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『貴公子・choriさんへ』


あなたは突然逝ったのですね?

何の前触れもなく
静かに。

スターらしく、
 
突然
突風が吹く とか

にわかに空が曇って
土砂降りになる とか

雷鳴を轟かせて
落雷が落ちる とか

そういうこともなく
黙ってそこを立ち去るように。

まるで
高貴で
本物のスターは
こうするものだ
とでも言うのように。

VOX HALLのカウンターの隅で
glassの氷だけが
カランと
名残惜しそうに
音を立てているようです。

初めて本物にお会いした時
「まつ毛が長くてびっくりしました!」

と伝えると
「あ、そこお気に入りなんです」
と、応え

最後にお会いした時は
カウンターの奥で
目立たぬように背中を丸めて座ってらしたあなた

「びっくりしましたよ!
  chori さん、気配消しすぎです!」
と言ったわたしに

「あ、ほら、
今日は若い子たちのステージだから、
邪魔しないよにさ」

と、切れ長の目で笑った。

今頃は向こうの世界で
グラスを片手に
韻を踏みながら
誰にも真似の出来ないセンスで
お洒落な詩を書いているのでしょうか?

今度逢う時は
「ユーカラさん、腕上げましたね」
と、切れ長の目で、笑って褒められたい。



※ 突然の chori さんの訃報に接し、驚きでしばらく、声も出ませんでした。
知人から、「すごい人なんだ!」と聞くまで、詩の初心者、全くの駆け出しペーペーの私は、 詩人 chori  さんを存じ上げなかったのです。
その後、ご自身と、“ 詩 ”  の向上、詩人育成への貢献 を含めて始められたと聞く、『ににんがし』で、詩の講評をして頂いたのが、直にやり取りをさせて頂くきっかけとなりました。誇り高く、しかし、詩を愛し、目指す者には懐が深く、私の拙い詩にも、良い点、欠点と、具体的な指摘とアドバイスをくださいました。その真摯な対応に、どれだけ前向きに詩に取り組めた事か……?! 感謝の言葉しかありません。読む、だけでなく、ポエトリー・リーディングとして、声に出して詠む詩を書く、きっかけとなった「ごめんね、アンデルセン」や、リズムを刻んで語る「シュフ・明日に書く手紙」など、自分の心の奥深く、本音と向き合う詩が書けるようになったのも、chori さんのお力添えのお陰です。今、改めて、感謝が込み上げる次第です。本当にありがとうございました。chori さん、どうぞ、ゆっくりお休みください。そしてまた、来世で、その瑞々しい感性で、唯一無二のポエトリー・リーディングをお聞かせください。また、新しい私で、お会い出来たらと思います。

2024'   8/25  6 : 00  ユーカラ、感謝を込めて

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