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#161:上杉軍に塩を送ったのは有名な話しですが

塩分のとり過ぎは?とらな過ぎは?
よく塩分のとり過ぎで血圧が上がるといいますが、どういう仕組みなのでしょうか?

まずは、基礎知識なのですが、血圧とは血液が流れるときに血管にかける圧力のことを意味していて、この圧力が高いことを血圧が高いといい、一般的には血管が何らかの原因で狭くなったりしたために血液が血管を押す力が高くなって起こるのが大きな原因といわれています。
さて、塩分ですが体の細胞は、外側はナトリウム、内側はカリウムの方が比較的多く含れていて、これらは普段はバランスよく一定に保たれています。
しかし、ナトリウム(塩分に多く含まれる)をとり過ぎると、先のバランスが崩れて細胞内に多くのナトリウムと、加えて水分が入り込んでしまい(ノドもかわきますよね)細胞自体が膨張してしまうのです。

これはもちろん、細胞で出来ている血管についても同じことで、膨張によって血管も狭くなってしまうので、結果として血圧が上がってしまう・・・という訳なのです(さらにナトリウムは、交感神経を刺激するので、さらに血管を収縮させてしまう作用があるといわれています)。

血圧が高いこと自体では、すぐに病気になるものではありませんが、腎臓機能の障害や動脈硬化による心臓疾患、脳卒中の引き金になり得ることがあるので、じゅうぶんな注意が必要なのです。(つい最近の研究では、症状や条件によっては塩分と血圧の上昇は無関係の場合もあるという報告もありますが・・・)

では逆に塩分を全くとらないとどうなってしまうのでしょうか。
武田信玄が、敵の上杉軍に塩を送ったのは有名な話しですが、実際に塩を全くとらないと、人間は元気が出なくなるどころの騒ぎではないようです。
体内で塩分は、ナトリウムイオンと塩素イオンに分かれているのですが、塩分が不足してこのイオン濃度の一定の数値が保たれなくなると、細胞の代謝や栄養補 給などがうまく行われなくなります。
その結果、めまいや耳鳴り、脱力感によって何かをするやる気も失い、さらには感情というものが鈍くなって無感動になるともいわれています。
しかも、さらに事はもっと深刻で、不足したナトリウムを補おうと骨成分が溶け出すので骨がもろくなる他、ときには水分の過剰摂取を行ったりすると血中のナトリウム分が薄くなって脳が膨張し、頭蓋骨との圧迫によって死につながることも稀にあるという恐ろしい話しまであります。
何にしても、とり過ぎもとらな過ぎもよくないということですね。

古賀 直樹
▼中野坂上治療院のウェブサイト
http://www.nakanosakaueseitai.com

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