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リフォレスターは「特化」した箱庭で、「万能」ではないけれど、仕組みがわかれば応用もできる話。

今回はちょっと小休止。

リフォレスターはベランダでリサイクルサイクルを実現するもの

中低層の集合住宅のベランダに特化した土再生方式「リフォレスター」。
命名の由来は
園芸残土お野菜くず、たまごの殻、米糠(必須にはしていない)で
「森の土のような香りと、森の土のようなふかふかな土」に
再生できたことでした。
始まりは、園芸残土が主体ではなく「野菜くずをなんとかできないか」
だったため、「何がしたいのか」がぶれてしまいがちでした。

「そもそも」ではなくて、「それでできたこと」が
形になっているというところでしょうか。

「リフォレスター」で、できることは、
この一箱で、野菜を育て、収穫し、終わったら土を再生する。
という、リサイクルサイクルの実現です。
ただし、リフォレスターで栽培した野菜の枝や葉は
リサイクルサイクルの中には入れず、燃えるゴミとして処理します。
理由につては本編で解説させていただきますね。

ベランダに特化はしているけれど

自宅が集合住宅で、長年植物が育たない環境だったため、
逆に条件の厳しいベランダに特化した「土」、再生方法を模索し
3年間のリサイクルサイクル実績を経てみなさんへお勧めしています。

正直に言えば、地面から離した環境であれば、
一軒家の庭でも、ビルのベランダでも使うことは可能です。
その場合もおそらくですが多少の調整は必要になると思いますが..。

地面で同じ効果は得られない

リフォレスターの仕組みは大きく分けて2種類の微生物、
鶏糞に含まれる植物の生きた細胞を分解する微生物と
籾殻の分解に特化した農業用微生物資材カルスNC-Rを
組み合わせて野菜くずの分解を可能な限り短期間で分解させることです。
その際に微生物が出すバイオガスや水分などを適切に調整するための
仕組みとして、節穴の空いた木材で高床の外箱を作り、
土の漏れと、通気性、通湿性のためにフェルトで内袋を使用します。
これら4つの条件が揃って初めてバランスが取れる仕組みなので、
微生物だけを地面の土で行っても同じ効果はありません。

リフォレスターに動物性のタンパク質を含む生ゴミを入れた場合、
分解できないことはありませんが、やはり、同じ結果は望めません。

リフォレスターは、フラスコの中のテラリウム、
水槽の中のアクアリウム、
容器の中のぬかみそと同じように、
一定の条件下で最善の方法を表現しているのと同じ類のものなのです。

ポテンシャルはあるけれど、上限はある。

リフォレスターで土を再生する際に、
入れられる野菜くずには上限があります。
それは、最終的に土に対して60%くらいのようですが、
目視できる量としては、土化した時の量が、
最初に箱に入れた土の量の概ね2倍か、すこし多いくらいになります。

数回に分けて野菜くずを入れる理由

リフォレスターの利用モデルは、真夏と真冬に土づくりをして、
春と秋は作物の栽培と収穫するという、
小さな箱の中ではありますが、地続きの庭と同じようなお手入れを
楽しめるように設計しています。

というか、微生物のサイクルと
自身のやってる感がちょうどよくハマったというのが正解だと思いますが、
微生物も人間と同じで、
一度に沢山の料理を出されて、さあ食べろと言われても、
食べられる量には限界があって、
食べ残したものは腐らせてしまいますよね。
人間であれば、食べ残し、
腐ってゆく料理のそばを離れることはできますが、
微生物の場合は逃げることはできませんから食べ残しと共に
腐ってゆくしかありません。

そうならないように、
箱の中で目に見えている土の半分弱の量を目安に
1週間か2週間に1回、野菜くずと卵の殻を入れる。
これを1月半から2ヶ月繰り返した時が、
ちょうど再生限界の、最初の土に対して60%くらいの野菜くずの量になり、
微生物の分解が極端に落ちるタイミングでもあります。

相手が微生物ですので、何gという表記はできませんが、
「なんか分解しないな。」と思ったら、野菜くずを投入せずに様子を見る。
というスタンスでいてください。

微生物の分解が極端に落ちてくるのは、土の中に栄養分が増えたために
微生物としては居心地が悪くなり、活動が鈍るようで、
それで微生物の数は減っても死滅することはないようなので、
そこからひと月、土を寝かして置く事で、
次の野菜の植え付け時に状態の良い土に仕上がっている
という感じでしょうか。

微生物の分解が極端に落ちてくるもう一つの要因

微生物の分解が極端に落ちてくるもう一つの要因が外気温で、
外気温が30度を越えてえくる、5度を下回ってくると
微生物の活動が鈍ってきます。

リサイクルサイクルのタイミング

外気温で微生物の活動が鈍くなることを見越して
リサイクルサイクルの計画を立てる場合の
年間スケジュールの例は以下のとおりです。

大まかなスケジュール

もちろん地方によっては変わってきますが、
関東の首都圏ではこの2つのパターンが目安になりますし、
気候や、収穫が終わるタイミングよって前倒しや、ずれ込みもあります。
詳細は別の機会にお話ししますね。

リフォレスターは特定の微生物を甘やかしている

地面でリフォレスターの仕組みが再現できない理由は、
リフォレスターでは特定の微生物を甘やかしながら利用しているからです。

野菜を栽培しながら微生物の働きを観察していると、
特にカルスNC-Rについては、
「特化して開発されているから」こそ、
微生物の中では力が弱いことがわかっています。

かわかりやすく表現するのなら、
腐葉土のように様々な微生物やキノコ類の菌の前では
カルスNC-Rは「ひよる」のです。
ひよって、一時的に活動が下がってしまうのです。

昨年安い培養土を追加した際、
発生したのがカルスの「ひより」です。
それまでの勢いからは考えられないくらい活動が止まり、
ミニトマトに青枯病が発生したりもして
カルスが死滅したのかと思うくらいに静かになりました。

リフォレスターには大量にカルスを入れているため、
微生物やキノコ菌の食料がなくなって
それらの微生物や菌が弱体化して
最終的にはもとの状態に戻るのですが、
焦って追加でカルスを購入してしまうくらい焦りましたが、
実際は活動を休止していただけで、
笑ってしまうくらい忖度が激しい。

つまり、カルスにとって、鶏糞の微生物は相性が良いけれど、
どんな微生物とも相性が良いとは言えない事がわかったのです。

微生物は鶏糞とカルスNC-Rでなくてもできるはずだけれど

リフォレスターに関しては、とにかくベランダに特化し、
分解速度を短くしたいという考えがあるので、
鶏糞ペレットとカルスNC-Rを選びましたが、
臭いや虫の問題を考えなければ、
他の組み合わせでもできないことはないと思います。
それに、分解に際して重要な役割として
「微細な鉱物としての土」の役割が重要な要素だと考えますので、
微生物単独での分解は、何を使ったとしても
そこまで劇的なものにはならないと思います。
もちろん、鶏糞ペレットとカルスNC-Rだけだったとしても。

季節的な要因以外で野菜が枯れにくい理由

培養土を追加した際に、
忖度したカルスが身を寄せた先が野菜の根の周りだったのですが、
この事がカルスのもう一つの隠れた有用性を発見する事になりました。

結論から言えば、カルスは土の中で食べ物がなくなると、
植物の根に張り付きます。
それは、植物が成長し、根を伸ばす際に
土の中の微細な石によって傷ついて枯れた部分を
いち早く食べるためのようなのです。

植物としては、傷は病気を呼び込む可能性のあるリスキーなものですが
傷がついた側からカルスが傷口を塞ぎにかかり、
傷ついた部分まで食べてくれる。
そうなると、少なくとも土の中に関しては
常に健康でいられるため、結果として枯れにくくなるようなのです。
つまり、根の健康を保つ、人で言うところの腸内細菌のような役割です。

実際、リフォレスとした土で栽培した野菜に関しては、
気温の低下と、水切れ以外では1本も枯れていません。
1年目に植えたミニトマトが、いつまで枯れないか実験したところ、
4月中旬に植え付けて、7〜8月に収穫し、
酷暑の中で花は咲き続けたものの結実はせず、それでも枯れる事なく、
11月も生き続け、12月に入って仕方なく刈り取ったくらい枯れにくい。
この冬まで枯れなかったミニトマトは、
収穫最盛期に培養土の追加で青枯病を発症した病気の株でもあります。
完全復活という感じではなく、発症時にあった葉は萎れましたが、
成長した新芽や花はしおれず育ったのもびっくりです。

また、昨年の酷暑の最中の8月頃。
ベランダの温度は連日35度を超える中、
いつの間にか生えてきたミニトマト2本を
枯れるまでと思い放置していました。
昨年は猛烈な暑さと少雨が原因なのかハダニが猛威をふるい、
秋になってもミニトマトにもハダニが回ってしまい
多少の対応はしたものの枯れるのは目に見えていると思っていました。
が、どこまで枯れずに生き残るかみてみたかったのです。

ところがミニトマトは一向に枯れず、
花は咲くし、実もついてきて、全く枯れる気配がありません。
流石にビニールハウスにしましたが
1月11日時点で花を咲かせて実もついている状態で、
つまり、それほど枯れにくいのです。

1月11日時点のミニトマトの花
1月11日時点のトマトの実

枯れにくい要因で考えられるのは、微生物しかなく、
以前のデスバレー状態の時に鶏糞ペレットを肥料として使った時は
デスバレーらしく「きちんと育たなかった」ことを考えれば、
作用した微生物はカルスNC-Rということになります。

カルスNC-Rはチートではない

ここまで書くとカルスNC-Rは
ものすごく優秀な微生物のように感じるかもしれませんが、
私は思います。世の中にチートなものはないのだと。

カルスNC-Rにしても、植物を枯れにくくする助けはするでしょうが、
収量を上げたり、品質を良くすることに直接関われるとは思えません。
あくまで、
取り付いた植物のポテンシャルを引き出しやすくする程度ではないかと思います。

しかも、カルス的に最適な環境は、
虫を含めた動物性のタンパク質や、
押し出しの強い微生物や菌がいない場合なので、
環境要因が多彩で多様な地面の畑では同じ結果は望めないと考えます。

リフォレスターの仕組みを地面の畑で応用するとすれば

ここからはあくまで仮説ですが、
もしもカルスNC-Rを畑で使用する場合は、
植え付ける苗の真下に米ぬかとカルスを置き、
土をかけた上に苗を植え付ける。

腐葉土や糞は直接カルスに触らせず、
苗の左右にカルスが外へ逃げにくいための壁と、
作物の養分が左右に広がるように土中に蒔く。

そうすることで、
作物が根を伸ばすまでの間にカルスを活性化させておき、
根がカルスの層に到達した時点で
根にカルスが幕のように取り付くようにする。

カルスが取り付けば根は活性化するので、
比較的早く腐葉土や糞まで根を伸ばす事ができるのではないかと考えます。
カルスの実力を最大限に利用するなら、
この方法なんじゃないかなぁ。

考察する植え付け方法

場所さえあれば、これはこれで試してみたいし、
もし試せたら、もう一歩踏み込んだ方法でもいけるはず。
もう少し、ベランダが広い部屋か庭付きの家でもあればなぁ。


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