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謄本公図#1

こんにちは。
(株)REGATEの金城です。

だんだんと暖かくなってきましたね。
こんな春うららかな季節には頭の中にお花が咲いているような人に出くわしますよね。
今日はそんなお花畑の人をご紹介します。
春の陽気に包まれながらほんわかとした気持ちでお読みください。

ではど~ぞ~



とある中古住宅を販売していた時の話。

ピコ~ン♪
お、問い合わせのメールだ。

【○○市の中古の住宅を見てみたいです。小林】

つい最近値下げをしたばかりのヤツだ。
いいね~

【小林様。お問い合わせありがとうございます。売主様居住中となっておりますので日程調整が必要となります。ご希望の日程をお知らせいただけますか?】

送信っと♪


売主さんが居住していて焦っていないからという事でじっくりと売っている物件だが、そろそろ決めたいな。


・・・・・。


一時間経過したが返事はない。

仕事の合間に問い合わせしたのかな?
電話番号の記載も無いし。。。

とりあえず返事を待つか。




翌日も翌々日も返事はない。


あれ?おかしいな?
メールが届いていないとか?


【小林様。先日お問い合わせを頂いた○○市の物件の担当ですが、メールはご確認いただけておりますでしょうか?ご希望日程をお知らせいただければ売主様と調整いたしますのでご連絡をお願いします】

再送信っと。


う~ん。メールだけでのやり取りだとたまにこういうことあるよな~。
もし届いていないとしたら再度問い合わせ来るだろ。

しばらく放置だな。
返事が来なければもういいや。





それから約一週間。
その住宅はいい感じの人は現れるもローンを通せなかったりでちょっと苦戦
していた。

そんな時。

ピコ~ン♪
問い合わせのメール

【今週末に中を見たいです。小林】

あ、小林。
こいつ前にシカトしたやつだ。メアドも一致する。

今度は週末指定か。
前よりは少し具体的だなw

でも前の問い合わせの返信をシカトした事を無かったことにして
普通に新規で問い合わせしてきているのがムカつく。
不動産屋は変な問い合わせをして来る奴をちゃんと登録しているんだからな。
おかげで俺のスマホには
「○○問い合わせクソ」
「○○案内うざい喋り方バカ」
「○○問い合わせ 二度と相手にしない」
「○○ キ〇害」
というメモリーが多数散見される。

さて、今週末か。
三日後だし売主さんの都合を確認。

「土曜は午後から外出予定なので午前中でしたら対応できます。日曜日なら今のところ空いています。」

「ありがとうございます!調整後に連絡差し上げます!」


【小林様。土曜日の午前か日曜日なら売り主様のご都合がいいとのことですがお時間はいかがなさいますか?】

送信っと。


・・・・・・。


うん、すぐには返信しないよね~。
わかってる。うん。


それから数時間。
返信はない。

また無視されるのかな・・・。

売主さんの都合も聞いた手前ここで無視されるのはちょっといやだな。



その日の夜。

ピコ~ン♪

【土曜日におねがいします。小林】

お♪返事来た!
でも時間は午前でいいの?何時?
いや、こんなタイプの人に何時?って聞いたらまた返信が来るまでやきもきしちゃう!
時間はこっちで決めるか。ちょうど9時にも別件で案内入ったし。

【ご連絡ありがとうございます。では土曜日の午前10時という事で大丈夫でしょうか?】

送信っと。
この時間に返事が来たんだから仕事で返せないということはないだろう。
というか土曜日でって返事来たってことは前回もメール届いていたって事じゃん!こいつ前回は無視したってことが確定か。。。


・・・。
うん。また返信なし。

なんか調子狂うな・・・


その夜は返事が来ないまま時間が過ぎた。


翌朝。
すぐにスマホを見る。

小林さんからの返事はなし。
なんか相手にするの嫌になってきたなw
案内明日なんだけど?


【小林様。再確認させていただきます。明日の土曜日。午前10時に現地で待ち合わせでよろしいでしょうか?】


・・・・。


結局、ヤツからの返事はなく、当日の10時にも物件に現れなかった。

偶然別のお客様の案内が入ったから売主さんに迷惑かけずに済んだけどさ。

売主さんの都合押さえといて当日無言でバックレるとかあり得んからな!






それから二週間。

ピコ~ン♪

【今週末に見たいです。小林】

このやろ・・・。

こいつ何度も無視してこの前なんか時間と日程まで決めたのにすっぽかしといて、悪びれもなく知らん顔で新規で問い合わせしてきやがって。

【小林様。”何度も何度も”お問い合わせいただきありがとうございます。
前回は現地で待っておりましたがキャンセルの連絡もなく売主様にご迷惑を
おかけする事になりました。
弊社としても何度も売主様にご迷惑をかけるわけにはいきません。
つきましては内覧をご希望であれば、ご希望の日にちと時間、連絡のつくお電話番号を教えていただけますでしょうか?】

送信。


・・・・・・。


うん。やっぱり返事はなし。


はい~。こいつアウト~。
日程のアポも組めないヤツを案内できるかっつうの!
連絡先も毎回メールだけでさ!

二度と問い合わせすんなや!

いらいらいら・・・






翌週。
その中古住宅を案内中に玄関の外から声をかけてくるおばちゃんがいた。


「すみませ~ん。今って中見れるんですか~?」
「あら~。いいですよ~。どうぞこちらに車を停めていただいて。金城さん。大丈夫よね?」

俺が対応をする前に庭の掃除をしていた売り主の奥さんが玄関口で愛想よく対応する。
ネットで見て気になって現地に来たらちょうど案内中だったから中を見てみたいという訳か。見学会開催とかなら通りがかりでいいけど、アポなしの人に見たくはない。アポなし通りがかりのおばちゃんほど決まらんし。


だが人気物件っぽく演出できて案内中のお客さんを煽る材料にもなるかもしれないし。仕方ないか。

「ど~ぞ~」

おばちゃんを中に招き入れる。

「あ~やあっぱり狭いね~」

室内に入るや否や失礼な発言をするおばちゃん。

「ふんふん。天井の梁が出っ張っていていやね。狭く感じるじゃない。」
「あ~ここ!この窓は良くないやつね~。造りが。すぐに雨が入ってきちゃうじゃない。」
「トイレとキッチンの配置も微妙かな~。キッチンのメーカーもあまりいい奴じゃないわね~」
「この床、築年数の割に軋むわ~」

遠慮もせずに売主さんの目の前でダメ出しを連発するおばちゃん。
先に入っていたお客さんも顔が引きつっている。
全然煽りになっていない、むしろ逆効果。

一通り見ていちゃもん付けたおばちゃんは
「今週土曜日のお昼にもいい?息子と一緒に住む予定の家を探しているのよ~。土曜日なら息子も空いてるって言ってたし」

いや、正直見せたくない。
だが販売が苦戦している中で売主さんの目の前で断るのもなんだしな。

できれば断りたいが。。。売主さんに目線を送る。

「ええ。まあ、今のところは土曜日は大丈夫ですけど・・・」

「あら~じゃあ決定ね!はいはい~ごめん下さいね~」

まだ確定の返事をしていないにも関わらず勝手に土曜の案内のアポを切り、ぽかんとしていたお客さん一家をどかしながらおばちゃんは去っていった。


あれだけ目の前でダメ出しされたら買う気になるわけもなく、案内中のお客さんもその後に続いて帰ってしまった。畜生。。。


「金城さん。あのさっきの女性。土曜日に来るの?」
「断る隙もなかった感じでしたよね。別のお客さんも居たしあのタイミングだと断るのも変だし。。。すみませんが土曜日のお昼もよろしくお願いします」
「ええ。でもあんな人には買ってほしくないので上手く断れないかしらね?」
「多分ああいうタイプの人は決めないですよ。次回の案内の時だけ我慢してください。。。」
「そう?それならいいけど。。。あ、今度の土曜日は私じゃなくて主人が立ち会うかもしれないけどいいですか?」
「はい。それは全然大丈夫です。それまでにいいお客さんで決まればいいんですけど」
「そうよね~。とりあえずよろしくお願いしますね。」


。。。残念ながら土曜までに買い付けは入らなかった。






土曜日の昼。
売主さん宅に早めに到着。

後で気が付いたが、おばちゃんから名前も連絡先も聞かずに帰してしまっていたから、最悪の場合は待ちぼうけを食らってしまう。
前回は奥さんが居たから万が一すっぽかされても
「あのひとならいいか。すっぽかしそうだし」
って何となく納得してもらえそうだが、今回はあのおばちゃんを知らない旦那さんの立ち合いだ。

案内をする気になれない嫌なタイプのお客さんではあるが、今日は来て欲しい。
なんだこの微妙な気持ちは。

来てほしくないのに来て欲しいなんて・・・。


そんな感情を持て余しているとおばちゃんが運転する軽が駐車場に止まった。

ふぅ。来てくれた。よかった~。。。。いや。よかったのか?


助手席から降りてきた息子らしき男性はひょろひょろで猫背、ひとと目を合わせないタイプのパッと見は引きこもりという暗い印象。

パワフルなおばちゃんと引きこもり息子か。
買いたいって言ったとしてもローン通らないんじゃない?てことは買えないじゃん♪一筋の期待が心を弾ませる。


相変わらず室内に入るとダメ出しを連発してご主人までも引きつらせるおばちゃん。
早く帰れと願う俺。

ぼそぼそと喋る息子がショルダーバッグから緑色の紙を取り出す。


登記簿と公図だ。しかも原本。。。


「あの~この土地って形が違うし場所も違うんですけど、、、、」


ん?何言ってんの?


「ほら、区画整理地内で綺麗な区画のはずが公図を見たら全然違う形になっているし、、、法務局で取ってきたから間違いないと思うんですけど。名義も表札と違うみたいだし」


ん?

あ~、なるほどね。
ここは換地前の区画整理地だから従前地の公図しか出ないよね。
仮換地の地番と従前地で場所もズレるし。
今の所在地の地番で取ったから従前地の他人の名義の謄本を取ったわけね。

素人の人にはわかりにくいよね~。
でも登記簿と公図まで取ってきて事前に調べるなんて感心感心。


って、おい!www

内覧のタイミングで法務局から原本取ってくる?www
こんな人初めてですけどwww


でも仕方ないので仮換地と従前地の違いを説明する。


「あ~なるほどね。せっかく加藤さんにアドバイスもらって法務局行ってきたのに。。。」

いや、加藤って誰だよw
ていうか謄本取って内覧って何のアドバイス?


「あ、金城さん。加藤さん御存じですよね?金城さんの事よく知っているって言っていましたよ。」

???加藤???

知らんwww
全く知らん!


「すみません。ちょっとわかりかねます。。。不動産屋さんですか?」
「あ、いや~不動産っていうよりコンサルしている感じの・・・」


・・・・。
う~ん。全く思い当たらない。
加藤。かとうかとう・・・・知らんな。
コンサル?
どこぞのブローカーか?

「すみません。取引した業者さんとかは割と覚えているつもりなんですけど。。。」
「あ、そうですか。とりあえず、来週の土曜日にも見せてもらっていいですか?加藤さんにも相談しますので」

は?来週も?
ていうかおばちゃんダメ出ししまくっているし、あんたもなんか気に入っている感じじゃないじゃんw

「あ、来週の土曜日なら私も妻もいますよ」


また~~~。。。ご主人も奥さんも勝手に返事して了承するw
こんなに目の前でダメ出しされているのに。。。

どっちもいい人過ぎるんだよな・・・。

畜生。仕方ない。

「では来週土曜日の同じ時間でいいですか?あ、すみません。お伺いしていなかったのでお名前と連絡先教えてもらってもいいですか?」
「・・・あ。何度かやりとりしているから教えていると思っていました。」


・・・?なんどか?


「小林です。メールでほら、何度か」


こばやし。。。



・・・・・・・。



あ。。。。





お・・・・

お   ・    ま    ・     え     ・     か   


おまえか~~~~!!!!!!w
散々無視しといて「何度かやり取りしています」じゃねぇよ!!!w



長くなったのでまた次回


では~

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次回:謄本公図#2


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!