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素人の考えが奇跡を起こすこともある。

木箱、フェルトの袋で容器を作り、
その中に長らくベランダに放置していた枯れた植物片もそのままの
園芸残土を入れ、鶏糞ペレットと農業用微生物資材「カルスNC-R」
を加えたところに、野菜くずと卵の殻を入れて
「野菜くずと園芸残土を何とかする」実験。

もう一つの素人考え

鶏糞ペレットと農業用微生物資材のには、
それぞれ期待する役割がありました。
植物の生きた細胞を好んで食べる鶏糞に入っている微生物と
植物の生きた細胞より繊維質を食べる農業用微生物資材。
2つの異なる性質で、いわば役割分担をさせることができないか
ということです。

2つの微生物の相性については、
絶対に相性は悪くないと信じて疑っていませんでした。
特にカルスNC-Rについては、
「籾殻の繊維質の分解に特化」して開発されたとのことだったので、
他の微生物との競合はほぼないと考えていたんです。

そう考えた根拠は、園芸残土に残っていた枯れた植物片や
街の公園、緑地、植え込みに堆積している小枝や落ち葉が
びっくりするほど分解していないことにありました。

「ほとんどの微生物は、植物の繊維質は好きじゃないんだろうな。」

そう、ベランダ園芸でも、植え替える時や
土を再利用する時には植物の根はなるべく取り除くことが
常識です。
それはコンポストでも、キエーロでも
「根や枝を入れて良い」とは言われていない。

なら、この実験で見せてもらおうか、カルスNC-Rの実力を!
それからもう一つ、
もし、微生物の量が通常の土壌より多く入っていたら
分解速度は早くなるんじゃないだろうか?
納豆も、麹も、糠床も、作る時には人為的に多くの微生物を
自然界より多く入れて、早く発酵させている。
なら、同じことが土でもできるんじゃないの?
そういう素人考えがありました。

気が短い方が土の再生が早くなる


リフォレスター実験で8日目の画像に実際の写真を添付していますが
日別記録は菌糸などもそのまま掲載しているため有料版にしています。


「野菜くずと園芸残土を何とかする」実験を初めて1週間目の土曜日。
容器の中では米麹の麹畑ような微生物のパラダイスが広がっていました。

においは、野菜のガスの匂いが少しするものの、
見た目に反してカビ臭はなく、何処か麹っぽいような
感じの匂いがほんのりします。
驚いたことに腐臭がない。

悪めに書くと、
見た目は「腐ってカビが生えた野菜くずと土」なんだけれど、
腐った匂いは全くない。それが嬉しい違和感になっている。

少なくとも、コンポストで蓋を開けるたびに
「腐った匂い〜、小ばえが寄ってくる〜」という
あの感覚はありません。

カビてるっぽいのに匂いがなくて、
虫も全く寄ってないし、寄っても来ない。
「なんだろう、これ?」

表面は見た通りだけれど、
中の方はどうなっているのか?
ちょっとサイズは大きいけど、色と形はスーパーでも販売されている
麹や、テンペの表面の麹とあんまり変わりがないので
何の抵抗もなく発酵中の土にスコップを突き刺します。

「!!!」
スコップは1週間前のガチガチの土とは思えないほど
すぽっと土に刺さります。

軽く掘り返すと、底の方はまだ入れた時に近い
野菜くず片が残っていますが、
ところどころ野菜くず片とは違う塊ができています。

「こんな土は見たことないぞ?」
子供の頃はさんざん山遊びをして、いっときは畑も借りて
いろんな土を見てきたけれど、こんな土は見たことない。

そして、この腐臭のなさは何だろう?

あまりの以外さに、まるで糠味噌の世話の如く土をかき混ぜてしまい
せっかくの麹菌風の菌糸はすっかり原型を無くしてしまいます。

「しまった!せっかくの土の分解を止めてしまった!」
後悔先に立たず。

ちょっと、水分が少なくなっていたので、
また土がしっとりするくらいだけ足して蓋をします。
「分解するまで何でまてなかったかなぁ〜」

微生物をナメてた

微生物の様子が心配で、翌日もついつい覗いてしまいますが、
コロナ禍でも毎日会社へ出社していた私は
やはり平日は箱を開けることも忘れてしまいます。

でも大丈夫、この「野菜くずと園芸残土を何とかする」実験箱は
そもそも平日はほったらかしにしておいても
微生物が活動しやすい水分、温度、通気を保てるよう
節穴あき木材で作り、更にフェルトの内袋を使った
二重構造にしていたのです。

そして、翌週の土曜日。
5日ぶりに「何とかする」実験箱の蓋を開け、
内袋を開くとそこには……菌がいない。

「あぁ、混ぜたのがまずかったのか!」
「微生物はおなくなりになっちゃったのかぁぁぁぁぁぁ!」

いや、表面に菌がいなくなっただけで、
中の方は何とかなっているかもしれないじゃないか!
一筋の希望を胸にスコップで箱の中の土をかき混ぜます。

あれ?
1週間前は中の方にはまだ生っぽい野菜くずがわりと残っていたけれど、
それより、なにこれ、土が「土っぽい」。
色も黒っぽいし、土の匂いがちゃんと土の匂いになっている。
しかも、この匂い、まるで、「森の土」。
この土は…もしかして.…この土なら....。

ここへきて「野菜くずと園芸残土を何とかする」の
「何とか」が「土の再生」しかも、
「野菜を育てることができる土に再生できる」かもしれない土
になってしまったかもしれない。
もしかして、アホほど微生物を入れたことで、
一足飛びに腐葉土の下の下ができてしまったかもしれない?

「いやいや、そんな都合のいいこと流石にないよ!」

いや、でも、この匂いは、そしてこの土の色は。

確かめるには、何か植えてみるしかない....な。
このベランダデスバレーで。

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