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「子どもたちへ 先生が一番伝えたかったこと」

○○小児童会のみんなへ

ちゃんとさよならが言えなかったので、色々考えて、お手紙で挨拶をさせてもらうことになりました。うまく伝わることを願っています。

実は先生は、春先に体調が悪くなり、入院をしていました。
コロナが流行り出した頃で、亡くなる人もいたので、「自分もそうではないか?」ととても怖かったです。検査の結果、コロナではありませんでした。

それでも、検査の結果が出るまで、熱も高く、痛みも激しく、重い状態だったので、他の患者さんと離れた部屋に入り、看護師さんやお医者様も、皆「防護服」という菌に移らないための服やマスク、ゴーグル(眼鏡)を着けていました。皆とても優しく、一生懸命看病をしてくれました。

コロナについてまだはっきりしたことは分からず、怖い噂だけが広がっていました
「看護師さんやお医者様もみんな(移るかもしれない!)と、怖い思いをしながらも一生懸命世話をしてくれているんだなぁ!」と思うと、感謝の気持ちと人の優しさに触れて涙が止まりませんでした。
そして、痛みと怖い思いの中、自分の家族や、児童会のみんなのことを考えていました。
「わたしがコロナで、児童会のみんなや家族にも移してしまっていて、みんなの大事な命を奪うことになったらどうしよう?!」と心配でたまりませんでした。
なので、大丈夫だと分かった時は、本当に嬉しくて、またみんなに会える事が幸せでたまりませんでした。

そして思いました。
生きている、というのは 決して 当たり前ではないんだ、と。
この入院の話をするのが いいのか 悪いのか、と先生も随分迷いました。
コロナについても、伝える事が、逆にみんなを必要以上に怖がらせてしまって、不安な思いを抱かせることにならないだろうか、という心配もあったからです。

でも、こんな時期だからこそ、命についてちゃんと考えて、幸せに元気に生きていくためにはどうしたらいいか考えることは大切だと思いました。

例えば
①生きている、ということは 決して当たり前ではない ということを知る。

毎日泣いたり笑ったり、ブロックしたり走ったり、みんなが当たり前にしていることも、明日突然出来なくなることだってあるということ。死んでしまったら、お父さんやお母さん、家族やお友達とも会えずに遠くにいかなければならなくなります。
そうならないためには

今ある命を 大事にする。

自分や周りの人たちの命を守るために、出来ることをする。
⭕️今なら、マスク手洗い、距離を取る を、先生やみんなと協力して頑張る。(ウィルスはどこにいるか分かりません。これをしていれば、自分と相手の身を守ることになります。元気でいられる方法なのです。)
⭕️危ない遊び方や、意地悪、暴力で自分のことや相手を傷つき傷つけるようなことをして、危険にさらさない。面白いことと危ないことは背中合わせ、いつも一緒にあるのだと知って欲しいと思います。(先生方や大人が皆に注意をするのはこのためです。皆、経験して知っているから注意するのです。)ついつい調子に乗ったり、冗談やふざけてやった事が、大怪我や自分や相手を傷つけてしまう事に繋がります。気をつけましょう。

②差別が病気と同じくらい危険なものだと知る

先生は、コロナの怖さは、病気よりも、
怖いという思い込みだけで、かかった人や、その人たちを助けようと命をかけて治療している病院の人たちに、意地悪を言ったり、仲間外れにして傷つける事にある、と思っています。
かかった人も、好きでかかったのではありません。痛く、苦しい、死ぬかもしれない、という怖い思いをする上に、みんなからいじめられたらどうでしょう? それに、明日は、自分がかかってしまうかもしれないのです。
これは、いじめや暴力にも言える事だと思います。もちろん言葉の暴力にもです。
⭕️自分が嫌なことは決して人にもしない。
あなたは大事な命です。
この世界に、あなたは一人しかいません。他の人は決して代わりにはなれないのです。それと同じように、相手も 大事な命です。 大切にしましょう。

⭕️心と身体はつながっています。 自分にも相手にも、優しくしましょう。
優しくしていると、痛みも和らぎ、早く治ります。反対に意地悪や冷たくすると、ひどくなったり、死んでしまうこともあります。病気だけでなく、優しさは相手にも自分にも、生きるパワーを与えます。
意地悪や傷つける力、ではなくて、
みんなの中にある、 優しさ や、 助けたりする力 を 使いましょう。

もっとたくさん学んで欲しいことはありますが、怖い思いをして、命について学んだ先生に今一番伝えられるのはこのことだ、と思って書きました。

最後になりますが、船橋児童会でみんなと過ごせた日々は、本当に楽しく、幸せな時間でした。子供たちと、みんなと過ごす事が、こんなに嬉しいものだとは思いませんでした!! いつも、生きる元気をもらっていました。

病気の方は随分よくなったのですが、児童会はとても体力の要る仕事です。残念ながら今までのようにお仕事を続ける事ができなくなってしまいました。それでも、みんなと一緒に経験したこと、気づかされたことは先生の宝物です。それを大事にしながら、また新しい毎日を進んでいきたいと思っています。
みんなも、お友達や先生方と、楽しいこと、面白いこと、たとえ悲しいことやがっかりしたことでも、後になるととても大切なことを教えてくれたりすることもあるので、どんなことも幸せに変える力にして、毎日を過ごしてくださいね。そして、自分の好きなことを、たくさん見つけたり増やしていってください。それが生きる力になります。あなた方の中には、とても素晴らしい才能が眠っていることを忘れないで欲しいです。

長いお手紙、読んでくださった○○先生、ありがとうございます。
児童会のみんなも、最後まで聞いてくれてありがとう。
そして、出会ってくれて、本当にありがどう。
離れていても、みんなのことはずっと大好きで、忘れません。
幸せをいつも祈っています。それでは、また、どこかで会いましょう。お元気で。

2020年 8月1日 ○○○りえこ


この手紙は、今年(2020年)の夏に退職した学童の子供たちに宛てて書いた手紙です。  コロナに関しては、未だに何を信じて進めばいいのかわからない、 というのが私の本当のところですが、それでもどんな世界になろうとも変わらず大切なものやことは変わらないはず。  コロナに揺れた一年が終わろうとしている今、改めてわたしが伝えたいことを記しておこうと思い立ち、こちらに載せることに致しました。

退職した今、わたしの中には全く心残りがありません。それは、前出した詩・「あなたを忘れない」にも書きましたが、子供たちに素晴らしい日々を貰ったこと、(予期せぬ流れではありましたが、辞めることで)この手紙でわたしが子供たちに伝えたいことが伝えられたこと、と、やりたいことを全てやり尽くしたからだと思います。

子供に宛てた手紙としてはかなり長いので、聞いてくれるかしら?との危惧もあったのですが、読み上げてくださった先生のお話しだと、みんな真剣に聞いてくれたそうです。その日にお休みしていた子供たちのために、後からでも読めるようにと、お部屋の壁に張り出したところ、保護者の方も沢山読んでくださったようで、中には泣いてくださった方も居られたと聞き、思いが伝わったことをとても嬉しく感じたものです。ここに書き残すことで、少しでも読んだ方の心に届くものがありますように、と祈るばかりです。どうぞご自身とご家族や周りの方を大切にできますように、そして今あるすべての事に幸せを見出せますように。

長い文面、最後までお読み頂いたことに感謝いたします。ありがとう。

ユーカラ

2020年 12月22日


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