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繁栄みたいな現状維持をしたい。

今回は「現状維持」。

最近、Eテレで放送している朝の短い番組「0655」を、ほぼ毎日見ている。前は、めざましテレビの「紙兎ロペ」とめざまし占いが日課だったのだけど、いつの頃からか、「0655-!」が体に馴染んだ。その番組では、毎週月曜日に「たなくじ」というコーナーがある。爆笑問題の田中さんが巨大な「くじ」を持った画像がコマ送りで切り替わるのを、スマホのカメラで撮影して、撮れた画像に書いてるのがあなたの運勢です、という「テレビ版くじびき」。これを毎週やるのが最近のルーティーンで、それが今週はこれだった。

「4年後の自分を想像すると吉」

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今月は震災から10年の節目だからか、何かと振り返る傾向が強いので、あえて今は未来のことを考えてみることにした。

4年後、2025年。今40歳だから、44歳の自分はどうか。いや考えてみても、それはもはや自分自身よりも、どうしたって周りの状況に拠るところが大きいように思えた。4年後、コロナはもう落ち着いているのか。結局オリンピックはどうなっているのか。地球温暖化とか異常気象とかは大丈夫か。また大きな地震が起きたりしていないだろうか。今年であれから10年だけど、ここにきてまた大きめな地震がちょこちょこと嫌な感じで続いてたりするし…なんて自分ではどうにもならないような不可抗力を考慮すると、なかなか大それたことは言えないし…そうしてたどり着いた答え。

「現状維持」。

やはりこれかなー。願わくば、何事も起きず、時世も環境も穏やかで、仕事もぼちぼち、ギターの練習や曲作りもコンスタントに続けて、何かしらのアウトプットの手法を模索しつつ、僕自身も家族もみんな怪我も病気もなく健康であれば…そう、ちょうど今ぐらいの感じのままでいられたらいいな…。

しかし、この「現状維持」という言葉は、自分で言っておいてこんなこと言うのもおかしな話だけど、マイナスなニュアンスを感じてしまう。多分それは、つい最近もそう感じたからだ。

話は先週末に遡る。久々に、映画を観に行ってきた。目当ての作品の公開からやや日が経ってはいたけど、自分の仕事のペース、最寄りの馴染みの映画館の閉館、新しい映画館のオープンなど、様々な条件を鑑みて、今月になってようやく行くことができた。

「花束みたいな恋をした」という作品で、僕はこの映画の脚本を手がけた「坂元裕二」さんのファン。制作が発表された時から楽しみにしていたので、待ちに待った鑑賞だった。感想はもちろん大満足で、もう一回観るか、ノベライズか脚本か何かしらを手に入れようかと思っているくらい。そんなこの映画の中で、「現状維持」という言葉が使われていた。ネタバレは極力避けたいので、あまり詳しく説明はしないけど、劇中で登場人物がこの台詞を言う。作者の意図や一般的な解釈はさておき、この台詞をあのシーンであの人が言った時、僕は心底がっかりしてしまった。声に出ない「あちゃー」があふれ出た。「今それを言ったらダメなんじゃないの…?!」と。本来は「今の状態のままを保ち続ける」というような意味だけど、あのタイミングではどうにもマイナスではないか。今が快適だから維持しようと、変えたり進めたりすることを止めてしまうことは、終わりの始まりだったり、もはやゲームオーバーに近いことも、往々にしてあると思う。映画ではまさにそんなものになって響いたような気がした。

そんなことを思った矢先、早速使ってしまった。しかも自分の未来に向けて。調べてみると「現状維持は衰退」という有名な名言もあるようだし(ウォルト・ディズニーまたは渋沢栄一、他)。ケースバイケースではあるが、確かにそれも一理ある。やはりこれではいかん、もっと前向きにで壮大な野望を抱くべきか。来る4年後を華々しく輝かせるためには…と、あれこれ巡らせていたら、気が付いた。

いや待てよ、そもそもが違っていた。「4年後の自分を想像する」と「吉」というおみくじだった。だから「4年後」の想像が、「現状維持」だろうが「大躍進」だろうが、「大富豪」だろうが「紅白出場」だろうが「フルマラソン完走」だろうが、何だって構わなくて、「想像」したら、それですでに「吉」。だから「4年後が現状維持」がネガティブだろうがポジティブだろうが、僕にとっては「吉」だと、「たなくじ」は言っている。それで十分だった。だって「吉」なんだもの。

とはいえ、現状を維持するのだって実は結構大変だ。仕事的には、老いてく両親、そしてもちろんともに老いてく自分の労働力が減っていくのは目に見えている中で、面積・作業量をどうカバーするか。一筋縄ではいかないであろう今後の気象条件や高騰する資材費への対応もあるし、何を維持して行くのか。面積か、収入か、労働日数か、生活環境か。それによって、だいぶやり方が変わってくるなー。ほら、すでに大変そうで、こんな現状の維持だったらウォルトさんや渋沢さんも多分「衰退」とは言わないだろう。そう考えると、我が農園&僕自身における「現状維持」は、決して後ろ向きな目標ではないかもしれないなとも思う。何かを変えて、前に進む「維持」だ。むしろ「繁栄」だ!いやそれは言い過ぎか。とにかく4年後の目標は「現状維持」でいいのかもしれない。ただし!「花束みたいな恋をした」のあの台詞はダメだ!物語自体が、ではなく、あくまで菅田将暉さんが演じていた役のあいつが、あの時言う台詞としてね。だから一言言ってやりたい!「俺はいいけど、お前はダメだ!」と。あぁやっぱりもう一回見に行こうかな…。

自分をめいいっぱい棚に上げたところで、とりあえず今回はこの辺で。またそのうちに。

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