きのぽ いまゾーンB 感想(※ネタバレあり)

きのホ。全国"音楽劇"ワンマンツアー初日 5/14(日)新宿BLAZE 「いまゾーンB、そっちは?」の感想です。
※ 思ったことを羅列しただけなので、説明が全然足りなかったり、話題が発散したりします。ごめんなさい。

まず、古都新聞のギミックはとてもよかった。開演前にあれを見つけた瞬間から、リアル脱出ゲーム的に観客側も参加している感じになれた。
脚本について、ヨーロッパ企画の脚本家が参加している時点で品質について自分が評価できるレベルじゃないんだろうと思う。モップ掛けからのタイトル回収サゲもきれいに決まっていて、それだけでジーンとしてしまったし。実際自分のような観劇素人が見ても展開がわかりやすかった。
メインの客層である演劇をあまり見慣れていない人に向けて、どうしてこうなったの?とかいまどうなってるの?という場面がないよう、わかりやすさを重視してそうなことが感じられた。(終盤でテンポと余韻を保つためにギターの件りと追加ノルマの件りの説明を端折った以外は全部説明回収されてたと思う)
キャラクターが当て書きなのも展開の理解に一役買っている。途中までみこちゃんが悪役のように見えなくもないけど実は……てきな軽いミスリードシーンもあるのだけど、みこちゃんが悪役なわけないもんね。

初日だけ見ると、公演ごとのアドリブパートみたいなところはなさそうだったが今後入るのだろうか。メンバーの負担になるかもしれないので入れていないのかもしれないが、余裕があれば入れてほしい。
ストーリーの軸はこはみりで大ボケ位置にみこちゃんがいるので、それと比較するとらねくるのおいしいところがどうしても少なくなってしまう。
初日は共通パートにして秋田凱旋公演ではくるちゃんのおいしいシーンが追加されるなど、各メンバーのフィーチャー回を作ってほしい。(流石に秋田では入れるやろと思っている)

自分は電影と少年CQ大好きマンなので、電少さんのライブを各回やりきりではなく公演形式にするとしたらどうなるだろうと考えたりしていたので、今回のゾーンBツアーはその妄想を具現化したものに近く、こういうのがどんどん増えてってほしいと思っている。(とはいえ他がやっても絶対ペイしなそうなこともわかってるけど。そういう意味ではきのぽというグループの強みのひとつではある。)

持論として、アイドルの演技と女優の演技の違いは、どんな役にもなりきるのが女優でどんな役でも自分のものにしてしまうのがアイドルだと思っている。SMAPでいうと草彅くんは役者でキムタクはアイドル。どちらがいいとか悪いとかではなく。
なので、今回の当て書き形式はアイドルによる演劇作品として正解だと思う。

そういう意味でもうひとつ踏み込むと、今回の作品のテーマがきのぽというグループの現状ともっと強く共鳴しててほしかったなとは思った。
死んでるように生きてる現状から一歩踏み出す、という作品テーマで、ポテトさんは毎週末の対バン的なアイドル活動のマンネリズムの話をしていたけど(意訳です)、自分のような地下アイドルオタクからすると、きのぽはチャレンジングな活動をちゃんとしていてそういったマンネリズムからは比較的遠いところにいるグループという認識なので、なんかちょっとズレてる?と感じる部分もあった。もっと何年も同じ箱で同じメンツと対バンしてるグループとか、漫然とチェキ屋さんをする元アイドルの一般人とかおるやん、って思ってしまうので。(この辺は、自分から見るとそう見えるだけで、他の人、たとえば全然オタクじゃない人から見たら十分マンネリで、そっちの方がマジョリティであり、ズレてるのはわいの方ということもあるし、逆にきのぽのおまいつの方とかからしたらまた違った認識もきっとあるはずなので、正直よくわからない)
自分としては、きのぽは現状として、活動開始以来からの「2.5次元アイドル」というコンセプトを剥奪され、体制も変わり、それらに代わる新しい軸を構築していこうとしている段階と思っていたので、そういうテーマだったらもっとグッときたかなと思った。(なので2期tipメンバーの葛藤を「さくら草の咲く頃に」という楽曲に落とし込んだtipチームはめっちゃすごいと思う。)

あとは、佐久間Pがこの舞台を見たらどう感じるかなとは思った。
ラフラフにこういうのをやれということではなく、舞台演劇に造詣が深いこともそうだし、その作品には「ドラマ」と「コント」の新しい形を提示してるものがいくつもあるし、ラフラフの「考える時間をください」も「アイドルライブ」と「大喜利」の掛け合わせなので、「ライブアイドル」と「演劇(音楽劇)」の融合としての本作を見てほしいという気持ちはあるけど、結局ライブアイドルシーンにはあまり興味はなさそうなので残念だなあという気持ち。

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