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腐葉土の謎に迫る①

リフォレスターは中低層のアパートやマンションに特化した
微生物を使った新感覚の土再生方式なのですが、
数々のちょっとマッドな実験の結果から、
自然の摂理「落葉→腐葉土化→分解→土化」のプロセスのうち、
「腐葉土化」の期間を極端に短縮してまるで腐葉土化をすっ飛ばすように
土化することがわかっています。

これは使う場所を限定して特化しているため、
地面栽培で同じ効果があるかといえば、
それは保証できません。
例えるなら、学校で1番の成績を取っていたとしても、
全国では1番とは限らず、むしろ全国の中では平均的な成績だった。
そんな感じです。

逆に、全国トップの腐葉土であっても
ベランダのような限られた場所では優れた価値が発揮できないばかりか
特性が仇となってしまう。

たかが土、どこにでもある土、土なんてどれも同じ。

そうじゃない私なりの土の考察をお話しようと思います。

「腐葉土」はどこの土を想定しているのか

前回の記事内で私は「腐葉土」については懐疑的だと書きました。
その理由について、
一番気になっているのが
「腐葉土」はどこの土のどの状態の何なのかが
はっきりしないところにあります。

もちろん、専門家の方にしてみれば
「何言ってんだい」な疑問であると思います。
だから、あくまで素人的な疑問と疑念です。

自然農法、有機野菜神話への不信感

以前私は田舎の山育ちで、
結婚していた時には畑を借りていたと書きました。
山での経験はさておき、
借りていた畑はかつてのパートナーが主導していて
私はほとんど自由に作物を育てることはできませんでした。
彼は素人にありがちな考え方で、
有機農法にかぶれ、コンポストを導入したりしていましたが
その考え方を否定することはなかったものの、
落ち葉を入れ、牛糞を入れ、腐葉土を入れた土は
私の知っている「良い匂いの土」ではなかったし、
「良い匂いの土」にはなりませんでした。

野菜は育ったし、採れた野菜は甘くおいしかったけれども
私が旨いと感じ知っていた野菜の美味しさではなく、
野菜の味の奥に僅かに苦味に近い青臭さや
おいしさがあっても気になるほどの繊維の丈夫さがあり、
たとえそれが当時流行りの「有機農法」であって
彼の努力の結果だったとしても、
「おいしいね」と嘘をつきモリモリ食べたとしても
この時の経験が私を完全な「有機農法嫌い」
にしてしまったことは否めません。

自由の身になってから、
私たちの畑の有機農法が間違っていただけで他の人が作った野菜なら
おいしいのかもしれないと考えて、
機会があるごとに専門店やイベントで野菜を購入しましたが
本当に旨く美味しい野菜は1割にも満たない。

高い値段で購入する希少価値のあるはずの野菜が
野菜のおいしくないところが際立つものになっていることが
ただただ悲しく、悲しくてまた嫌いになっているのです。

有機農法や自然農法が半分神話的になっちゃう理由

元夫は野菜栽培が好きなのでもなく土に興味があったわけでもなく
当時話題になっていた
奇跡のりんご栽培で有名な木村秋則さんの書籍に感化されて
畑を借りていました。
そのため、書籍はものすごく参考にするけれど、
野菜や土そのものに目を向けていたようには思えませんでしたし、
私の印象や不都合な指摘は一切許さなかったのですが、
当時の私はワンマンな彼の性格も理解していたので
そこまで不満もなく、一生懸命やっているならいいんじゃないか
くらいに考えていました。

言っても怒られるだけなので言葉にはしなかったけれど、
彼は木村さんの「本」は読んでいたけれど、
書かれている内容を「イメージ」できていないのではないかと思うのです。
正直、今思えば私も肝心なところの意味はイメージできていませんでした。

今ならわかること。
それは、有機農法や自然農法は土だけが問題じゃないということと、
逆に、旧満州時代の黒竜江省の土のように桁違いに質の良い土であれば
何もしなくても桁違いに質の良い作物が育つということです。

木村さんのりんごが無農薬で育成できるのは、
りんごに特化した桁違いの土を作ったのであって、
それは、青森の気候風土にも特化しているからなんだと思います。

私たちが有機農法や自然農法でまず勘違いしてしまうのは
青森に限らず、参考書、書籍化された方法が、
学校の学習やテストと同じように、どの地方の、どんな場所でも
同じ方法で再現可能だと
思い込んでしまうところにあるのではないでしょうか。

いわゆる普通の農家さんが野菜を生産する土は
桁違いではなくても育つ培地モデルがあって、
桁違いでないゆえに肥料や農薬で補正する方法に特化した
品種、種子のものを栽培するので、
作物は適切に育ち、収量も期待できる。

それを見ていれば、有機、自然農法も
決まったモデルがあると考えてもおかしくありません。
でも、実際のところ、普通の農地以外で
普通の農地並みの品質と収量を獲得するためには
その土地の特性に合わせた桁違いの土を自作する必要があり、
限りなくケースバイケースになる。
そこのとこを意識しないで方法だけをなぞってしまうと
雑草の多い培地、
雑草みたいな作物ができてしまうのではないかと思います。

例えるなら、
野球で言えば、
大谷選手のユニフォーム一式を揃えて同じように身に纏っても
大谷選手にはなれませんし、もちろんチームにも入れません。
そこにいるのは大谷さんぶっている野球すらできるかどうかも怪しい
野球が好きそうな人。
けれど、ユニフォームはなくても、最低限グローブを持っていて
野球の知識がある人ならば、
草野球はできるし、旨くいけばチームに入ることもできる。

料理で言えば、
寄せ鍋を作るとして、最高級の醤油、酒、塩、鰹節と昆布を使い
最高級の具材を使った寄せ鍋が旨いはずなのになにかいまひとつに
なってしまうけれど、
いつもの調味料、いつもの具材を使った寄せ鍋はいつもどおり美味しい
というのと変わらないと思います。

方法と本質は別のものでどちらかに偏ってしまうと
どんなに良い材料や方法を用いても真っ当なものは作れず
方法と本質の均衡が保ちやすい状態のものであれば、
どこにでもあるものでもきちんと役立つ何かにはなるということです。

余計わかりにくくなってしまったかもしれません。

有機にかぶれた畑の土はどんなだったか

元夫が借りていた畑を「彼の畑」と呼ぶことにします。
当時私が彼の畑で感じていたことを書き出してみます。

・土の硬さ
・ぬかるみやすさ
・粘りのある土
・乾燥
・不純物の多さ
・稲科の雑草の多さ
・スベリヒユがよく育つ
・土の匂いに甘さがない、時々酸味がある
・畑がなんとなく息苦しい
・アブラムシが多い
・ヨトウガが多い
・さつまいもはよく育つ

土を学習した方ならこの畑が酸性に傾いた
窒素分が多い土だったと気づかれると思います。

酸性に傾いていることは、稲科の雑草が多いことや
土の匂いに甘味がないことでピンときますし
アブラムシが多い時点で窒素過多なことがわかります。

実はこの特徴、ベランダデスバレー時代の培養土も
同じような傾向がありました。

酸性が強い土には稲科の雑草が多い

ひとまずベランダデスバレー時代の土は置いておいて、
畑の土について書きますね。

雑草は「邪魔者」としか思われないようですが、
雑草ほど土のことを教えてくれるものはありません。

実は、硬くて酸性に傾いた土には葉の形状が長細い
チカラシバやオヒシバ、メヒシバ、スズメのヒエ、ねこじゃらしが巨大化しやすく
酸性よりの中性ではスベリヒユ、コキア
アルカリ性に近い中性ではコニシキソウ、ホトケノザ、
アルカリ性に傾くとツメクサ(クローバーのことではない)が
巨大化することがわかっています。

それに、赤く枯れ、葉が広い雑草はアルカリ性を好み
黄色に枯れる雑草は酸性を好むという特徴もあります。

雑草を見れば、ある程度畑のpHの当たりはつくのです。

私がそのことに気づいたのはもっと子供の頃で、
漫画ドカベンの「いわき」の真似をして
いろんな植物を口に咥えて歩いていたので
雑草の酸味や甘味、えぐみなどの味見は体験的に知っていて、
味とpHが結びついたのが彼の畑の環境だったのです。



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