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僕たちの奪還大作戦#1

こんにちは。
㈱REGATEの金城です。

本日の体験談は
「奪還大作戦」です。


世の中には星の数ほど騙される人が居るし、
またそれを騙す人もたくさんいます。

そしてその騙された人を救う人もいます。

今回はとある大手の建築会社さんの詐欺まがいの営業とのやり取りを赤裸々に告白!

彼らの手口もケーススタディになるようにできるだけ細かくご紹介します!

ではど~ぞ~


◆相談依頼


トゥルルルー・トゥルルルー・トゥルルルー・・・

「はい!㈱REGATEの金城です!」
「はじめまして。楠と言います。あの~まだ不動産の売却とかでは無いんですが、ちょっとだけ相談したくて・・・いつもコラムを拝見させていただいてて、何かあったらご相談したいなと思っていたんです」

私の過去のコラムを見た方からの相談事案が増えてきた。
内容はおふざけばかりだけどありがたいお話だ。

「はい!大丈夫ですよ!どのようなご相談ですか?」
「○○市△に実家があって、古いアパートなんですけど。父親の名義ですが父親は痴呆が入っ入院していて、相続の事で相談していたら母親がD建託の営業さんに騙されているみたいで。契約書は無いみたいなんですが設計図面は手元にあって。。。お金を既に400万円振り込んでしまったらしく。キャンセルをしたいといっても知り合いだから無理かもと言ったり。別の物件を担保にするとかいうし。。。」


ん?何だろう?香ばしい臭いがする。

Dさんの強引な営業にやられた?

契約をしていないけど既にお金を振り込んだ???
何じゃそら?契約していないのに?
入院中の痴呆の父親が??
いや、Dの営業なら父親が一時帰宅している時に請負契約書にサインをさせた可能性もあるか?もしくは入院先で?
司法書士同席とか?
契約していないけど設計図面がある?
知り合いだから無理?


情報が大渋滞を起こしているw


う~ん。。。
とてもじゃないけど電話口ですぐに返答できる案件じゃない。

サブリースだとかDのやり方とかややこしい内容も確認したいし。


「楠さん。少し話が根深そうなので一度お会いしてお話をしませんか?もしよければお手元にあるDさんの資料をすべてお持ちいただいて、そこから状況を把握したいと思いますがいかがですか?」
「え?いいんですか?売却予定もないから不動産屋の金城さんには何の得もない相談なんで時間まで取ってもらえるのは申し訳なくて・・・」
「大丈夫です!気にしないで下さい!私ができる事があるなら何でもアドバイスしますから」

「ありがとうございます。では明日の13時にお伺いしてもいいですか?」
「大丈夫ですよ♪お待ちしています!」

不動産屋には何の得もない相談なんてありません!
こんがらがった案件のご相談は不動産屋の栄養です!
我々はややこしい案件の搾りかすを集めてご飯を食べているんです!


久しぶりのDとの抗争になるかも♪
おらワクワクしてきたぞ♪
(怒ったら髪の毛が金髪になる星人とは一切関係ありません)




◆準備等申込書



翌日。
約束の時間に楠さんは来店してくれた。

「これが全部です」

見せてもらった資料の中には確かに契約書はない。
図面というのも土地の形状に対して適当にCADでパースを嵌めただけの簡素なもの。
ただ、素人が見たら本格的に設計に着手していると勘違いしてもおかしくないような外装で綺麗に装丁されている

恐らく見込み客となった楠さんの母親を落とすために公図から図面を出して
「こんな感じのプランでいかがですか?」
みたいな提案をしたんだろう。

あと、400万円を振り込む原因となった資料にはお父さん名義の署名とハンコがつかれている。

その書類がこれ
「建築工事請負契約準備等申込書」


・・・何だこれ?【準備等申し込み】???
なにやら1億5000万円の建築請負契約をする前に事前確認しています〜みたいなそれっぽい内容の紙っぺら一枚。
設計代金
工事費用
その他ちょこっとそれっぽい数字が並んでいる。

上記の準備に合意すればこちらへお振込みください。という締めの文言。
解約条項の記載は一切なし。
解約期限とかも書かれていない。。。
合意に至った後に履行に着手したら解約できない。みたいな文言も探すが無し。

楠さんに聞くとお父さんの署名は全てお母さんが代筆で行ったとのこと。

認知症で入院中のお父さんの署名を母親が勝手に代筆。
これでこの申込書に対する本人の意思能力がない事も明らかだろう。

「解約できない」とか「違約金発生」とかを書き込んでいないのは正式な請負契約でも無いし、軽い気持ちで申し込みをさせるためにお母さんの警戒心を限りなく薄くすることが狙いか

合意後に解約したら実費は負担してもらうと書かれているけど、
簡易図面のパースの発行日はこの合意書の日付の前だから
実費負担を請求されても跳ね返せそうだな。。。

う〜ん。解約を申し出ても問題にならない気しかしない。


相手が強ければ強いほどワクワクするのに。。。ちょっと萎えたな。。。
おらEDになっちまうぞ
(瀕死の時を乗り越えたら強くなる星人とは一切関係ありません)


◆身近な人物の犯行



とにかくそれっぽい書類を用意して施主をその気にさせるための資料。
お母さんをその気にさせてハンコをつかせて断りにくくさせて、更に一時金の名目でお金を振り込ませて引くに引けなくする・・・
詐欺師の常套手段やん。

「お母さん。もう図面もできているしお金も一部振り込んでもらっているし。もう断れないよね?」

というありきたりの嵌め込みパターンが見て取れる。

この営業はきっと
「いよっしゃ!楽勝でんねん!店長!この案件決まりまっせ!振込も確認できましたでっしゃろ!」
って祝杯をあげただろう。

ちゃんとやるつもりなら認知症のお父さんがいる時点で時間をかけてでも家族全員を巻き込んでから署名押印をさせて振込させないと。
言いやすいお母さんだけで話を進めても家族の反対で簡単にひっくり返るし。この営業マンまだまだ詰めが甘いな。。。


「楠さん。この内容なら解約する旨を伝えたら大丈夫だと思います」
「本当ですか?よかった〜。でも断れるかな・・・」
「あ。お電話で知り合いとかなんとか言っていましたね?」
「はい、この営業の人、小林さんっていうんですけど前に実家のアパートを管理していた物件管理担当なんです。小林さんが久しぶりに顔を出してくれて嬉しかったって母が言っていたのを覚えています。」

********************
ここで疑問が一気に解けた。


楠さんの実家は一階部分にご両親が住んでいて上階を貸し出しているよくあるタイプの住居兼アパート。
その時の管理担当者が最近Dに転職して楠さんのお母さんに取り入ったとのこと。

なるほど。長年物件担当だったし、転職したけどまだあなたを気にかけていますよって顔を出しに来て、いろいろ話をしながら懐柔したりして近づく。
んで建物の老朽化を心配するふりをして建て替えを提案したってことかな。
いや、もともとこのお母さんなら言いくるめられると確信していて近づいてきたと考えるのが妥当か。
どっちにしろ最初からターゲットとして見込み客にしていたのは明らかだよな。


旦那さんが認知症で入院してしまって時間を持て余しているおばあちゃん。
そんな時に昔の担当者が久しぶりに顔を出して世間話をしに来る。
更に相続の話とか建物の老朽化の心配とか身の回りの心配をしてくれるとか独居老人にとってこんなにうれしい事ないもんな。

※令和3年度D東建託建築営業士の勉強をしている人。これ要チェックです。必修項目です。


悪いけどお母さんは詐欺師にとっては絶好のカモだ。。。

********************

「母親は顔見知りだからって小林さんを信用しきっていたみたいです」
「ちなみにこのお話の時は楠さんとかご家族は同席されてなかったんですか?」
「私たちは一昨日お金を振り込んだ後に母から聞かされました。
多分、小林さんは母親が一人でいる時間を把握していたんだと思うんですね。長いこと物件の管理をしていたから母親の日常の行動パターンも知っていたんだと思います」

確かに長年物件担当をしていればオーナーさんがいつ頃在宅しているかとかが手に取るようにわかるはずだ。更にお子さんたちが同居してるとか独立しているかも把握できる。

顔見知りで家族構成も把握できてて、さらに1人の時間も狙い撃ちできる。管理物件の担当者ならオーナーを騙すために懐に入り込むための最高の条件が揃っているな。

「でもお父さんは高齢なんですよね?億を超えるローンとか組めないんじゃないですか?」
「父親は昔からの地主で担保になる不動産がたくさんあるんです。管理会社だったから父の資産状況も把握していたんだと思います。母親も父が入院したころから相続の事とかが気になるって言っていたし。。。ただ、あまりにも早く話が進むから母親も段々と不安になって私たちに相談してくれたんです。」


「私たち」というのは沖縄に住んでいる楠さんご夫妻。
他の家族は姉夫婦がいるが東京に住んでいて電話で相談するくらいしかできていないらしい。

小林はDに転職したてで早く成果をあげたくて必死なんだろう。
大きい案件を決めるには少し焦りすぎているのが読み取れる。

断る事はできそうだけど楠さん達だけで毅然と断るのは難しいかもしれないな。お母さんと楠さんの女性だけで断りに行くとまた丸め込まれるかもしれないし。。。よし、やってやろう。
上手くいく保証はないけどこんな悪い奴はやっつけないとな。


「楠さん。今度小林さんに断りのお話をしにDさんの支店まで一緒に行きましょう。」
「え?いいんですか?助かります。。。でも。。。」
「ちなみに東京のお姉さんとその旦那さんは小林さんと面識ありますか?」
「いえ、姉は小林さんを見た事あるくらいだと思います。ですが流石に旦那さんまでは会っていないと思います」
「では大丈夫です。小林さんには今後の話がしたいとだけ伝えてアポを取ってください。できるだけ早くお願いします」


さぁ。今回も長くなってきましたのでこの辺でw


次回予告
・小林に引導を渡せるか?
・お金は返ってくるのか?
・タラちゃん。タマを蹴る

の三本です!

ご期待ください~

次回:僕たちの奪還大作戦#2

では〜

HPでは不動産に関することとか沖縄の不動産あるあるについてのコラムを公開しています!
ご興味がある方はそちらもお読みください♪
沖縄不動産あるある→REGATEコラム
不動産テックのこととかそんな感じ→REGATEコラム


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!