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土は素材か生き物か。(5)「虫がいれば生きてる土か?」

土の範囲は広くて深い

リフォレスター実験がうまくいって、
園芸店やホームセンターで販売されている土や
鉢植えの土に関しては、ほぼどの土を使っても
土の再生ができることはわかりました。

とは言え、多肉専用の砂だけや、鹿沼土だけ、赤玉土だけ、
など、特に特徴のある土のみの場合は
再生はできるかもしれないけど、土の質に左右されると思うので、
リフォレスターではおすすめはできません。

リフォレスターに向いている土とは、
もとい、リフォレスターが対象にしているのは
ホームセンターなどで手に入る培養土と鉢植えが枯れてしまった
園芸残土です。
これらをベースに、多肉植物用の砂や、補助材として使った鹿沼土、
鉢底用の赤玉土なども過度な量でなければ混ぜて問題はありません。

土に向き合うまでは園芸用土の種類に
大きな興味は持っていませんでしたが、
土を育てるようになってからは、「水持ち」以外の土本来の役割を利用する
という意味で鉱物の土の役割を知ることになりました。

例えば、多肉植物の土に硝石が多い砂を使うのは、
夏の地表の灼熱から根や根に近い部分の細胞を
蒸れさせないようにする役割のためで、
それは主に硝石の光を反射する特性と、放熱性質(?)を
利用するため。みたいな感じ。

土は奥が深いけど、おもしろい!

土に虫は必要か

同じように、生きた土を考える時、
土壌動物は必要なのかという点では、
必ずしも必要ではないというのが
実験の結果から見えてきたことでもあります。

水奥栽培や、ビル農を考えたらそんなのは当たり前なのかもしれませんし、
そもそも近代農業では、土壌動物は不要なので、
消毒や殺虫を行って、収穫という結果を出しているのだから。

それもで生き物のいない土というのは
やはり何か歪みのようなものを感じるし、
そもそも地続きでの完全殺傷、完全消毒は不可能なので、
ならば、土壌生物がいることを前提にした土づくりを
考えれば良いような気もします。

微細な生物というのは強かなのではなく、
そこに欲しいものがあるから寄ってくるというのが
生きる基本なのではないかと思います。

うちのリフォレスター3号器も、風や羽虫などの影響で
微細な土壌動物にすっかり居座られちゃってますからね。
どだい除外なんてできっこないのだと思います。

つまり、土に虫は必要なのではなく、
そもそもそこにいるものなので
虫がいる土は”普通の土”ってことなんだと思います。

”生きている土”と呼ぶなら、定義が必要

難しい感じになってしまいましたが、
「生きている土とはなんぞや」と聞かれた時、
その答えは幅広で、
虫がいれば生きた土、
雑草が生えれば生きた土
とりあえず何かが生えていれば生きた土
いやいや野菜が多く収穫できる土
花が元気に育つ土
などなど、場所や目的、シーンによって一概には言えないのが
現状です。
畑作だって、野菜栽培に向かない土というのは珍しくなく、
鳥取砂丘ではらっきょうが、鹿児島のシラス大地では桜島大根が
特化して育つそんな土もあるわけです。

でも、学術的に考えるとちょっとそこはなんとも言えなくなるし、
実際に畑を楽しむ人、家庭菜園を楽しむ人にとっては
目的は、メジャーな野菜が元気よく育つ土だと思うので、
そこに焦点を合わせるなら、
答えは土壌生物がいて、微生物も大量に含んだ土というのが
多くの人が作物の栽培を楽しめる”生きた土”なんじゃないのかって
思うのです。

土に虫だけじゃだめなのか

リフォレスター実験から、土壌動物よりも、
微生物の方が植物にとっては有益だとうことがわかってきたのですが、
同時に、土壌動物がいないことで起こる不都合もあることがわかって
きています。

植物の根っこの健康を守る、
人でいうところの腸内の善玉菌のような役割を
リフォレスターで使っている微生物は担っていますが、
微生物が健全であるほど、土の中の餌はなくなってきます。

野菜の根は成長する過程で擦り傷を作ったりするので、
その痛んだ部分が微生物の食糧になります。
でも、それには限度があって、絶対数が足りているとは言えません。

実際に適度に根っこを傷つける役割を担うものが必要なんじゃないか。
最近では、それが土壌動物なんじゃないかと考えています。

例えば、水耕栽培の野菜が柔らかく、
あくも少ないのは良いことかもしれませんが、
人に必要な微量な鉄や亜鉛などの金属系の栄養素は少ないように思います。

そもそもアクや硬い繊維を形成するのは
植物が丈夫に育つために主に根から吸収するもので、
その根は傷がつくことでより丈夫になろうと必要な栄養素を探して
土の中を進んでゆくとしたら、
根にとって適度なストレスはあった方が良いのではないかと思うのです。

その適度なストレスを与える一つの存在として
土壌動物が地味で、大事な役割を果たしている。

土壌生物の役割は、土の中を動き回って
空気が入り込む層を作ることと、時々植物の根を齧ること。
微生物の役割は、土壌生物が傷つけた根を食べることによって、
根の健康を守りつつ、分解時にバイオガスを発生する。

バイオガスは軽いので、
土壌生物の作った道を通って地上に放出されるけれど、
同時に、地上の空気が道に引き込まれることによって
新鮮な空気が土に補充される。

そういう仕組みなのかもしれないなって思います。

そう考えると、厄介なものは実は重要な働き手だった
のかもしれないですね。

そして、大切なのは決まり文句だけれども
やっぱりバランス。なんだろうな。


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