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"凛として弓を引く"を読んで

”弓道”は知っていますか?見たことはありますか?弓道を知っている人は大勢いたとしても実際に見たことがある人は少ないと思います。そんな弓道を高校の”青春”とともに描かれた小説を紹介しようと思います。


読むことになったきっかけ

読むきっかけは”弓道部に所属しているから”、というのが理由です。純粋にやっている側としてどのように描かれているのかが気になりました。加えて、大学生協でおすすめの本として展示されていたことが理由です。大学生協には結構面白い本が展示されているんですよね、、、。それで腰を据えて読んでみることにしました。

概要

あらすじ

主人公の矢口楓は高校入学前のある日、神社を通りかかる。神社の大木の緑をくぐり抜けた先に弓道場があった。そこには黒と白の袴を着付け、凛々しく弓を引く人の姿があった。楓はその姿に魅せられ弓道の扉を開いていく

聖地

小金井(詳細は不明)

主要な登場人物

矢口楓:本作の主人公。女子高校生。近所を散策していたところ神社に敷設されている弓道場を見つけ、弓道に興味を持つ。
矢口大翔:主人公の弟。生意気な発言ばかり目立つが、時折の励みとなる発言をする。
真田善美:楓と同級生。マイペースな性格だが、弓道センスは抜群。
真田乙矢:善美の兄。弓道二段をもつ。兄妹揃って弓道センスあり。
モロー:大学の留学生。知的で鋭い発言をする。

感想

本作では、弓道描写がとてもよく描かれています。著者は弓道をやったことがあるのかもしれませんね。弓道は少しのずれで飛んでいく矢の方向が大きくずれます。作中では、弓道の型や気持ちに関する悩みが描写されていました。弓道経験者はとてつもなく同意できると思います

また、弓道用語が頻繁に記述されているのも本作の特徴といえるかもしれません。射法八節や天文筋、十文字などの用語が登場しそれらを実践し体にしみつかせていくことが描かれています。”スポ根”のような熱さはないかもしれませんが、”わびさび”と言うのでしょうか、、、静かな面白さがあります。
ちなみに、主要な登場人物には弓道に関する名前に因んでつけられています。矢口、真善美、乙矢…etc。すべては解説しませんがそういう視点で見ると物語の内容をつかむのに大きなヒントとなるかもしれません。

本作で一番印象に残った描写は段位審査です。審査は特定の会場で行われ、本作では”至誠館”です。明治神宮の敷地内にあります。私も初段を取ったときにお世話になりました。至誠館は綺麗な道場です。作中でも描かれています。弓道をやっている方は一度は行ったほうがいいです。これから弓道をやる方はよいモチベーションとなるかもしれません。気になった方はぜひ訪れてみてください。

余談

著者の経歴を見ると、東京学芸大学と記述されていました。私は学芸大の道場に行く機会がありましたが、道場はとても広く、きれいでした。高校生の方の大学選びの参考になればと思います。

おわりに

本作の続編として、”青雲編”と”初陣編”の2巻が刊行されています。この作品を読んで興味をもった方はぜひ続編を読んでみてください。私もいずれ感想を書こうと思います。

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