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「海外は遠くになりにけり」NY一人旅が初海外であった話

 インバウンド効果により外国人を多く見かけるようになって久しい。外国人旅行者は、日本の伝統文化に恐れおののき、街の清潔さや便利さに感動し、日本の食のレベルの高さに舌鼓を打つであろうと、勝手に希望的な外国人旅行者の胸の内を述べてみた。「どうでぃ~、日本はいい国だろうっ。」

 拙は沖縄も九州も北海道にも行ったことがない。四国に至っては滞在時間15分、瀬戸大橋を車で渡り、櫛に刺さった練り物を食べて戻って来た。北は仙台、西は岡山、ほとんど国内を知らない。
 かといって海外をいろいろ渡り歩いてるわけでもないが、海外へは20回ほど出かけている。ほとんどはアメリカ合衆国である。欧州は全く知らない。

 初めての海外旅行がNewYork一人旅。30歳くらいであったろうか。この旅を成功させるために、週一で英会話を一年ほど習った。
 
 当時のNYはジュリアーニ氏が市長になる前で、世界一治安の悪い街だった。後に彼が市長になりNYの観光化のために悪党どもをマンハッタン島から追い出し、比較的安全な街となる。確かに当時旅行会社からもらった地図にマーキングがしてあり、ここに一人で行くと撃ち殺されるかもしれませんと脅された。
 NYは素敵な街だった。おとぎの国のようなセントラルパークを散策し、美術館で至福の午後を過ごし、チャイナタウンでディナー(一人だけど)、5番街をウインドショッピング(高くて買えないから見るだけだけど)、今は亡き貿易センタービルから眼下にブルックリン橋を見て、エンパイヤステートビルの屋上テラスから夜景を見て、ブロードウエイでコーラスラインを見て、ジャズクラブでジミースミスを聴いた。様々な名画のシーンが蘇る。
 
 NYは人種の坩堝であり、貧しい移民も沢山いる。英語を話せない店員、怪しげな薬を売っている歯の無い若者、頭に包帯巻でウインクしてくる長身の黒人、派手な格好で通りに立つ美しき娼婦たち、枕銭を忘れるとベッドメイキングしてくれないホテルのおばちゃん、でも皆明るく元気で悲壮感などない。都会としては東京の方が洗練されていると思うが、街とそこで生きてる人々の圧にも近いパワーはは心地良ささえ感じる。皆生きるのに必死で、それを隠そうとしない。パワーを沢山もらって帰って来た。
その後、お金と時間ができればNYへ行くことになるのだが。

 NYに久々に出かけてみたいと思うのだが、まず十時間以上も飛行機に乗れるか心配、この円安じゃお金をバラマキに行くようで楽しめそうもない(もっともそんな金もないのだが)、コロナ以降NYの治安は昔に逆戻りらしい、以上の理由により海外へは行かないことにした。残念。

【REG’s Diary    たぶれ落窪草紙  1月11日(木)】
 

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