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ユタ。信じますか?#1

こんにちは。
株式会社REGATEの金城です。

ネタ切れと言いながらどうにか昔の案件を思い出しながらご紹介できています・・・

さて本日ご紹介する案件は
「ユタ」
です。

ゆた?
沖縄の人には馴染みがありますが本土の方からするとなんやそら?状態ですね。
簡単にいうとユタとは祈祷師とかイタコとか占い師とかみたいなものと捉えてもらえればおおよそ間違いはないです。

今回はそのユタに起因した事例。

ま、結論から言うとあるあるネタですwww

ではど〜ぞ〜


◆古屋付きの物件



今回は私の知人の松田さんという方からの依頼物件。
実家の相続が起きて故人(祖父)の法要等を終わらせた後に相談がきた。

古屋が建っている土地の販売。

建物は古いなりにリフォームで再利用ができそうな物件ではある。
ただ、松田さんの要望で
「相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3000万円控除」
を使いたいという依頼。

この特別控除を利用するためには耐震基準を満たさない建物は耐震基準を満たすようにリフォームするか解体して更地で売り渡す必要がある。とある

この控除を利用するためには耐震基準以外にもいろんな条件が必要。
居住者の死後に賃貸に出していないかとか生前に一人暮らしだったかとか・・・
どれかの条件がアウトになるだけで使えなくなる。。。
※細かい特別控除の条件とかを知りたい方はこちらを参考にしてください

今回は諸々を勘案して解体して売る方を選んだとのこと。

松田さんは開業医をしていて、不動産の税金に精通している顧問税理士さんに確認をしたところ、本物件を解体して引き渡せば控除の適用が可能というお墨付きをいただきたようだ。

普通に相続物件を売った場合、数百万円の不動産譲渡税がかかることが多いが、今回はそれを回避する税制対策を練った上での売却相談。

一応こちらでも税理士さんに税金控除が確実にできるという裏を取ったので売った後に
「こんなに税金がかかるなんて・・・」
というトラブルは回避できそうだ。


そんなこんなで専任媒介契約を結んでいざ売り出すことに。


◆買い付けと交渉


立地がいいため問い合わせは多いがリフォームで検討したいというお客さんが多数。この立地でこの敷地の広さならリフォームで再利用したいという人が多いのも頷ける。
ただ、解体して売ることが前提となっているのでリフォーム希望のお客さんを断りながらの販売。


するととある会社から一枚の買取の買付が届く。

買取担当の名前は清原。
軽く話をしてみると沖縄特有の訛りとは違うイントネーション。
沖縄に移住してきてまだ日がない熊本出身の営業マンらしい。少し不安。。。

リフォーム再販はダメで解体して引き渡すと念を押すと
「更地にして分筆して建売として計画しています」
とのこと。

価格も満額での買い付けで融資特約もなし。
条件としては悪くないので清原を一番で進めることに。


売主の松田さんに満額買い付けの連絡をすると
“そのまま契約を進めてください”
という回答。

法人での買取だし、壊れる心配もないだろう。
一旦募集をストップして契約に集中するか。

いざ清原に契約の段取りを詰めようとしたところ変な質問が飛んできた

「この地域の集落の井戸はどこですか?

???地域の集落の井戸?なんだこいつ?

「え?すみません。そこは調べていません。。。というか周辺に水路も無いし、水脈があって地盤が弱いという情報もないもんですから」
「あ、そうじゃ無くて物件内に井戸がありますよね?そこと集落の井戸の位置を確認してもらいたいんですが・・・」

ん?敷地内の井戸は建物の解体の時にお祓いをするけど、、、集落の井戸??

「すみません。集落の井戸とかこの物件に関係ありますか?敷地の井戸は建物の解体時にちゃんとお祓いをしてから埋める予定ですけど」
「え・・・と。あ、すみません。ちょっと上司に確認しますね、ガチャ」

・・・沖縄のお婆ぁみたいなことをいうな。
熊本にも井戸とかを忌み嫌う風習があるのか?
それとも勉強熱心でソレ系の本を読んだのか?

沖縄の不動産取引の慣習を紹介する本に井戸に注意みたいなことがよく書かれているしな。

上司?に確認?井戸を?集落の井戸を???
なんかいい予感がしないな。。。

◆ユタ??



しばらくしたら清原からの折り返しがある。

「金城さん。この物件、契約前にユタに見せてから契約したいです。」

お。熊本の風習とかでなくこいつの上司が”ユタ買い”か?
※ユタを信じてなんでもユタの判断を鵜呑みにする人

「あ〜。一応売主さんに確認してみますね」
「はい。よろしくお願いします」

なんだろう。
熊本から出てきて沖縄の古い風習を勉強したんじゃなくて
ユタ買いの上司がくっついているのか。
嫌な予感。。。
なんか嫌な予感。。。
嫌な予感がビンビン。。。

ユタが関わってきてよかった試しがほとんどないんだよな。
本人が気に入ってもユタのNGで契約が破棄になることもあるし、決済日をずらせとか何かと口出しされて現場を混乱させられる。
東京で不動産仲介をやっていた時でも、やれ風水や方角やなんちゃら占術みたいな“先生”を連れてくる人でちゃんとした契約になったことがない。
特に沖縄のユタはそこかしこにいて、普通のお婆ぁやおばちゃんがユタを名乗ることも多く、東京のそれ以上に頻出してくるから厄介。

「私、視えるよ〜。」
と主張するおばさんが10人に一人は居るのが沖縄の田舎あるあるだ。
そのおばさん方が本当に視えるかどうかは定かではないが、私の親戚で本当に視えるおばさんがいて
「私が視てしまって誰かに何かを言ってその人の人生を変えたくないから、よほど命に関わるようなことじゃなければ口出しをしない」
と言っていた。
本当に視える人は他人の人生を簡単に左右してしまうから簡単に人にアドバイスしないのだそうな。

これを聞くと横槍を入れてきて人の人生(契約)をしっちゃかめっちゃかにするおばさんたちに殺意を覚(自粛)

・・・・脱線したので本題に戻ります。


ユタに見せることを一応松田さんに聞いてみよう。

「松田さん。例の一番手さんが契約前にユタに物件を見せたいと言っていますがよろしいでしょうか?」
「ごめんなさい。私はユタを信じて痛い目に遭った人をたくさん見てきたので、お断りをお願いできますか?買主さんの気持ちも汲んであげたいのは山々ですが・・・」

ですよね〜www嫌な予感が少し的中。
松田さんは精神科医。
いろんな患者さんを診てきてこのユタのせいで悪化した人をたくさん知っているんだとか。

沖縄の人でユタ買いみたいにユタを全面的に信じる人もいるが
『ユタを嫌いな人も相当数いる』ということを覚えておいてほしい。

占い師や風水を信じないという人は多いと思うが【占いが嫌い】という人はあまりみない。

だがユタを嫌いな人は結構いる

「あ、じゃあユタに見せるのは断っておきますね」
「はい、すみません。契約して物件を引き渡した後とかなら何してもいいんですが、、、よろしくお伝えください」

丁寧な松田さんの対応。
よし、清原にわかってもらうか。


◆交渉


「すみません清原さん。売主さんが契約前にユタに見せるのはNGと言ってきました。ただ、引き渡しに祈祷したりする分には問題ないとおっしゃっています」
「え。。あ〜確認します」


また確認かよ!もういっそのことその上司を窓口にしろよ!!!www

「金城さん。どうしてもユタに見せたいんですが再度お願いできませんか?」

おい!!!www
ダメっつってんだろうがwww


「清原さん。一度断られているんですが、再度お願いすることでこの買い付けのお話が無くなってもいいということでしょうか?売主さんも色々と考慮してからの回答でしたので。。。
買い付けが破棄になる覚悟があるのであればもう一度売主さんにお願いしてみますが・・・」
「確認します・・・。」

また上司かよ。手間かかるな〜・・・
なにやら電話口の後ろでごちゃごちゃ相談している様子が聞こえる。
保留にしろよな・・・こいつダメ営業かもw


「あ。はい。もう一度交渉をお願いします」

まじかよwww
金額とか引き渡し条件とかの交渉でシーソーゲームはよくあるが
ユタに見せる見せないでこんなやりとりすんのは初めてだ。

ま、話が壊れてもいいという覚悟ならやってやるよ。


松田さんに再度お願いの電話をしてみる。

「金城さん。その会社のお話はお断りしてください。こちらの気持ちを全然汲み取ってくれていないみたいですね。
いくら満額でもこれだと実家を売り渡すのに後味が悪いです。
再度募集をしてもらうのでお手間かもしれませんが。。。」

「はい。私は大丈夫です。
確かに松田さんのご意向を一切無視されている状態ですもんね。
ではお断りして再度募集をかけようと思います」

やっぱりね。ユタを嫌いな人にユタをゴリ押ししてもこうなるよな〜
ま、しゃあない!切り替えて再募集だ!


「清原さん。売主さんのご理解をいただくことができませんでした。
なので今回の買い付けは無しということでお願いいたします。売主さんからも御社の買い付けを破棄してくれとのご意向がありました。
お力になれずに申し訳ないです」
「え?そうなんですか?わかりました・・・・。ガチャ」


ふぅ〜。。。
ま、こっちもユタが出てきてあれやこれやイチャモンつけられても嫌だしw
結果オーライだな♪


トゥルルー・トゥルルー・トゥルルー・・・

ん?清原?

「はい。金城です」
「金城さん。今事務所にいますか?すぐ行くのでちょっと時間ください。ガチャ」

ん???なんだwww
一応時間はあるけど、再募集の看板とか用意しないといけないんだけど・・・面倒臭い事になる雰囲気がブンブンする・・・

30分後事務所にやってきたのは清原と上司。

上司の開口一番のセリフがこれ

「おい!こっちが買うって言っているのにちゃんと纏めないで、一方的に買い付け破棄とかありえないだろ!どういうことだ!仲介の責任を果たせよ!」



・・・・は?

清原はおどおどしながら上司の横に立っている。


長くなったので次回へ続きます。


次回予告
・ユタはどうなる?
・上司の言い分は?
・さよなら天さん!餃子の捨て身の戦法

乞うご期待♪

次回:ユタ。信じますか?#2


では〜

HPでは不動産に関することとか沖縄の不動産あるあるについてのコラムを公開しています!
ご興味がある方はそちらもお読みください♪
沖縄不動産あるある→REGATEコラム
不動産テックのこととかそんな感じ→REGATEコラム


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!