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投資物件と融資担当#1


こんにちは。
株式会社REGATEの金城です。

本日はここ最近で一番腹が立った案件をご紹介。

熱が冷めないうちに覚えていることを事細かに共有しようと思います。
細かい描写によって長文になるのと、体調不良者が続出すると思うのであらかじめご了承ください。

内容はとある銀行のとある担当者と私のほのぼのとしたやりとりです。

不動産売買の経験者であれば共感しすぎて首がもげるはずなのでコルセットを巻いてからお読みください。

これね。


※一個では足りないかもしれないので四つくらいご用意ください

※売買の新人さんもコルセットを二個くらいはご用意ください。

※本文を読んでいて気分が悪くなっても弊社は一切の責任を負いません。全て自己責任でお願いします



準備はいいですか?
ではど〜ぞ〜


事前確認



とある投資物件の買付をもらい、融資条件を確認。

「金城様。融資の件に回答いたします。沖縄信用銀行 南部本店の銘苅さんという女性の担当に話を通しています。融資の仮承認もいただけました」


このお客様は松本さん。仕事は公務員上級職。いわゆる役人さん。
与信力はバッチリですでにいくつもの投資物件の融資を沖縄信用銀行から借りているそう。

沖縄信用銀行はこの投資ジャンルの融資基準が非常に緩い。
この投資物件に対する融資ならココというくらいに相性がいい。

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金融機関と投資物件の種類と相性ってとても大切。
※例えば1Rなら〇〇銀行とか、かぼちゃならス○ガみたいな。
投資物件は金融機関の融資姿勢によって簡単に価格がぶれるし、それぞれの金融機関によって投資物件の得意不得意がある。

初めての投資物件の購入の場合、融資条件や返済方法などがお客様の想定(理想)と噛み合わなかったり、そもそも金融機関がお客様の属性や物件の属性で融資を否認してしまうケースが多々ある。
その観点から言うと今回の松本さんは既にいくつかの融資を受けているし、銀行と物件との相性もばっちりというかなりいい購入者といえます。


また、基本中の基本だが投資物件は融資否決になる可能性があるお客様と契約をするべきではない
一応ローン特約が付いているから売主さんにも迷惑がかからないようになっているけど、契約&重説をして決済前にローン否決とかになってしまっては関わった全ての人の動きが無駄足になってしまう。

住宅のローン付けよりも難易度が高く、さまざまな要因で融資の可否が左右される投資物件。仲介をする立場としては融資銀行担当者に裏を取って盤石な契約に持っていくのがセオリーだ。
ちなみに不動産投資の世界は融資付け(ローン付け)に強い仲介業者が生き残れる世界でもある。

*******************



「松本様。融資機関の情報ありがとうございます。ちなみに今回の物件の融資は満額で申し込みですか?ある程度キャッシュを入れますか?」
「今回は3割キャッシュを投下します。また、別の物件を共同担保に入れて融資枠を広げるので問題ないと担当者から伺っています」
「かしこまりました。では仲介の不動産屋より融資確認の連絡が行く旨を沖縄信用銀行の銘苅様にお伝え願います」

この担当者確認は融資の打診もせずに申込をする人を避ける意味でとても重要。
たまに過去に〇〇円の審査通ったから〜と言って、全然別ジャンルの不動産に申込をする人もいる。
住宅ローンで5000万円の審査に通っていても投資物件で5000万円の審査が通る保証はどこにもない。
融資の審査の基準が全く別物だからだ。

1分後。

「金城様。先ほど担当の銘苅氏に金城様より連絡が行く旨を連絡しました。引き続きよろしくお願いします」


松本さんは日中は多忙な人で基本的にメールによるやりとり。
だがしっかりとした仕事柄のおかげか、要点を押さえた回答をしてくれるのでとても話がスムーズだ。レスポンスが早いのも助かる。

担当への連絡もしてくれてるし、仮承認も通ったと言っているし、3割の自己資金と言うし、属性は高いし、この人なら本承認で否決になることもないだろうな♪

一応、挨拶も兼ねて融資担当に連絡しておくか。


ファーストコンタクト


トゥルルーーー・トゥルルーーー・トゥルルーーー・・・・
ガチャ

「はい。沖縄信用銀行 南部本店です」


ん?違和感。。。
銀行って電話に出たら受けた担当は名前も名乗るんじゃない?



「あ、お世話になります。私、不動産業者のもので株式会社REGATEの金城と言います。融資担当の銘苅さんに繋いでいただきたいのですが」
「はい。銘苅は私ですが。」

・・・。

「あ、初めまして。この度、松本様が弊社の物件をご購入予定となっておりまして、融資の申し込みや事前審査、仮承認の件やその他の確認のためにお電話差し上げました」
「はい。」

・・・。

「えっと、、、松本様からは融資の仮承認を得たと伺いましたが申し込みの金額とかに問題はありませんよね?」
「いえ、金額などはお答えできかねます」



・・・ん?

「あ〜・・・はい。では週末に松本様とご契約を交わして、来月の末には決済を予定しています。念のため今週末の契約後に本申し込みをすれば来月末の決済は間に合いますよね?」
「いえ、それもお答えできかねます。」





・・・???


「いや、本申し込みから融資の本承認まで1ヶ月半もあるので間に合いますよね?と聞きたいだけなんですが」
「いえ、基本的には融資の申し込みから承認までは1ヶ月程度をいただいておりますが、今回はまだ物件の契約書とかもいただいておりませんし、本申し込みも受けておりませんのでお答えできかねます」



・・・・・。

松本さんには事前に物件の資料を全て渡したはずだし、それを確認してもらったという趣旨で連絡をもらったけど。。。

というか事前にある程度の詳細を把握しないとこっちは契約なんてできんぜ、おい。。。
松本さんが高属性で融資否決の可能性が低い案件だからいいものの、これが通常の素人投資家とかだったら絶対に契約しない。というかこの銘苅を使うことはない・・・。



あ、この人新人さんか。なるほど。
融資ができるとか承認の期日とかそういうのを明確に答えてしまうと後々のトラブルになるって教えてもらっているんだろうな。
なるほど。なるほど。新人さんなら仕方ない。大人の対応を見せてあげようじゃないか。女性だし優しくしてあげよう。

「なるほど〜。期日とか本承認のこととか確定的なものは言えませんよね?トラブルになっちゃいますもんね〜。分かります。でも松本さんはすでに沖縄信用銀行さんで類似の物件の融資を複数受けていると伺ったものですから、しかもそれを共同担保に入れるし万が一にもローン否決になることはないのかな〜?と思いまして。こんなに属性のいい方なら大丈夫ですよね?」

「お答えできかねます」



・・・・。

「あ、でもほら、お仕事もしっかりとしている方だし、自己資金を三割は用意していると聞きましたので融資が通らないとかないですよね?」

「個人情報に抵触するのでお答えできかねます」





・・・。



「ほら、今回は比較的少額の物件だし・・・ね」
「まだ契約した物件でもないのでお答えできかねます。何度も言いますが契約書も手元に来ていませんし」






・・・・。
「もういいです。」





ふぅ。。。大丈夫かこいつ。
※安全のためコルセットを二個目にお取り替えください


確かに金融機関の立場として断定的なことは言うなと言うのはわかる。
たまに古い不動産屋さんとかが窓口で怒鳴っているもんね
「お前が融資大丈夫って言ったから契約したんだ!上を出せ上!!!」
って。
融資が通るかギリギリの人を送り込んどいて否決になったからって怒鳴るとかダサいもんね。わかるよ。
だから僕はソフトに対応しているし、できるだけやんわりと聞いたつもりだけどな。。。新人さんに怒るとかいい大人として恥ずかしいしね。
みんな最初は新人だもん。俺だってそうだった。うん。


自分に言い訳をしてどうにかイライラを抑えてみる。



だけど嫌な予感しかしない。

行けるのか?俺。。。

松本さんご本人が非常に協力的で松本さんの職場の在籍確認もできたし、何よりも共同担保に入れる予定の物件の謄本も確認している。
謄本を見ると共同担保の物件の購入期日は半年以内となっている。カードローンとかブラックに載っている人だとしたらこれらの物件の融資も通るわけない。
あと、根抵当権の設定額と今回の物件の評価額を見てみても融資が通らない可能性の方が圧倒的に低い。というかこれで融資をしないやつは銀行の担当をやめた方がいい。

まあ、融資の確認というより松本さんがちゃんと融資の打診をしているのかの裏付けとか、担当への挨拶のつもりだったからそこまで事を荒立てる必要もないだろう。

今の段階でこの銘苅さんとやり取りをしても何も話が進まないので契約を巻いてしまってから物事を進めよう。





契約後の段取り



後日。
松本さんと売主様の契約はスムーズに完了。
翌日松本さんからはこんなメールが届く。

「金城様。昨日はありがとうございました。昨日のうちに沖縄信用銀行 銘苅氏に融資の本申し込みを完了しております。また、担当の銘苅氏には契約書類などの必要書類は全て提出済みです。引き続きよろしくお願いします。」

松本さん。スピード感もバッチリじゃないですか。
毎回こんな買主さんだったらいいのにな〜。


さて、と。

ここからは俺の仕事だ。銘苅さんに電話するか。
新人教育のつもりで、、、、ね。


トゥルルーーー・トゥルルーーー・トゥルルーーー・・・・
ガチャ

「はい。沖縄信用銀行です。」


おい、ここの銀行は電話に出ても受けたやつは名乗るなって指導しているのか?それともお前銘苅か?声ではよくわからんな。


「お世話になります。私、不動産業者の株式会社REGATEの金城と申します。融資担当の銘苅様をお願いいたします」
「はい。私です」


イラ!

おい!!
お前まず電話をとったら名乗れ!
後、途中で俺ってわかったら普通『あ、銘苅です。松本様の件ですよね?』みたいに対応しない?
ねえ?ねえ?
俺がおかしいのかな?
俺が古い人間なのかなぁ!!!!

落ち着け!大人の対応を見せろ!俺!新人教育だろ??



「松本様と先日契約を交わしまして、本申し込みに行ったと伺いまして・・・」
「はい。昨日いらっしゃいました」

「・・・・」
「・・・・・」



いや、『いらっしゃいました』じゃなくてさ。
この前の話を全て忘れたの?あんたが全部返答しなかったのは契約書とかが手元にないからって言っていたよね?

「でしたら契約の内容とかを把握されましたよね?融資の承認期限とか問題ありませんか?」
「はい。内容は見ましたが承認期限とかはお答えできかねます」


!!!!!!????

でたよ!お答えできかねます!!!

お前はそのセリフしか言えねぇのか?お?お前は全部お答えしないように教わっているのか?おい!なあ!なぁ!!!!



ふぅーーーーー!!!!ふぅーーーーーーーーー!!!!!!



・・・・いや、だめだ俺。
落ち着け。
大人の余裕を見せろよ。
こんなことで怒っていたらろくなおっさんになれないぜ!




うし。。。
多分落ち着いた。多分。。。


「あ、でしたら融資の条件で共同担保の件とか・・・」
「それは別の物件のことなのでお答えできかねます」






・・・・・・あ。だめだ俺。
もうだめだ。

これ以上この子とは話をできない。
大人になれない。
人は無理して限界を我慢する必要はない。
みんなが怒らなければ戦争は起きない。
プーチンも怒らなければよかったんだし、
ウィル・スミスも怒らなければよかったし、
豊田真由子元議員も怒らなければよかったんだ。。。

世界平和万歳。



もう俺は引っ込もう・・・




「・・・・では所有権移転を担当する司法書士に連絡させますので対応お願いします」
「はい。もういいですか?」


イラ・・・・ガチャ!



流石に司法書士が連絡をすれば詳細を話して段取りを組むだろ。
もうこれ以上俺が聞いても何も答える気がないことは明白だしな。


司法書士の先生!ごめん!丸投げしちゃう!
この豪速球を受け止めてくれ!




バトンタッチ



「移転の見積りを頂いていた松本さんの件なんですけど、共同担保の物件とか融資実行に必要な段取りを沖縄信用銀行の銘苅さんと進めてもらえますか?」
「はい、金城さんはいつも前もって段取り組んでくれるからこちらも助かっています。こちらから連絡して調整いたします」

いやいや。いつも助けられているのはお互い様です。

これにてバトンタッチ完了。
丸投げは流石に心が痛いので一応新人さんっぽくて対応が下手くそだからと追加で伝えた。

「新人さんだと抜けとかがありますもんね。ではそのように対応します。事前情報ありがとうございます。何かあれば情報を共有しますのでよろしくお願いします」

ふぅ。これで一安心。この先生は頭も切れるし経験も豊富。
万が一にも当日に決済できないという事態にはならないだろう。
あと、何よりも俺より数倍懐が広いw
この先生ならあの銘苅に対してもじっくり付き合うだろ。


5分後、先生からの着信。
早い。さすが仕事ができる人は違う。


「金城さん。銘苅さんに話を聞こうとしたら『あなたに移転登記を受託するという保証がないので何も話せません』って言われました。」




ふぁーーーーーーーーーーーーーー!!!

何あいつ!!!www


マジで何考えてんの???
司法書士が受託する保証がない???
なに言ってんの?www

こいつ担当外せないか?
今から乗り込むか?
上席を出させて担当変えろってやるか?www

銀行もこんな融通が利かないど新人を投資物件の融資担当にすんなよ!
どうする?俺?
持ち物はダイナマイト?ナパーム弾?ドンキに買い出しに行かなきゃ!あ、彼の国なら今たくさん持っているかな?電話して聞いてみようか?


頭が怒りでパニクっていると冷静な先生の声。

「そこでですが金城さん。購入者の松本様からこの担当者に『私が受託するから情報を開示してくれ』って伝えてもらえますか?」



あ、なるほど。さすが先生。
懐の広さが違う。
危うく銀行の窓口にダンプを突っ込んでドンパチやるとこだった。

大人になり切れないな俺は。。。。

盛り上がってきたところ申し訳ないですが長くなったので続きは次回。



どうですか?二個目のコルセットは無事ですか?
次回はさらに首を振るはずなので念のため新しいコルセットに取り替えることをお勧めします。
足りない方は次回の公開までに予備をご準備ください。


次回予告
・司法書士が状況を変えられる?
・無事に引き渡しできるのか?
・タラちゃん初めての朝〇〇

では〜

次回:投資物件と融資担当#2


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!