さんの残地に水色部分が加わって土地の広さがちょうど良くなる。何よりも間口が8m取れると残された土地のイメージがガラリと変わる♪

少し光明が差してきた気がする!
いいねいいね♪


一人興奮しているとまた不意に声をかけられる。

「あんたこの土地の不動産屋さんね?」



◆奇跡オン奇跡


不動産って不思議な現象が起きる。
なかなか売れずに困っていた案件が何かのきっかけで問い合わせが殺到したり、ここさえ承諾を貰えたらすぐに売れるんだけどな〜というネックになっているような案件で、ずっと不在で連絡が取れていなかった隣人がひょこっと現れてすぐに承諾したり。。。

今回声をかけてくれた人はまさにそのひょこっと現れた救世主。

「その土地(大野さんの土地)を売るときにここ(a)も一緒に売ってくれる?俺の土地なんだけどさ」


おおおおおおおお!!!!!
奇跡!

まさかの会えないひょっこり地主!

「価格は今売っているやつの2倍くらいでいいよ。間口だからそんなもんでしょ」

ぬぅおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

こっちは3倍払うつもりだったのにまさか向こうから下の金額を提示!

奇跡と奇跡が組み合わさっている。
このタイミングは絶対に決まるしかない!
いやこれでまとめられないなら不動産屋失格だ!

ひょっこりさんの本人確認をして媒介契約書を結び早速森さんに報告をする。


「早速当たっていただきありがとうございました。こんなに早く間口の地主さんと交渉できるなんて流石ですね。しかも価格も2倍に抑えてくれるなんて感激です。そのまま契約に進めてもらってもいいですか?」

地主さんが勝手に現れて自ら価格も下げてきたとは言わずに自分の営業努力に見せかけるのは営業マンのついてもいい嘘の一つだ。


すぐに大野さんにも報告。
売れ残る可能性が高かったはみ出した部分だけを購入してくれる人が現れ、残った残地も広くなりさらに売りやすくなる。
こんなにいい条件のお客さんはなかなか現れないということで大野さんもすぐに売却の承諾をしてくれた。


全てが順調♪
神がかっている♪
不動産の神に愛されている男とは俺のことだ!

おっと、ここで喜び勇んで見落としてはいけない落とし穴がある。

上記のように「a」「b」の売買契約を交わすがどちらか一方が「やっぱり売らない」とか「債務不履行で売却不可」とかになってしまうと森さんがこの土地を買うメリットがなくなる。

そこで『不可分一体の契約』としてまとめ上げることにした。
どちらかの土地を買うことができない事象が発生した場合は全ての契約が白紙になるという契約だ。

よしよし。落とし穴も塞いだし抜かりはない。

全てが順調♪
森さんの付き合いのある金融機関にも事前に面通しをして融資の裏付けも取れた。大野さんからも事前説明をして売渡承諾書も貰った。

いざ契約当日!

俺は神だ!

なんでも来い!!


◆え〜〜〜〜。。。



森さんの仕事の都合もあり二つの契約は同日に行うことになった。
まずaの契約を済ませてその直後にbの契約と言う段取りだ。


aの契約の時は談笑しながら森さんもひょっこり地主さんも笑顔で握手を交わし、終始朗らかな感じでことが進む。
aの契約が完了しひょっこりさんは手付金を持って事務所を後に。

残りはbの契約で大野さんが来店を待ち契約をするだけだ。


約束の時間を少し過ぎた頃に大野さんは現れた。
横にはものすごい形相をした奥さんがいる。
大野さんは今にも死にそうな青ざめた顔をしている。


・・・・なんだか不穏な空気。

さっきまでの朗らかな暖かい雰囲気は一瞬で吹き飛んだ。


「ねえあんた。ふざけないでくれる?なんなのこの条件?私は納得できないわ!最初から主人を騙して最後はこの仕打ち?」


奥さんが興奮して早口で大声で捲し立てる。


え〜〜〜〜〜。。。
マジかよ。

騙したって何??

長くなったので続きは次回。

次回予告
・奥さんは何に怒っている?
・不可分一体の契約はどうなる?
・アナゴさんの唇は整形?

の3本です!
乞うご期待♪

次回:いや、だからね#2

では〜


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!