ポケモンWCS2023「ゲーム部門」観戦ガイド
記事をご覧いただきありがとうございます。
ゲームキャスターを副業として楽しんでいるRefu(れふ)と申します。
大変ありがたいことに、2018年から2022年までポケモンWCSの配信に出演させていただいております。
いよいよ来週末 8/11(金)-8/13(日) にかけて「ポケットモンスター」の世界大会「ポケモンWCS2023」が日本・横浜で開催となります。
WCSはこれまでアメリカやカナダを中心に開催されており、2022年には、ヨーロッパ地域として初めてイギリス・ロンドンで開催となりました。
ライブ配信もありましたが、時差の関係で日本時間の深夜~早朝での配信となっており、リアルタイムでの視聴は難しかったと思います。
しかし今年はアジア地域の国として初めて、日本での開催となりました。
ぜひともみなさん、リアルタイムで配信をお楽しみください。
この記事では「ポケモンSVのストーリーはクリアしたけど、ダブルバトルは全然わからない」という人だったり「ダブルバトルは最低限わかるけど、最近はどんなポケモンが流行りなのかわからない」という人向けに「この辺を抑えておくと楽しめますよ」というポイントを紹介します。
WCS2023の配信を少しでも楽しんでいただくことが目標です。よろしくお願いします。
初心者向けダブルバトル解説
ダブルバトルとは
その名の通り、2匹のポケモンを同時に繰り出して対戦します。
手持ちポケモン(対戦ではバトルチームといいます)はストーリーと同様に6匹ですが、対戦ではその6匹の中から4匹を選択してバトルに繰り出し、先に相手のポケモン4匹を倒したプレイヤーの勝利です。
面白ポイント:味方のポケモンをサポートできる
ダブルバトル専用の技、特性があり、味方のポケモンをサポートできます。具体的な例だと、味方のポケモンの技威力をあげる技の「てだすけ」や、味方のポケモンが受けるダメージを減らす特性の「フレンドガード」などがあります。
ダブルバトル専用ではないですが、シングルバトルよりも使いどころが多く強力な技というものもあります。例を挙げると「ねこだまし」などです。
個人的にWCS2023は「ねこだまし」が飛び交う年になる予想です。
「ねこだまし」で相手のポケモンを1匹ひるませている間に、味方のポケモンがひるんだポケモンを倒す、「トリックルーム」をする。などは配信でも見ると思います。
面白ポイント:「まもる」が熱い
ダブルバトルでは、自分の2匹のポケモンで、相手の1匹のポケモンに集中攻撃をすることができます。耐久力が高いポケモンでも、2匹から攻撃を受けると、1ターンでやられてしまうことがあります。
が、そんな簡単な話とならないのが「まもる」の存在です。
2匹のポケモンが集中攻撃をしかけた相手のポケモンが「まもる」を使った場合、攻撃はすべて無効化されます。画像の例だとニャオハは自由に動けるので、ピカチュウ側が完全に損をしたターンとなります。
次に、少しだけ難しい話をします。バトルでは「すばやさ」の高い順に行動します。今、下の画像のようにポケモンが4匹場に出ていて、すばやさが高い順に①~④となっていたとします。
話を簡単にするために、弱点となるタイプでは、すべて一撃でポケモンを倒せる前提とします。
今回の例だと、
①一番すばやいニャオハがクワッスの弱点を突いて倒します。
②クワッスは倒されているので何もできません。
③マメバッタがニャオハの弱点を突いて倒します。
④ホゲータがマメバッタの弱点を突いて倒します。
すると最後にはホゲータが残り、右側有利です。
しかし、クワッスが「まもる」を使いニャオハの攻撃を防いだ場合、話が変わってきます。
⓪先制でクワッスが「まもる」を使います。
①ニャオハの攻撃は「まもる」で防がれます。
③マメバッタがニャオハの弱点を突いて倒します。
④ホゲータがマメバッタの弱点を突いて倒します。
すると最後にはクワッスとホゲータが残り、次のターンはクワッスが先に行動してホゲータを倒せるので左側有利です。
このように「まもる」1つで試合展開が大きく変わります。
WCS2023では選手のバトルチームのポケモンが、何の技を覚えているのか事前に公開されるので「まもる」の有無や、どのタイミングで「まもる」のかなども注目ポイントです。
ダブルバトルは選択肢が多い
シングルバトルとの違いの1つとして、選択肢の多さがあります。
シングルバトルで1ターンでできる行動は「技をつかう」「交代する」の2つです。それぞれ技は4種類、交代するポケモンは2種類とすると、全部で6パターンの選択肢となります。対戦相手も同じく6パターンの選択肢があるので、1ターンで起こる試合展開は全部で36通りです。
※ 話を簡単にするために、テラスタルする/しないの選択肢は省きます
ダブルバトルを考えてみましょう。1ターンでできる行動はシングルバトルと同じく「技をつかう」「交代する」の2つですが、ダブルバトルでは技を使う際に「どのポケモンに」技を使うのか選択します。味方のポケモンも選択できるので、選択肢は3倍となり「技をつかう」だけでも12パターンの選択肢があります。交代するポケモンは2種類なので、選択肢は14パターン。というのが1匹目の選択肢で、2匹目もほぼ同様の選択肢があり、組み合わせると100パターン以上になります。対戦相手のことも考えると、1ターンで10000通り以上の試合展開が起こりえます。
選手は限られた時間の中で、勝利へとつながる行動を、論理的思考または経験則から考え、選択します。
トッププレイヤーでも最善の選択肢を選び続けることは難しく、そのため大逆転や、想像できなかった展開が起こるのがダブルバトルの見どころの一つです。
最頻出ポケモン3選
7月1日からレギュレーションが変わり、ポケモンHOMEを経由して、ヒスイ地方のポケモンや、剣盾以前の環境で育てたポケモンも一部、対戦で使用できるようになりました。ここではWCS2023で何度もその姿を目にするであろうポケモンを簡単に紹介します。
ハバタクカミ
このポケモン無しでは、対戦は語れないぐらい対戦の中心にいるポケモン。
「とくこう」「とくぼう」「すばやさ」がとても高く、油断するとすべてのポケモンが倒される。
■メジャーな育成法
①ブーストエナジーを持つハバタクカミ
最近は「HP」と「ぼうぎょ」のきそポイントをあげて、ブーストエナジーで「とくこう」があがるように育成されていることが多い。パオジアンの「つららおとし」を耐える耐久力が目安。
技構成は「シャドーボール」「マジカルシャイン」「ムーンフォース」「まもる」が一般的で「トリックルーム」も選択肢。
テラスタイプは「フェアリー」が多く「みず」もそこそこいる。
②こだわりメガネを持つハバタクカミ
基本的には①と同じ育成方針だが「まもる」の代わりに攻撃技を1つ覚えていることがポイント。一番多いのは「10まんボルト」だが、他にも選択肢はあり。
①の育成方法より「すばやさ」が高い傾向があると思う。
全人類がハバタクカミに負けないようにハバタクカミを育成している。
WCS2023で最強のハバタクカミを育成できるのは誰なのか。
ウーラオス
「れんげきのかた」と「いちげきのかた」があるポケモン。
「れんげきのかた」だと「かくとう・みず」タイプ、
「いちげきのかた」は「かくとう・あく」タイプになる。
特性「ふかしのこぶし」は「まもる」などを無視してダメージを与えることができる。専用技の「すいりゅうれんだ」「あんこくきょうだ」は必ず急所にあたる技で、自分の攻撃ランクダウン、相手の防御ランクアップ、相手の「リフレクター」などの防御アップを無視できる。いろいろと無視しすぎなポケモン。
「れんげきのかた」の方が数は多いが、最近は「いちげきのかた」の評価も高い。
■メジャーな育成法(れんげきのかた編)
もちものは「しんぴのしずく」「こだわりスカーフ」が多く、「きあいのタスキ」もある程度はいる。
技構成は「すいりゅうれんだ」「インファイト」「アクアジェット」「みきり」が基本で「こだわりスカーフ」を持つ場合は「とんぼがえり」を覚えていることが多い。「アイススピナー」を覚えていることもある。
きそポイントは「こうげき」と「すばやさ」そして耐久力を、倒したいポケモン、自分のバトルチームと相談して調整といった感じ。
テラスタイプは圧倒的に「みず」が多く、攻めのテラスタル使い。「フェアリー」と「ひこう」の弱点も消えていい感じになる。ゴリランダーがもっと増えると、少し変わるかも?
■メジャーな育成法(いちげきのかた編)
「れんげきのかた」と比較すると、もちもの「こだわりハチマキ」が多く、「こだわりスカーフ」が少ない。
技構成は「あんこくきょうだ」「インファイト」「ふいうち」「みきり」が基本で「こだわりスカーフ」を持つ場合は「とんぼがえり」を覚えていることが多い。この辺は「れんげきのかた」とほぼ同じ。
「どく」タイプのテラスタルと相性が良く、「どくづき」を覚えさせて「フェアリー」タイプを返り討ちにすることができる。
きそポイントも「れんげきのかた」と大きくは変わらない。
様々なポケモンが、ウーラオスの攻撃を耐えるように育成されている。
ウーラオスまわりの調整も、選手の腕の見せ所。
トルネロス
「けしんフォルム」と「れいじゅうフォルム」があるポケモン。
基本的には「けしんフォルム」を意識していればOK。
特性の「いたずらごころ」により変化技を先制で出すことができる。
「おいかぜ」が代名詞。
味方のポケモンのサポートが得意で、バトルチームの他のポケモンにあわせていろいろな技構成がある。
■やれることリスト
・「おいかぜ」で味方のポケモンの「すばやさ」を上げる。
「おいかぜ」をしたターンから自分のすべてのポケモンは「すばやさ」が
2倍になる。ダブルバトルの「すばやさ」勝負を激化させている1つの要因。
・「こがらしあらし」などの「ひこう」タイプの技で攻撃する。
前述のウーラオスを一撃で倒すこともできる。が、だいたいそううまくはいかない。
・「こごえるかぜ」で相手のポケモンのすばやさを下げる。
「おいかぜ」と基本的には同じ役割(相手とのすばやさ勝負を有利にすることが目的)だが、ダメージがあるため「きあいのタスキ」の対策にもなる。相手全体が対象。
・「あまごい」「にほんばれ」で天気を変える。
「あめ」状態はみずタイプの技の威力が上がる。「はれ」状態はほのおタイプの技の威力が上がり、特性の「こだいかっせい」も発動する。
自分のウーラオスの「すいりゅうれんだ」の威力を底上げしたり、相手のウーラオスの「すいりゅうれんだ」の威力を抑えたりする。
・「こわいかお」「にらみつける」でサポートする。
「こわいかお」は選択したポケモンの「すばやさ」をがくっと下げる。味方のポケモンに使って「トリックルーム」を対策するなど、おしゃれプレイもある。「にらみつける」は相手全体の「ぼうぎょ」をさげる。意外と強い。
・「ちょうはつ」で相手の補助技を封じる。
トルネロスはWCS2023の配信卓でも何度も見ることになると思います。
「こがらしあらし」は命中率80%なので、選手が祈る姿、天を仰ぐ姿を演出してくれるポケモンです。
頻出組み合わせ3選
トルネロス + ウーラオス
「相手より先に攻撃し、圧倒的なパワーで倒していこう。」の組み合わせ。
ウーラオスがまもるを無視できるので「すいりゅうれんだ」を受けることができるポケモンがいないと、一気にすべて倒します。つよい。
トルネロスは「おいかぜ」で速さを、「あまごい」「にらみつける」でパワーをサポートします。
バトルチームの6匹を考えるにあたり、トルネロス、ウーラオス以外の4匹は無限の組み合わせがあります。トルネロス、ウーラオスの2匹は「トリックルーム」に強くないので、その対策を入れるのがメジャーです。ゴリランダー入りが増えてきている印象。
戦い方としては、自分から積極的に相手を崩していくイメージです。
クレセリア + ガチグマ
レギュレーションDの開始直後から常にいる組み合わせです。
クレセリアの「トリックルーム」により「すばやさ」関係が逆転するので、すばやさ以外を育てた、耐久力もパワーも高いポケモンたちが暴れます。
クレセリアは今作で新たに覚えた技「みかづきのいのり」が強力で、自分と隣のポケモンの体力を1/4回復し、状態異常も回復します。つよい。
7月初めはクレセリア、ガチグマ、テツノカイナ、ハバタクカミ、ウーラオス、ヒードランの6匹によるバトルチームが多かったですが、最近はこの6匹の対策が流行っていることにより、クレセリア、ガチグマ以外の4匹も多種多様に変化しています。
「トリックルーム」をするターンは、どうしても相手から攻撃を受けるだけになるので、対戦の最序盤は不利となることが多いです。
「トリックルーム」が発動しているターン中に、どれだけ有利な展開にできるかがポイントとなります。
ゴリランダー + サーフゴー
おそらく、ここ最近で増えてきている組み合わせです。
ゴリランダーの特性「グラスフィールド」は、技「じしん」の威力を半減する効果があり、サーフゴーはタイプ相性的に「ノーマル」タイプに強いので、ガチグマ系の組み合わせに強いです。また、モロバレルはこの2匹に何もできないので、数を減らしていっていると思います。
トルネロス + ウーラオスと同様に、残りの4匹は無限の組み合わせがあります。ゴリランダーが「ねこだまし」「とんぼがえり」を使う関係で、交代して強いポケモンのランドロス(れいじゅうフォルム)や、ゴリランダーと弱点が被っていないヒードランが多い印象です。
流行っているポケモンたちに強いポケモン・育て方で勝とう。という考えがあると思うので、自慢の育成ポケモンがたくさん見れると思います。
その他の頻出ポケモン
ここから先は簡単に要点のみ記載します。
カイリュー + パオジアン
バトルチームに入っている数だけであれば、前述の「頻出組み合わせ3選」よりも多いと思われる組み合わせです。(ユーザー間ではパオカイと略されていますが、図鑑No順に並べないといけない病のため、カイリューから表記)
「おいかぜ」「トリックルーム」などすばやさの話をずっとしてきましたが、カイリューの「しんそく」と、パオジアンの「ふいうち」はすばやさに関係なく先制攻撃ができます。また、パオジアンの特性「わざわいのつるぎ」によりパオジアン以外の「ぼうぎょ」が下がるので、体力が少ないポケモンはすべて先制攻撃で倒せます。つよい。
この2匹はどのポケモンと組み合わせても強いので、別枠で書きました。
最近は海外大会で数が多い印象です。(日本だと少なめ)
ヒードラン
クレセリアと共に、古来より伝わるバトルの申し子です。
「じめん」の4倍弱点をテラスタルにより克服しました。天気が「はれ」状態での「ねっぷう」のパワーも高く、攻守ともに隙のないポケモンです。
テツノカイナ
「ねこだまし」が強く、「トリックルーム」を使うポケモンのサポートとしてよく活躍しています。タイプ的にウーラオスに強めなのもポイント。
特性が発動しないことに定評があります。
モロバレル
「すばやさ」がとても低く、よく相手の「トリックルーム」対策として選ばれてきたポケモンです。最近は環境的に厳しい相手が多いので、減少傾向にあります。「いかりのこな」で攻撃を自分に集めたり、「かふんだんご」で味方の回復、「きのこのほうし」で相手を眠らせるなど、サポートが得意です。
ランドロス(れいじゅうフォルム)
特性の「いかく」はダブルバトルで超重要で、場に出るだけで相手の「こうげき」を下げることができます。ウーラオス(れんげきのかた)、パオジアンなど、苦手な相手が対戦環境に多いものの、一定数は選ばれ続けるポケモンです。
イーユイ
ハバタクカミとの組み合わせが有名で、場に出ている間イーユイ以外の「とくぼう」を下げることができます。最近日本のユーザー大会で結果を残すことが増えてきている印象です。
オーロンゲ
「ひかりのかべ」と「リフレクター」で味方の耐久力をサポートし、対戦を有利に進めていくことができます。が、ウーラオスはすべて無視してくるので、そこをどう対策するかがポイントです。わかりやすいのは特性「シェルアーマー」で急所にあたらないヌメルゴン(ヒスイのすがた)。
おわりに
長くなってしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございます。
キービジュアルにもなっているシャリタツ + ヘイラッシャの組み合わせや、ウインディ(ヒスイのすがた)、最近急に増えたレジドラゴなど、まだまだ書きたい内容はありますが、一旦初心者向け解説としては終わりとさせていただきます。
あとはWCS2023のゲーム部門配信で、解説席に座っている人がいい感じにわかりやすく話してくれるでしょう。
また、解説も知らないような、選手自慢の育成ポケモンが活躍して、会場を沸かせることもあるでしょう。とても楽しみです。
自分もWCS期間中は、リアルタイムで日本代表選手を応援しながら、暑い最高の夏を過ごします。
この記事が少しでも、みなさんの観戦の役に立てば幸いです。
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