両片思いに揺さぶられる夏|第1回 両片思い検証会
両片思いって、めちゃくちゃ良くない?
引用元のゼクシィとか、婚活サイトなんかでは「両片思いにならないために」とかなんとか色々書かれているのだけど(まぁ、くっついてくれないと成り立たない商売だしな……)。
当事者だったとしたら、確かに両片思いの状態はもどかしいだろう。
でも私は
第三者視点から両片思いのカップルを見ていたい……!
見て、じれったくなりたい……!!
故に、ついついそういう漫画やアニメばかり見てしまう。
『かぐや様は告らせたい』とか『僕の心のヤバいやつ』とか……あと『名探偵コナン』もそうだね、最高。
お互いがお互いを特別に、大事に思っているのに、自分は◯◯だから……と、一歩踏み出せない、でも踏み出す勇気が欲しい……でも今のままの関係が心地よいし壊したくない……っていうもだもだが私は大好きなのだ。
そりゃあもう、お前ら好き合ってんだから!!!側から見たら明らかに!!!どう考えても!!!両思いだからーーー!!!!!ってなるんだけど。
でも恋愛は当人同士のものだからね。外野がとやかく言うもんじゃないんだ。外野は壁となって見守るに徹するのだ。
リアルだとちょっと(かなり?)面倒くさいかもしれないが、二次元の両片思いは永遠に見れる。不思議だね。
さて、そんな両片思いについて友人が、とある作品を持ち出して「彼らの両片思いを検証したい」と言い出した。
そんなの、
やるに決まってるだろ。
というわけで、両片思いを肴に飲むことが決定した。
※酒が入ってマトモな検証ができるのか?などとツッコんではいけない。
我々が今回の題材にした作品は
『幕末めだか組』
???
おそらく多くの方が首を傾げていることと思うのであらすじを載せておく。
もっとざっくり言うと、幕末の世に設立された「海軍操練所」を舞台に繰り広げられる学校生活を描いた物語、ということである。
私は歴史全然詳しくないけど、学園物だったから楽しく読めた。歴史知ってたらもっと面白いんだろうな〜と、歴女の友人が熱く語る様子を見ながら思う。
さて、なぜこの作品を題材にしたかというと、他に語れる相手がいないからである(血涙)
私も、友人に教えてもらうまでこの作品のことを1ミリも存じ上げなかった。
それもそのはず、この作品はいわゆる打ち切りになってしまった漫画で、現在は絶版。講談社からですら買うことができないのだ。
noteの検索結果もこの通り。
友人よ、noteの検索結果もゼロだったよ。この記事が記念すべき1記事目になるよ。
そして、お店と時間だけ決めて集合した結果。
集まった3人全員が全5巻を持参してきた。
示し合わせたわけではなく、皆が皆自主的に持参してくるもんだから、笑いが止まらんかった。
我が友人たちのこういうところが最高だ。持つべきものは通じ合える友である。
さて、以下は我々がこの作品に登場する2人の男女、柳 慎三郎と水木 蘭丸がどのようにして両片思いとなるに至ったかについての検証の記録である。
思いのほか長くなってしまったのだが、作品を知らなくても読めるように善処した(つもり)ので、お暇な方はお付き合いいただければ。
※※※ネタバレと妄想を多分に含みます※※※
検証対象の2人は、主人公・一路 隼人と同じく海軍操練所に入った伝習生で級友なのだが、主人公を差し置いて彼らが隣り合わせになっているコマが多すぎるんじゃないかというところから我々の話は始まる。
別に隣にいる必要性が一つもない状況なのに当然のように横にいるというのは、もう常日頃から側にいるしそれが当たり前ということですよね???
一見、飄々とした慎三郎と生真面目な蘭丸はソリが合わないようにも感じられるのだが、互いの実力を認め合い、交わす言葉は少なくとも通じ合っている、そんな関係がとんでもなく尊い。
オタクこういうの好きだよね〜(クソデカ主語)
それはもうファーストコンタクトから感じられる。
根っからの光属性で笑顔キラキラの隼人は、初手で小十郎というちょっとケンカっ早い男(コイツもなかなかどうして可愛い奴なのだけれど、このことを語り始めるとさらに長くなるので割愛)に絡まれる。
この時、外野がそろいもそろって隼人に「逃げんなー」とか野次を飛ばす中、慎三郎と蘭丸の2人だけは小十郎の心配をする。
なぜなら隼人が小十郎の太刀筋を全て見切っていることに気づいたからだ。そう、彼らだけが隼人の実力を見破ったのだ。
我々の見解としては、この時点で2人は互いに「コイツ、見る目があるな」と思っているはずで。つまりこの操練所に入ってきた中で自分と対等と思える相手として認識したはずなのだ。
物語の序盤、良いとは言えない自分たちの待遇に不満を持った伝習生たちは授業をほっぽり出してしまう。みんなを引っ張りだそうとする隼人と、一度は授業に足を運んだものの自分と隼人だけではな……と席を外す蘭丸。そして彼女はサボっている慎三郎の元へ……
この時点では何事にもやる気なさげな印象の強い慎三郎。そんな彼の元に蘭丸が向かったということは、既に慎三郎が本気を出していないだけということに気がついていたからなのではないか。
つまりこの時点で蘭丸は少なからず慎三郎に興味を抱いていたに違いない(それが恋心かはさておき)。
ところで、慎三郎には操練所の皆には話していない過去がある。それは自分がかつて新撰組にいたということ。
しかし、ある日あの斎藤一と鉢合わせてしまう。この作品における斎藤一、とんでもない圧を感じる。決して怒鳴ったりするわけではないのだが、この男に逆らったら死ぬ感がスゴい。
男に媚びる人生なんてゴメンな筆者だが、この男から津田健次郎さまの声がした日にはもう光の速さでひれ伏してしまうと思う。
(筆者は脳内で既に勝手にツダケンボイスに変換して勝手にひれ伏してる)
それは、元・新撰組の慎三郎はもっと感じているところであって。新撰組を抜けてなお、斎藤に「やれ」と言われれれば何でもやるのだ。慎三郎の中で斎藤の存在がデカすぎる。
だから何をするにもチラつくんだよなァ………斎藤が…………ギリィ…
斎藤という存在の所為で慎三郎が勝手に感じてる負い目とか何やら色々が消えてくれない。その所為で、慎三郎が誰かに恋愛感情を抱いたところでなかなか進展してくれない。
こいつ、絶対自分の気持ちをどこか心の奥底に押し込めてしまう。
それから時は過ぎ……フラストレーションが溜まっている伝習生たちのため、操練所で剣術大会が行われることに。
ここで私が主張したいのは、この時点で蘭丸はかなり慎三郎のことを許しているなと。
どういうことかというと、この剣術大会は団体戦で、慎三郎が中堅、蘭丸が副将、隼人が大将という布陣で挑むのだが、連戦連勝していた慎三郎が突然棄権して蘭丸に丸投げしてしまう。
蘭丸はこれを受けて、止めるでも咎めるでもなく「うむ…」とだけ言って相手に挑むのだ。
前述の授業をサボる件の時には、お前は本気を出せばスゴいはずなのに……という気持ちで慎三郎の元に行った(と私は思っている)のが、剣術大会ではもうサボることについて何も言わなくなっている。
え、もう「私はお前のこと分かってるから」…的なことなんですか??
慎三郎も慎三郎で「蘭丸はもう俺には何も言ってこねぇだろう」って分かってて投げ出した??
そういうことなの?違う?どういうこと???2人だけで通じ合ってないで教えて???嘘です!2人だけで通じ合ってて!!!!!(2秒で手のひら返し)
さて、物語中盤に差しかかる頃。
蘭丸は、亡き兄の夢を引き継ぐ形で操練所に入ったことを隼人と慎三郎に打ち明けるのだが、隼人から「立派だな」「応援するよ それが蘭丸の夢なら」と言われてモヤっとしてしまう。
蘭丸的には、自分は兄の夢を追いかけているだけで、そこに「自分」はないのではないか、そんな風に悩んでいるところで。
もちろん、隼人に悪気がないことは蘭丸もわかっていると思う。けれど、圧倒的な光属性の彼は、色々と思い悩む蘭丸にはちょっと眩しすぎるのだ。
私はわかるなぁ……その気持ち……。
そんな時に「夢なんかなくたっていい」なーんて言ってくれる男がいたら、落ちちゃうと思いませんか?
そして、そういうことを言っちゃう男、それが柳慎三郎その人なのである。
欲しい時に欲しい言葉をくれる人って、自分のこと分かってくれてるんだって少なからず思うじゃないか。いやもうそれは好きじゃん…………私なら好きになるわ……チョロ女だから……。
いや、その、決して蘭丸が私と同じようなチョロ女だと思っているわけではなく…!
しかし男装して男たちと同じように操練所で過ごす覚悟を決めていた中で、女と認識しつつも仲間だと思ってくれて尚且つ自分に寄り添った言葉をかけてくれる男がいたらそりゃあ惚れちゃうなって思うわけだよ……(早口)
とはいえ、いつも男に負けまいと気丈に振る舞っている勝気な蘭丸が簡単に素直になれるはずもなく。
あ〜、両片思いっぽい感じになってきたな〜〜。これだよな〜〜〜。これなんだよな〜〜〜〜〜。
と、こんな話をしたところまでは良かったのだけれど、結局結論どうなったんだっけ。
どんどん楽しくなって、そして脱線もしながら話してたから、結局結論に辿り着かなかったような気がする。(検証とは?)
友人(歴女)の解説を受けたりもして、その場では「ほうほう、なるほど…」と納得したしめちゃくちゃ勉強になったのだけど、いかんせん酒を飲んでしまっていたのでほとんど覚えていない(言わんこっちゃない)。
友人よ、本当に申し訳ないんだけどもう1回お願いします……。
でもとっても楽しかったのは本当だ。
私は結構フィーリングで作品を楽しんでしまうタイプなので、普段は考察とかしないのだけれど、たまには一つの作品について色々考えるのも面白いなぁと思った。とても有意義な時間だった。
(この日は結局6時間くらい喋ってた)
この記事を読んで『幕末めだか組』が少しでも気になった方は、古本屋さんでぜひ探してみてほしい。ちなみに筆者はAmazonで買った。
なお原作を読む際は、本記事は筆者や筆者の友人たちが多重にフィルターをかけた状態で検証した結果であることを十分に頭に入れておいてほしい。
幻覚含め楽しんでもらえる人が一人でもいたら、これ以上嬉しいことはない。何卒。
もしも『幕末めだか組』元々知ってたよ、持ってるよ、という方、読んでみたよ!などなど、1ミリでも触れたことのある方はコメント欄で教えてください。
私よりも飢えている我が友人に報告します。笑
一人でも多くの方に『幕末めだか組』に触れていただきたく、軽率に「なんのはなしですか」タグを使用してしまったことをご容赦ください(懺悔)
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