イム様とアマルナ革命ーワンピース考察
今更ワンピースにハマって感想なら考察も読み漁ってるんですが、考察を読む中で意外と掘られていない考察をまとめてみました。
空白の100年の設定はアマルナ革命というエジプトで起きた世界最古の宗教革命から多大なインスピレーションを受けているのではないかという説です。
アマルナ革命とワンピースを重ね合わせると、イム様の正体、イム様の不自然な格好の理由、Dの一族が死ぬ間際に笑う理由、ネフェルタリ・リリィとイム様の関係などが見えてきます。また、関係者とその後の歴史を深堀りすると、ジョイボーイの設定やラフテルの正体も推測出来ました。
イム様とメジェドーその正体
まず、考察の手がかりとして、イム様は間違いなくエジプト神話の神メジェドを意識した見た目だよねという所から始めました。Xなどでも沢山指摘されているところだと思います。メジェドの事はよく分かっていませんが、
「打ち倒す者」を意味する名前
目から特大ビームを放ち、敵を一瞬で倒す破壊兵器級の存在
口から火を吹いたり、空を飛んで洪水を予知したりする能力を持つ
主食は人間の心臓
当時から誰か分からないものとして描かれている
といった特徴からもオマージュ元と見ていいくらいの類似点があります。
そんなメジェドですが正体は相当上位の神様と言われており太陽神ホルスや太陽神アメンが候補とのことです。
覚醒して太陽神ニカとなったルフィを恐れているイム様自身ももう一つの太陽神だったという事なら面白いですよね。
実はメジェドの正体とされる太陽神アメンともう一つの太陽神が対立した事件があるんです。それがアマルナ革命です。
アマルナ革命と「空白の100年」の類似点
詳細には↑等を見て頂きたいのですが、
エジプト新王国のアメンホテプ4世時代に行われた、伝統的な多神教に代わって太陽神アトンを唯一神とする一神教を創出した宗教改革
王の意志を絶対とする専制君主観王の意志を絶対とする専制君主観により王権の対抗勢力であるアメン神官団の存在を容認することができなかった
都をテーベからテル=エル=アマルナに移転した。
王の死後は改革路線は維持されず、新王ツタンカーメン王は即位するとアメン=ラー信仰を復活させ、都もテーベに戻した
アメンホテプ4世の妻はネフェルティティといい、ある時期から歴史的な記述が消えている。ネフェルティティは異国の王女であるという説や、ツタンカーメンに影響力を持っていたという説がある
信仰は宮殿の奥深くで行われていたため民衆には浸透せず、多神教の否定は一般民衆には来世の希望であったオシリス神が否定されたことになり自己の来世も否定されたように受け取った。
現在は、アメンホテプ4世時代の改革は、「アマルナ美術」と言われる新しい表現のあふれる遺品から読み取ることが出来るのみである
といった特徴があります。
まず、多神教と一神教の対立という構造が近年のワンピースに見えますよね。特に、太陽神アメンの影響を嫌って新しい神を作ったというくだりはイム様を中心とする世界政府誕生の経緯としてしっくりくるところがあります。
また、都を移住したのも勿論マリージョア移住と重なります。完成する前から都として使用してその後も急ピッチで建設が続けられたとのこと。
しかし何より、アマルナ革命のオマージュを強く想起させるのはネフェルティティの存在にあると考えます。ネフェルティティがネフェルタリ・リリィのモデルであることは間違いないでしょう。
歴史から消された存在、とある王国の王女であったという説、革命に寄与しながらもすぐにその革命を終わらせた人物である事、さらにネフェルティティは古代エジプト3大美女と言われる美貌の持ち主だった事・・等、沢山の類似点が見つかります。ちなみに、その数代後の王女にはネフェルタリというそのものの名前の人もいたりします。
さらに、アマルナ革命が失敗した理由が非常に面白いですよね。来世の希望であったオシリス神が否定されたと感じた民衆が支持しなかったという理由は死ぬ間際に笑うDの一族との関連性を強く伺わせます。オシリスの捌きにより認められた人は来世で永遠の命を得るとされていました。つまり、Dの一族が死ぬ間際に笑う理由は信念を貫き通した自分には来世があると確信しているから、なのではないでしょうか。
古代エジプトの王は来世で豊かに暮らすために死体を保存し、財宝を墓の周りに多く埋めていました。この件は下記でも掘り下げたいと思います。
最後にアマルナ美術について。気になったのは王様を描いた美術。
王様を描くときは他の人間との違いを明確にするために奇形に見えるほど誇張して描くようアメンホテプ4世の指示があったようです。イム様はさらにそれを誇張したフォルム・・と言えなくもないような。また太陽の光線が放射状に出るさまもイム様の頭や目の線と関係してるかもしれません。
アマルナ革命から導ける考察
ここまでワンピースからアマルナ革命の影響を受けた可能性のある部分を列挙しましたが、今回の仮説を用いると、今後の展開や関係性が予想できそうですよね。下に考えうる予想を並べてみました。
イム様=革命を起こした張本人
ネフェルタリ・リリィ=その妻、Dの一族側の王女?
ジョイボーイ=二人の子ども、幼き王子だった?そしてDの一族側についた?
ラフテル=ジョイボーイの墓
今回の仮説を当てはめると、イム様が多神教の世界から自分を中心にした世界政府を作った張本人ということになります。一つの巨大な王国と20の小国の戦いと言われていますが、実はその時点で王はいて、勢力を伸ばしている一つの国VS王+20の連合国という事にすれば筋が通るでしょうか。
そもそも論になりますがジョイボーイが巨大な王国側で真っ向から戦っていたという可能性は低そうですよね(ベガパンクも正義がどちらにあるか分からないと言っていましたが、巨大な王国が天下統一のために本気で戦争していたらルフィとの共通点は無くなる気がしますし、エルバフやワノ国の助けがあれば負けなそうですからね)。
そして、ネフェルタリ・D・リリィはイム様の妻であったということになります(!)。ただ、イム様はリリィに執着していますし、リリィの面影があるビビにも御執心なので、恋心があったというのは多くの人が考える所だと思います。ちなみにイム様女性説については今回の仮説ではあまり考慮していません。なぜならメジェドやアマルナ美術はそもそも性別不明に描かれるものだからです。
しかし、イム様がジョイボーイにも強い感情があることから、三角関係の恋敵だったんじゃないかとか、当時は許されない同性間の禁断の恋など様々な考察が出ています。そこで今回アマルナ革命をもとに導かれた考察が、
ジョイボーイはイム様の子供、つまり史実でいうツタンカーメンがモデルという説です。
ただ史実から繋げてるだけじゃないの?と思われるかもしれませんが、一応根拠があるんです。ツタンカーメンの墓は3000年以上後の1922年ほぼ無傷な状態で発見され、世紀の大発見と言われました。多くの人が発掘を諦める中、ある発掘家の執念の探索によりついに見つかりました。ツタンカーメンは忘れ去られた王でしたが、墓の発見により一躍有名になり、様々な事実が分かりました。また、墓の発掘に関わった人が次々と亡くなり、呪いだと言われました。
ラフテルにジョイボーイが残した様々な情報と財宝、それを見つけたゴール・D・ロジャーと重なる部分が多いと思いませんか?
当時の古代エジプト王達は、(アメンホテプ4世を除けば)オシリス神と来世の世界を信じており、来世で永遠に生きるために、墓には多くの食料や日用品が埋葬されました。
”死なない”Dと不老不死のイム様の対比になっていますよね。
ロジャーのかの有名な冒頭のセリフはウィリアム・キッドが絞首刑になる前に「自分はある場所に財宝を隠している」と叫んだことが元ネタだと言われていますが、実はその財宝の中身は海賊の宝とは関係なく、古代エジプトから連想したものではないか?というのが今回の説です。
まとめ
イム様はメジェドをモデルに作られており、その中身は太陽神である
空白の100年とイム様絡みの描写の多くはアマルナ革命をモチーフにしている
ネフェルタリ・リリィは忠実の人物ネフェルティティをモデルにしており、忠実を元にすればイム様の妻であり空白の100年の最重要人物であると考察できる
ジョイボーイはツタンカーメンがモデルであり、イム様の息子で幼き王子であったと考察できる
ラフテルはジョイボーイ(あるいは歴代の王)の墓であったと推察できる
最終的にぶっ飛んだ考察になった気がしますが、アマルナ革命とワンピースの関係はもっと深堀りされる価値があるというのが今回調べてみた感想です。ロックスやガーリング、五老星については特に触れませんでしたが、別のモチーフがあるのか、はたまた近い歴史にヒントがあるのか考えるのも楽しいですね。
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