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もはや、詰めるところが「切り干し大根」ではなくなってる。

青首大根と漬物大根

普段スーパーで販売されている大根は
葉に近い部分が緑の「青首大根」と
葉に近い部分まで真っ白な大根があります。

現在メジャーなのは青首大根で、
販売されている品種の多くは
苦味、辛味が少なく、甘味が強く、柔らかく品種改良されていて
一年中出回っているの特徴でしょうか。

白い大根はお正月が近くなってくると店先に並ぶ
「三浦大根」「三浦系大根」で少し硬めで
青首大根に比べアクがあるため、
調理にはアクぬきをした方が良いとされ、
けれどもアク抜きの下拵えをした大根は煮崩れが少なく、
長時間炊くほどに出汁を吸ってうまうまになるのが特徴でしょうか。

それと、期間限定で出回るのが漬物系大根で、
白くてアートバルーンのように上から下までほぼ同じ太さで
細長い形のアクや辛味もあって硬めの大根もあります。

私は甘味が強く柔らかい青首系よりも、
白い三浦系や漬物系の大根が好きで、
季節になると毎週末白い大根を売っている産直系販売店へ
足を運んで、
恥ずかしげもなくリュックからはみ出るほどの大根を背負って
帰っていました。
子供たちにはあからさまにおおきな大根を背負ってる格好が
おばさんくさくて「恥ずかしい!」とだいぶ非難されましたが、
夜にはおでん、風呂吹き、炊き合わせが食卓に並ぶと
気持ちよく器が空っぽになり、
大きな大根もほとんどが週末で消えてしまうので、
白い大根が買えるうちは「大根かつぎやむなし!」です。

変色するのは糖のせい。乾かないのは何で?

青首大根が変色するのは糖度が高いためと考え、
次は三浦系大根を購入して、
同じように千切りと拍子木で切り干しと割り干しを作ってみましたが
確かに乾燥しても白っぽいものはできましたが
やっぱり芯まで乾かない。
乾かない理由は何なのか?
そこを解明しないと切干しは作れない。
この時点で、大根の大量消費のための切り干し大根作りから
単に切干し大根にするための大根の乾燥研究に軸足は移っていたのです。
本人は気づいてなかったけれど….。

乾きが悪いのは大根の美味しい部分

芯まで乾かない切り干し大根をよく観察すると、
乾く部分と乾かない部分にかなりはっきりと分かれます。
皮の部分は乾きやすく、皮の内側の部分は乾きづらい。
何なら、表面が先に乾くとそこが膜のような効果になって、
芯から水分が抜けるのを遅くしてしまっている。

もっと細かく観察すると、千切りも厚さによって乾燥具合が異なり
ほっそーく切ったものほどよく乾き、色も白い。
当たり前といえば当たり前なんですが、
ここから更に発想が斜め上に進み始めます。

極限を追求する

細く切ったら早く乾燥して色も白くなるのなら、
「薄くすればいいんじゃない?」
そうすれば大根の皮も、水分の多い中の方も綺麗に乾くんじゃないか。
薄い切り干し大根に何の意味があるのか、
もはやそこはどうでもよくて、
とにかく大根を乾かしたい。

包丁で大根を薄く切る技術がない私。
しかし、世の中にはピーラーという超優秀な調理器具がある!
早速大根をピーラーで薄切りにして干してみました。
が、意外にもピーラーで薄く切っても
芯の部分が乾きづらいのはあまり変わりません。
心はもうモヤモヤとジリジリで燃え上がりそう!

そんな時、台所の引き出しの奥から
何年も使っていなかったもう一つのピーラーが出てきます。
それが、一時世間で流行った「超薄むきピーラー」。

現在主流のピーラーは刃がまっすぐなフラットなものがほとんどで、
最初に試したのもこの汎用タイプです。
削る厚さは1mmくらい。

「超薄向きピーラー」は刃がぎざぎざになっているもので、
当時100円で購入しました。
こちらも厚さでいえば1mmくらいですが、
切り口がギザギザで横から見るとジグザクの山形になるので
同じ1mmでも広げると半分くらいの薄さに削れるという代物。

削った時の違いが細かすぎて見た目にはあまり変わらないし、
こだわり方が大工さんの鉋削り
みたいになってきてしまっているのですが、
それでもいい、とにかくカラっカラに乾かしてやる!

この変態度が高い情熱が
見たこともない切り干し大根を産んでしまうのです。



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