昔の不動産業務ってどんなんだった?
◆本当に昔は良かったのか?
こんにちは。
㈱REGATEの金城です。
本日は不動産業の過去にタイムスリップしてみる内容です。
※一年位前にHPのコラムでも書いたのものをブラッシュアップしています。
いつものドキュメントじゃないので胸糞悪い人はでてきません。
でも、書いていたら吐き気をもよおしてきたので読む際はご注意ください。
いろんなテクノロジーの発展によって猛スピードで日常業務が変わっていっています。
「昔と比べると便利になったな〜」という印象はみなさんお持ちだと思います。
でも一部の先輩方は
「あの頃は良かったべ〜」
「今の若いもんはだめだな!あの頃の俺たちはな〜」
というあの頃にすがって浸りまくっている人も多いんですね。
そこで本当にあの頃がいいのか?ということをみんなで共有しながら考えてみたいと思った次第です。
ま、昔を思い出しながら勝手に妄想を膨らまそうよ。という感じと捉えてください。
先輩方から聞いた話なんかを書き起こしてみるので間違いもあると思います。
「実際はこうだった!間違えている!」
という指摘があればそれはご自身の中に飲み込んでください。。。
書き直す気力が残っていないと思いますので。。。
ではどうぞ〜
◆30年前にタイムスリップしてみましょう
まずは30年以上前のお話を振り返ります。
世界を変えたウインドウズ95が出てくる前のお話になります。
※諸先輩方から聞いたお話です。
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不動産の情報は不動産屋しか持っていない時代。
査定依頼はもちろん、購入希望の方も賃貸も何もかも
基本的には来店が必須。
店頭のガラスに貼られた物件情報やステ看板、新聞の3行広告や書店に売られている不動産情報誌だけがお客様の情報源でした。
また、業者の立場でも今みたいにネットですぐに他社さんの情報を取れるわけもなく、不動産屋どうしでも電話とFAXの送り合い、もしくは仲のいい同業で集まる業者会での情報共有のやりとりくらい。。。
REINSが出てくる前は地域の不動産屋さんが公民館とか居酒屋に集まって「物件情報交換会」みたいなことを定期的に行っていたらしいです。
そこで
「○○社のどの物件が幾らくらいであったな。」
とかを同業者同士で把握しながらお互いに送客&客付をし合う感じだったとのこと。
ネットが無い時代なので、物件情報を自社だけで持っていても売れないと仕方がない。。。
持ち腐れになるとお客さんが離れてしまうから早く売るためには業者同士の客付が必須。そのおかげか囲い込みも今みたいに横行していなかったそうな。。。
また、いくら物件情報を持っていても人の目に止まらないと来店すらありません。
なので起業する時は人目につく場所に店舗を構える事が最優先。
駅前ロータリーとかの最高の立地に構えることができたら情報がガンガン入るし、新規顧客は止まりません。なので
立地がいいところに開業出来たらそれだけで成功する。
とも言われていました。
駅前の古い不動産屋さんの態度が悪いのは
「立地で勝ったんだから接客なんてする必要がないだろ?」
「俺が情報出さないと何もできないだろ?」
ということの表れなんですね。
態度が悪いおっさん業者の生態が少しわかった気がしますw
沖縄みたいに駅が無いエリアは大通り沿いなどの目立つ場所や商店街に店舗を構えたり、公民館や地域の催しに積極的に顔を出して「俺、不動産屋だよ」とアピールして口コミで広めていくしかなかったようです。
商店街や地域密着という小さなコミュニティで情報を共有し合う、共存共栄の時代です。そんな古き昭和の時代。。。
あの頃は良かったねぇ・・・ほんとだねぇ・・・
・・・完。
あれ?違うな。。。
危ないあぶない、本題を忘れるとこだった。。。
業務に戻ります。
◆客付業務の昔話
昭和の時代背景が見えてきたところでまずは客付けの業務を見てみましょう。
1.来店
↓
2.条件のヒアリング
↓
3.棚から物件情報の冊子を取り出し、物件情報を抜き出す
↓
4.条件に合いそうな物件をあてがいながら希望に合いそうな物件を抽出
↓
5.めぼしい物件を見つけたら同業に電話して物件確認。
↓
6.ゼンリンを引っ張り出して現地を見に行って、、、
↓
7.思ったのと違うね〜ってなったら3.に戻る
という感じ。
携帯も無いので毎回固定電話で担当者を捕まえないといけないし
「あの物件はまだありますか?」
「担当は出ているので現在わかりません」
となると返事が来るまで別の物件を見てみましょうと提案して引き伸ばす。
ここでお客さんを逃すと別の会社にいかれちゃうし、携帯がないので追客もできなかったらしいです。
数時間後担当から折り返しあっても
「あ~。ごめんねぇ!さっき決まっちゃったよ!」
「・・・一日中引っ張ってこれかよ!チックショー!」
という場面がそこかしこで起きていたようです。。。。
スピード勝負なのに担当との行き違いで契約を逃したり、折り返しを貰ってもこっちが外出していたり・・・
今では考えられないくらいの空中交差が繰り広げられていた時代。。。
行き違いや入れ違いのオンパレードだったそうな。。。
とまあ、何もかもがアナログで聞いているだけで疲れてしまうような時代でした。
携帯がないし、メールもない、なので担当を捕まえないと話が何も進まない時代です。
(今の令和の世にも折り返しとかをしないクソみたいな担当者は生存していますが。。。)
とにかく担当を掴めないと契約すらできない時代だったんですね。
◆査定依頼を受け付けたら
さて、客付の話はこの辺でおしまい。ここからは査定依頼を頂いて販売を始めるまでのお話に移行します。
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売却希望の売主さん来店
↓
物件のヒアリング
・場所の把握
・現況の状況(居住中・空き家・更地)
・売却希望価格も軽〜く聞いとく※これ大事
↓
まずは場所を特定してから
・役所調査
・価格査定
の段階で進めていきますよね、これは今と同じです。
はい、ここで注目ポイント!
まず今よりも圧倒的に困難なのが場所の把握です。
物件の所在地や住所なんかをネットのゼンリンや住宅地図で確認して
スマホでポンっと場所を出すなんで魔法は使えません。
ほとんどの場合は売主さんと一緒に現地を確認しに行ったらしいですが、売主が同席できないと場所があやふやでお隣の物件を査定&販売してしまう事もあったとか・・・
それでも住宅の場合は住居表示や物件の特徴なんかで特定できますが
土地や山林の場合は場所があやふやなケースがほとんど。。。
売主が地番を把握していない場合は権利証を確認してもらったり、何かしらの資料を探してもらったり、ご近所の目立つものや、近隣の目印などを教えてもらうなど、もう全てが手探り状態。。。
謄本や公図を取りたくても法務局に行かないと取得できませんし、地番が特定できないと法務局に行くのも無駄足。。。
卵が先か鶏が先かみたいな永遠ループですね・・・
現地に着いたとしてももちろん境界もあやふや。
原野の場合なんかだと適当に石なんかを投げて
「土地はあの辺からあの辺までだったかもしれません」
みたいな会話が交わされていたそうです。。。。
そんなこんなで場所が特定できたら、いざ役所調査。
ここでやっと調査開始です、、、、
気づきました?まだ何も始まっていません。
やっと調査スタートなんです。
◆役所調査も大変
役所調査も地図のコピーとかを持って行って、窓口で大雑把な都市計画図を見ながらの確認。
資料を広げて必要事項をメモしながら、
関係各所に足を運ぶたびに物件の現地を伝えることに一苦労。
また、役所の担当が不在の場合は出直すか電話での折り返しを依頼・・・
※ここでも先ほどのような電話の行き違いとすれ違いが多発www
役所調査や現地調査をするのも数日に渡る膨大な作業・・・
これを法務局や市役所、県庁などいろんなところに出向いて繰り返します。。。
さて、ここまではまだ調査です、査定じゃないんです。。。。
繰り返します。査定はまだできていません。
もうやめましょうかね?え?だめ?はい、頑張ります・・・
さて役所調査を終えてようやく査定の作業に移りますが
近隣の取引事例とかも今のようにすぐにネットで調べることができない時代です。
過去の物件資料を取っといて、書庫や書類棚から引っ張り出し。。。
膨大な物件資料をめくり、住所や地図と照らし合わせて近隣の事例を探したり、、、、
仲のいい同業者さんとかに聞き回って、、、、
「あんたんとこで前にこの辺で出していたよね?いくらで売れた?」
「あの辺の取引事例知らない?」
あなどとヒアリングをしてから
「おおよそ〇〇円くらいで決まりそうだな」
という目安を出していたらしいです。
そこで冒頭で軽〜くヒアリングしといた
「幾らくらいで売りたいか?」が活きてきます。
売主の希望価格と算出した数字とを照らし合わせて売主の希望額が目安の価格より安ければ買取。高ければ媒介で売り出し。という感じですね。
どうですか?
不動産査定が難しいのはいつの時代も変わりませんが、査定をするまでの手間が途方もないです。
こう考えるとこの時代なら手数料が高すぎる!
みたいな変な論調は起きなかったんだろうな〜・・・
やっぱりいい時代だったのかな・・・
◆価格が定まってきたらようやく媒介
価格が決まればここでようやく媒介です・・・
パトラッシュ。僕、疲れた。
売主と媒介契約を交わし、図面や物件情報の整備。
パソコンも無いので基本的には手書きの概要(マイソク)を作成。この時代は字がきれいな事務員は重宝されたそうです。
※以下はネットの拾い画です。
このような物件の概要が出来上がれば
店頭に張り付け
週刊誌や新聞の広告作成
同業他社にFAX
ステ看作成
チラシ配布
などなどの集客作業。
問い合わせは来客か電話のみ。
条件交渉や現地案内など、先程の客付業務のような空中交差を繰り広げることになります。
行き違いとすれ違いと交渉と。。。
まだまだ先は長いです。
◆契約書&重説作成
どうですか?嫌になってませんか?
今回は嫌なやつは出てこないけど結局胸焼けしそうな内容になってしまってますね。。。
あと少しで契約です。頑張りましょう。。。
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販売活動が実を結び、ようやく売買契約になったらまた大変。
重要事項説明書や売買契約書はひな形があって、基本的にはひな形の空欄を手書きで書き写し。。。。
もっと前になると全部手書きだというから気が遠くなりますね・・・
これも拾い画ですが、いまだにおじいちゃんの相続案件とかで見かけたりします。
間違えたら訂正印。書き直し。綴じなおし。。。
空欄タイプのものでも重要事項説明書はほぼ手書きのものが多かったらしいです。
契約書や重説を手書き・・・
そして書き直し差し直し。。。
もうかなりの方が離脱したのではないでしょうか?
残っている方、あと少しです。頑張ってください。
◆契約書が無事に完成したらいざ署名押印!!
お待たせしました。
さてようやく契約本番です。
契約当日は現金が必要です。
不動産売買の代金なので大金になります。。。
また、ATMもキャッシュカードも無いので全部窓口でやることが普通です。
印鑑や通帳を忘れたりして、窓口の時間を超えそうなら契約日の変更などもしないといけません。
また、待ち合わせのセッティングなんかも大変です。
携帯電話が無いので契約の時間に遅れたりしても相手に現況を連絡することも確認することもできません。
電車が遅れたとか、渋滞していたとか、待たされる方はずっと待つしかなかったらしいです。
銀行の窓口やブースを借りて待ちぼうけ。。。
銀行担当者と売主と司法書士の全員を待たせるんです。
相手方の気が変わってドタキャンでもされた日にはずっと待ちぼうけ。。。
この待ちぼうけの時間に話をつなぐなんて想像を絶しますね・・・
何もなければここで契約が完了して手数料をいただけます!
でも、もし契約のミスや瑕疵が発覚したら、今までの業務の非ではないくらいに引っ掻き回されたそうです。。。
もう考えたくないのでここでやめときますね・・・
◆タイムスリップ完了
いかがでしたか?今の時代と比べると途方もない業務のオンパレード。。。
今がいかに便利かと言うことが身に染みてわかったと思います。
こんなに便利になっているのにテック業者さんたちには
「不動産は遅れている」
と声を揃えて大合唱されているんです。
技術や道具は進化していきますが、不動産自体は変わらずにそこにあるものとそこに関わる人をつなぐお仕事。。。
不動産業界が遅れているように見えても、実際には不動産を通して人と人を繋ぐ仕事なので、全てデジタル化するなんて無理なんだと思います。
ITの技術などでは超えられない大きな壁が不動産にはあるような気がします。
昔の業務を振り返るとスマホのある便利な現代って改めていいな〜と思いました。
これからも技術は進むと思うけど、人と人を繋ぐという不動産の大事な「核」だけは忘れないようにしないといけませんね。
なんだか過去を振り返りすぎて鞭打ちになって胸焼けがしてるのでこの辺で失礼します。
昔の不動産業務を懐かしもうの回でした!
では〜
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