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日本の古来からの食べ物 うどん

 日常的に我々のお腹を満たしてくれるものに麺類がある。世界に冠たるラーメンはもはや日本代表の様相を呈しているが、元は江戸末期に中華麺が伝わり、近代になって急速に国内に広まったもので日本古来の食べ物ではない。同じ小麦粉を原材料とする昔からある食べ物といえばうどんである。

 そもそも大麦や小麦は一万年くらい前の西アジアに雑草として生えており、粒が大きくでんぷんが多く栽培もしやすかった様で、砕いて焼いて食べられていた。大麦のおかゆが好まれた時代もあったが、紀元前三千年頃より石臼が発展して小麦のパンが食べられるようになる。小麦はユーラシア大陸に拡大していき、中国では麺や餃子の皮に、ヨーロッパではパスタになっていくのも面白い。日本書紀によると小麦は推古天皇時代に日本へ入って来たとされるが、弥生時代の遺跡からも見つかっている。

 うどんの起原は諸説あってよくわからない。
 遣唐使が中国からそうめんの製法を伝えた説がもっとも古い。
 奈良時代の唐の餡入りの団子状のお菓子混飩(こんとん)や中国のワンタン、平安時代の延喜式にある唐の菓子の索餅(さくべい、そうめんの元)、大河でお馴染みの藤原実資の日記「小右記」にある一条天皇が食べた餺飥(はくたく、ほうとうの元)など小麦を材料にした様々な食べ物が大陸より伝わり各地へ広まった。鎌倉時代1241年に宋から戻った静岡茶の祖として知られる聖一国師は製麺の文化や技術も伝えた。しかし製粉技術が遅れていた日本において小麦粉が庶民に広まるのは江戸時代なってからで、今のようなうどんや天ぷらはカツオ出汁と共に全国に普及浸透する。

 JAS規格では機械成形による乾麺は以下の太さで分類される。
   そうめん<1.3mm<=冷や麦<1.7mm<=うどん(機械麺)
 手延べ麺はまた別の規格があるが、厳格なものではないらしい。

 手打ちうどんは生地を練って一定時間寝かせた後、踏んだりしてグルテンを育てて平たく伸ばしそれを切る。コシがあるのが特徴。弾力性がある。
 手延べうどんは練って寝かした生地を二本の棒を使って繰り返し伸ばしていく。細さとのど越しが特徴となる。

 美味しいうどんはたくさんある。讃岐、稲庭、水沢、結城あたりがお気に入りだ。釜玉でもいいし、夏は冷やしぶっかけも食欲をそそる。お揚げや揚げ玉だけでなく、大根おろしやとろろもいいが七味唐辛子は必須だ。たっぷりの野菜と煮込む山梨のほうとう、名古屋のきしめん、群馬のおきりこみ、長野のおぶっこなどの幅広うどんもなめらかな食感が心地よい。真冬の鍋焼きうどんは体を芯から温めてくれる。牛すき焼き風や柏鶏、最近ではカレーも人気だ。かき揚げと温泉卵の温かいうどんの回数が一番の多いかも。

 小麦粉のうどんの進化にも心からありがとうを申し上げたい。

【REG's Diary  たぶれ落窪草紙  8月4日(日)】





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