Project:;COLDの聖地・平塚を巡礼してきた話
こんにちは。リー猫と申します。
突然ですが、皆さんは『聖地巡礼』をした事がありますか?
メッカに行った事がありますか? という意味ではありません。
アニメや漫画の舞台となった土地(聖地)を訪れ、登場人物に思いを馳せる、いわゆる"推し活"としての巡礼の事です。
私は未だかつて、この聖地巡礼というものをした事がありませんでした。
なぜかというと、
・好きになった作品に『聖地』が存在しなかった
・巡礼したくなるほど熱中する作品に出会わなかった
・田舎住みなので聖地までの交通手段というハードルが高かった
などの理由が挙げられます。
これに当てはまるのは、もしかしたら私だけではないかも知れませんね。
そんな私だったのですが、巡礼したくなるほどにのめり込む作品に出会い、なんと現地へ赴くチャンスを得られたのです。
という訳で、この記事では私が人生初の『聖地巡礼』を体験した模様をお伝えしていきたいと思います。
しばしお付き合いいただけたら幸いです。
1.経緯
まず、私が何の聖地へ行ったのかについて。
その作品とは、2020年と2022年にオンライン上で開催された視聴者参加型のSNSミステリー『Project:;COLD(以下、P:;C)』です。
(タイトルに書いてますから言うまでもありませんね)
P:;Cとの出会いやプロジェクトの内容については下記をご参照ください。
この作品に登場するガールズバンド『都まんじゅう』のメンバーが暮らしているのが、神奈川県平塚市です。(現在、一部メンバーは東京在住)
P:;Cの登場人物たちは、私たちと同じように現実世界を生きているという設定であるため、作中では平塚市に実在するスポットが数多く登場しました。
この作品の大ファンとなった私は、いつの日か平塚市を訪れ、彼女たちが過ごした街を巡ってみたいと想いを募らせていました。
ある日、そんな私にチャンスがやってきます。
東京の二子玉川で開催される、とあるイベントに参加する事になったのです。
会場やホテルの位置確認のため、Googleマップを見た私は思いました。
(二子玉川ってほぼ神奈川県の県境じゃん。これってもしかして、平塚いけるんじゃね?)
経路を調べると、平塚までは電車を乗り継ぎ一時間ちょっとで辿り着ける事が判明。
行くしかない……!
二子玉(にこたま)での予定を調整すれば、何とか時間を作る事ができそうです。
(関係ないですが、"にこたま"って可愛いですね)
私は、東京行きが決まったその日のうちに、平塚行きも心に決めました。
移動時間などを考慮すると、平塚の滞在時間はわずか四時間ほどしか確保できなさそうです。
私の行きたいスポットは下の三つ。
・湘南平(高麗山公園)
・平塚八幡宮
・平塚市総合公園
限られた時間の中で、このスポットを制覇するため、私は緻密なスケジュールを練りました。
一人きりでの聖地巡礼だったため、ここからは旅のお供兼コメンテーターとして、"ニギニギのやつ"こと『ニギー』に登場してもらいます。
2.平塚駅〜湘南平
二子玉川から電車を乗り継ぎ、憧れの平塚へ到着しました。
Twitterで何度も見たあの光景が目の前に広がり、感無量です。
ここから、まずは最初の目的地『湘南平』へ向かいます。
実はこの湘南平、今回の聖地巡礼最大の難関ポイントでした。
公共交通機関で向かう場合は平塚駅からバスに乗る必要があるのですが、直通便は一日4本しか無いのです。
ひとつ逃すと大幅に予定が狂ってしまいます。
そのため、初っ端からかなりシビアな行動が求められました。
平塚駅到着からバスの発車時刻までは10分。
その間にバス乗り場へ辿り着く必要があります。
私は右も左も分からない初めての地で、見知らぬバス停を探しました。
ニギー:
『急がば回れニギー』
しかし、そんな心配は杞憂に終わり、バス停はあっさりと見つかりました。
バスに乗ってみて思ったのですが、運転手さんが停車するたびに「車内よし、右よし、左よし、発車します」とアナウンスされていた事に感動しました。
なんて丁寧なのでしょう。
都会ではこれが当たり前なのでしょうか。
ニギー:
『田舎者丸出しニギー』
住宅街を抜け、湘南平は終点です。
生活の足として使っているであろう他の乗客たちが一人また一人と降車していき、湘南平に着いた時点で乗客は私だけになっていました。
やがて、バスは時間通りに到着。
停留所での乗り降りや信号の待ち時間があるにも関わらず、定刻通りに到着する都会のバスに再び感動です。
湘南平へ降り立った私は、感慨にふける間もなく行動を開始します。
次の難関はここでの滞在時間でした。
一日4本しか無い湘南平行きのバス、もちろん帰りの便も4本しかありません。
11:36に到着して11:55の便に乗る事ができなければ、麓のバス停まで歩かなければならないのです。
つまり、滞在時間はわずか19分です。
まずは展望台のあるレストハウスへ。
ここの階段を登ったところに南京錠を掛けて愛を誓う『ainowa』というモニュメントがあります。
ainowaは、都まんじゅうのメンバーが2024年に武道館でライブを行うという夢を託して南京錠を掛けるというエピソードがあり、欠かすことのできないスポットです。
case.613の真相が、佐久間ヒカリさんの独白によって明かされる重要なシーンも、このainowaの前で撮影されました。(下の動画20:54くらい)
そして、P:;Cの象徴とも言えるテレビ塔。
こちらは続編のcase.633にも登場しました。
腐食が進み2023年まで閉鎖中のため展望台まで登る事はできません。残念。
ちなみに、関連があるかどうかは分かりませんが、case.633の登場人物であるスクールカウンセラーの堤玲一が設定していた教職員サイトのパスワードにも「電波塔」という単語が使われています。
忍者のごとき俊敏さで着々とスポットを制覇していく私。
最後に、湘南平へ来た記念となるアイテムをゲットするため、レストハウス一階にあるお土産ショップへ立ち寄りました。
おじさん:
「いらっしゃい! 飲み物買うなら自販機よりこっちの方が安いよ」
入るなり声をかけられキョドる私に、店のおじさんはひとつひとつ丁寧に土産物の説明をしてくれます。
バスの出発まで5分足らず。
おじさんの好意を邪険にする訳にもいかず焦る私。
おじさん:
「湘南ていう名前を消難(しょうなん)とかけたお守りとかもあるよ」
話の止まらないおじさんに「へぇ…」と相槌を打ちながら、記念の品を探します。
結局、ainowaへ掛ける用の南京錠を買いました。
この鍵は持ち帰り、みやまんメンバーが「武道館2024」という夢を書いたように、私の夢が決まったら再びここを訪れてainowaへ掛けようと思います。
ニギー:
『恋人たちが永遠の愛を違うんじゃなかったニギか?』
ーー何のことかな?
ダッシュでバス乗り場へ向かうと、なんと先ほど乗ってきたバスがそのまま待っていました。
考えてみれば当然の事ですね。
もちろん運転手さんも同じ方で、一人だけ終点まで乗った私を覚えておられたのか、
運転手さん:
「あれ、もういいんですか?」
と声をかけられてしまいました。
私は「えっ……あっ、はい! もういいんです」と顔を真っ赤にして答えました。
ニギー:
『コミュ障が過ぎるニギー』
3.平塚駅〜平塚八幡宮
再び平塚駅へと舞い戻った私は、次の目的地である平塚八幡宮へと向かいます。
ここからは徒歩行程です。
ふとスマホを見ると、熱中症指数が『極めて危険』状態に。
どうりで暑いわけです。
基本的にインドア派の私は、酷暑の中で外を出歩くという経験があまり有りません。
念のためコンビニでスポーツドリンクを買い、八幡宮へと歩き出しました。
平塚駅から八幡宮までは約1km。
大きな通りをほぼ真っ直ぐなので、道に迷うことは無さそうです。
道中、メンバーの星野理也さんのTwitterヘッダーと同じ風景を発見して、かなりテンション上がりました。
画角を探して、何度も同じ場所で撮影位置を変える私。
通行人の視線が痛かったです。
あっという間に平塚八幡宮一の鳥居へ到着。
きちんと鳥居の前で一礼して、中へと進みます。
神聖な場所でふざけるのは流石に気が引けるので、ニギーにはバッグの中で大人しくしてもらいます。
ニギー:
『僕の存在はふざけているニギ……?』
個人的に神社仏閣が大好きなので、本当なら二時間くらいゆっくり見て回りたかったのですが、何せ今回は時間が限られています。
この時点で時刻は12:30を過ぎていました。
次の平塚総合公園での散策を考えると、あまりのんびりしていられません。
平塚八幡宮は、case.613にて死の呪いにかけられたと思い込んだメンバー達が、融解班(参加者の総称)の助けを得て絵馬に願掛けをした場所です。
せっかくなので私も絵馬を買い、願掛けをしていく事にしました。
都まんじゅうの活躍を祈願しようかと思いましたが、平塚八幡宮の御利益は主に厄除けが中心ということで、無難なお願いにしておきました。
(呪いを解くという目的にも沿っていたんですね)
森いちごさん一推しの神馬(しんめ)皐月ちゃんにも会いたかったのですが、残念ながらお昼休み中でした。
都会の中とは思えない緑あふれる境内で少しだけ涼み、私は最後の目的地となる平塚総合公園へと出発します。
帰ってから気づいたのですが、森いちごさんの自己紹介動画の背景は、ここの境内でした。
写真撮っておけばよかった……。
4.平塚八幡宮〜平塚総合公園
八幡宮から総合公園までの道のりは約1.5km。
自販機で2本目のスポドリを買って歩き始めます。
正直、都会の夏を舐めていました。
真上からの日差しに加え、足元からはアスファルトの照り返し。
ただ立っているだけでも容赦なく体力が奪われます。
スマホが外出を控えろと言うのも納得です。
しかし、そんな事で挫ける訳にはいきません。
総合公園こそ、今回の巡礼最大の重要スポットなのです。
ニギー:
『ご主人ファイトニギー』
日傘を差し、下を向いてひたすら歩き続けます。
途中、青島玲子さんが投稿していた道路上の案内表示を見つけて、少しだけモチベーションが復活しました。
思えばこの道のりが一番きつかったです。
左右を大きな工場(横浜ゴムと不二家)に挟まれ、延々と景色の変わらない道が続くのです。
しかも、普段履き慣れた靴ではなく、ちょっとオシャレなやつを履いてきてしまったが為に足も痛くなってきました。
そして、ついに平塚総合公園へ到着。
ふれあい動物園の方に行くつもりが、ボーッとしていて、野球場の入り口まで歩いてしまいました。
この時点で、行動予定は変更を余儀なくされます。
何しろこの総合公園、とてつもなく広いのです。
公式ページによれば敷地面積は30.3ヘクタールとのこと。
東京ドームの広さが4.67ヘクタールなので、約6.5個分になります。
(正直ピンときませんが……)
ニギー:
『田舎者に東京ドームは馴染みがないニギ』
ここからふれあい動物園まで戻るだけでも10分は掛かりそうです。
という訳で、まずは球場を大きく回り込んで「レモンガススタジアム平塚」へ。
P:;Cにスタジアムなんて出てきたっけ? とお思いかも知れませんが、ここは私にとって非常に重要な場所なのです。
「その地点」を探してスタジアムの外周を回ること約30分。
ーーついに発見しました。
そう、敬愛する岩永静さんがTwitterヘッダーに設定している景色です。
スタジアムの外側はほぼ見た目が同じなので、完全に一致するポイントを探すのはとても苦労しました。
静さんとお揃いのヘッダーにする事こそ、この巡礼の真の目的だったのです。
さらに、こんな場所も発見。
静さんの自己紹介動画の背景です。
さらにさらに、
ここは静さんのジョギングコースだったんだなぁ、と彼女の存在を感じながらスタジアム周りを歩きました。
(流石にジョギングはしませんでしたが…)
レモンガススタジアムを後にして、次なる目的を果たすため、総合公園の中心部へと向かいます。
もう一つ、私にはどうしても確かめなければならない事があるのです。
少し歩くだけで彼女たちのTwitterにアップされた景色が次々と……。
暑さと疲労と足の痛みで満身創痍ながらも、それらを見つけては写真に収めていきます。
スポドリは3本目に突入していました。
ちなみに、総合公園に着いた時点でニギーの存在は忘れ去っていました。
八幡宮でバッグに入れてしまったのが良くなかったようです。
ニギー:
『ひどいニギー……』
そしてついに、私がどうしても確かめたいものがあるポイントへと到達します。
ところが、そこには大きな落とし穴がありました。
「それ」は公園内の「流れの広場」という場所にあったのですが、その広場は水遊びをする親子連れでごった返していたのです。
どうやら暑い時期に子供を遊ばせる人気スポットのようで、水着を着たものすごい数の子供たちが遊んでいました。
そんな中に入り、「それ」の写真を撮るのにはとても勇気がいりましたが、人が空いたタイミングを見計らい意を決して突入。
何とかカメラに収める事ができました。
それがこちらです。
静さんお気に入りの水飲み場「恥ずかしがり屋のカーニン」です。
そして、私がどうしても確かめたかったのがこれです。
理也さんの言う「正面からは恥ずかしがり屋感が無い」というのが本当かどうか。
これは、カーニンの名付け親が静さんなのかと尋ねた際、リプ返で教えてくれた情報です。
つまり、リプライを送ったからこそ得られた情報、かつ、現地に行かなければわからない事だったのです。
私は、これこそARGの醍醐味なのではないかと考えます。
仮想と現実の交差、与えられたものではなく、自分で得た情報の証明。
実際に現地へ行き、自分の目で確かめる事で、初めて真実に辿り着ける。
総監督の藤澤仁さんは、Project:;COLD case.613を終えての最後に「あまり多用できなかった現地でのARG的要素」とした画像を掲載されていますが、このカーニンもまた、現地でのARG要素の一つなのではないかと思います。
さて、話が逸れてしまいましたが、実際にカーニンを正面で見たらどうだったのか。
どうぞご覧ください。
お分かりいただけましたか。
恥ずかしがり屋どころか、造形がリアルすぎてはっきり言って怖いです。
よく見たら脚の部分もかなり忠実に再現してあり、こういうのが苦手な人は近寄れないかも知れないです。
たくさんの子供が集まる公園なんだから、もう少しデフォルメしても良かったんじゃ……。
と思わなくもないですが、とにかく理也さんの言っていた事は本当でした。
他にもTwitterに登場したモニュメントをいくつか発見しました。
本当は静さんの三大お気に入りスポットの残り一つ『ドーゾくん』も探したかったのですが、さすがにもう時間が残っていませんでした。
ふれあい動物園や日本庭園にも入ってみたかったです……。
5.最後に
わずか四時間という超弾丸ツアーでしたが、予定していた目的は全てクリアする事ができました。
人生初の聖地巡礼では、学ぶことも多かったです。
・Googleマップは神
・夏場の巡礼はおススメしない
・長距離を歩く場合は履き慣れた靴で
・旅の恥はかき捨ての精神が大事
そして、再び平塚を訪れ、自分の夢を書いた南京錠をainowaへ掛けるという目的もできました。
皆さんも、機会があればぜひ平塚を訪れてみてください。
仮想の存在である『彼女達』を、確かに感じる事ができるはずです。
今度は、case.633の舞台となった茨城県の水戸市にも行ってみたいです。
長々と書き散らしてしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ニギー:
『最後の最後まで酷い扱いだったニギー』
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