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夜明け前に見る夢は鳥たちの歌声を聞く 【序章】
時々、彼女をとらえて離さない夢がある。目覚めた後も、しばらく放心し鳥肌が立つような夢。彼女は急いでそれを紙に書き留める。
「大きな船 変身する生き物 人とけもの 理解する人 行って帰ってくる女たち 旅に出る男」
言葉は意味をなさない。とても魅力的に思えた光景が、言葉にするとその色を失ってしまう。それでも、と彼女は思う。それでもいつか、この世界を再構築しようと。
「研究所での陰謀 正座のできない女性 バスに乗って逃げ出す クリスチャンの男性 唱える言葉」
彼女は必死で書き留める。これらの言葉には必ず意味があるはずだから。そうして再び、退屈な忍耐を強いる日常へと戻っていく。いつかこの夢の続きを再び見ることがあると信じて。