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本とTシャツと私。

今回は「増えて困っているもの」について。

まず何より「本」。読書が趣味の一つになってからだいぶ経つこともあって、手に入れた本が気付けばかなり増えていた。図書館も好きだけど、期限が決まっているのと結局返さなきゃいけないことが寂しくて、どうしても「買う」という選択肢が勝つ。とはいえ新刊ばかりではお財布が厳しいので、古本屋さんも大いに使わせてもらっているのだけど、好きな作家さんや好きな作品が増えてくると、安価な古本の手軽さが返ってアダになり、収拾がつかなくなってくる。本棚を増やしたところで次々と埋め尽くし、本棚の隙間にタイトルが見えないままで差し込まれたり、机の周りに積み上げられたりしている状況に陥っている。これまでは読み終わった本はなるべく古本屋に買い取ってもらっていたんだけど、最近はあらゆる作家さんや作品に愛着を持ち始め、「いやこれはまた読み返したいし…」と手放せないまま、本棚から溢れ、机を占拠し(ギリギリで床に置くまでは至っていない)、それなのに、暇を見つけては本屋や古本屋に行き、「読みたいの見つけたー!」と新たに買って帰ってくる僕を、家族は白い目で見るが、それでも日々着々と大切な本は増え続け、主に机に「本の山」や「本のビル」が続々とそびえ立ち続けている。

本とは別に困ったのが「Tシャツ」。先日、ユニクロで村上春樹さんのコラボTシャツが発売された。ここ最近定期的に放送されている村上さんのラジオを聞いていて、この情報を割と早いタイミングで入手していたので、熱狂的とまではいかなくてもそれなりの数の作品を読んでいる一ファンとしてはずっと気になっていた。そしていざラインナップを見ると、なかなか素敵なデザイン揃いで、一着と言わず何着か欲しくなった。しかし、そこで奥さんに気づかれた。

「あれ、そういえばお正月に福袋でTシャツ買ってなかったっけ…?」

そう、その通り。

今年のお正月に、ここ数年僕が愛用している「グラニフ」の福袋を買った。そこには6枚ものTシャツが入っていて(さらにスウエットも1枚)、いい買い物したー!などと言ってはしゃいでいたのだけど、それはもちろんTシャツだから、夏に、いやせめて春、とにかく暖かくなったら着ようと、現時点でまだ一度も着ないまま仕舞ってあった。そんな中、またしてもTシャツを新たに何枚も買おうとする男。…一週間に十日着る気なのかと。一般男性の平均的な所持数や年間購入数は分からないけど、すでにそれなりにTシャツを持っているうえに、その中には1シーズンに一回着るか、もしかしたら一度も着ないまま、模様替えの度に移動だけさせられているTシャツも少なからずあるにも関わらず、年明けからの3ヶ月間で買う枚数としてはやはりオーバーペースであることは否めない。だけど、待ちに待っていた村上さんTシャツを、「やれやれ」とスマートにビールでも飲んでやり過ごすこともできず、落とし所を「せめて1枚だけは…!」ということにさせていただいて、悩みに悩んでどうにか1枚は買うことができた(こっそりステッカーもしっかり買った)。こうしてまた、今後一度も着られることがなくなるTシャツが増えてしまった気がしないでもない…。それこそ「やれやれ」かもしれない。

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一冊100円の古本も、一着1,500円のTシャツも、その価値は人によって違うので一概には言えないとは思うのだけれど、読んだり着たりされることなく、積み上げられていく様を傍から見ていたら、やはり疑問は生まれてくるとは思う。ただ、それは闇雲に物欲・所有欲を満たしているわけではなく、ただ「その時」に向けて備えているのだということは分かって欲しい。本は、読むべき時があって、それは必ずしも手に入れた時ではないことが多々ある。Tシャツももちろんそう。冬は一枚じゃ寒いし、上に重ねて着たら見えないから着ない。着るべき季節、着るべき日が来たら着る。そのために、日々整えているのだ。心境的には90年代の名曲、平松愛理さんの「部屋とYシャツと私」に近い。毎日磨いていたいのだ。おそらく、「愛するあなた」側からのニーズがあまり無いというのが、平松さんのケースとの決定的な違いではあるけど、令和の時代でも共感する40代一般男性が、確かにここに存在している。やはり名曲は色褪せない。

ということで、大義名分にたどり着いたものの(?)時代も令和に変わっていることだし、あまりに身の回りが片付かなくて落ち着かないのも事実。ぼちぼち変化の時、決断の時を迎えつつある。今こそ、最近蔑ろにしていた「1枚買ったら1枚処分する」と言うTシャツのマイルールを改めて徹底しよう。お気に入りだってヘタってきたらサヨナラしよう。暖かくなったらたくさん着よう。一日に何着も着替えよう(いやそれは洗濯が増えて迷惑か…)。そして、読み終えた本はなるべく次の出逢うべき人へと送り出そう。新しく買う前に読んでない本を読み終えよう。磨いてはいたいけど、スリムにスマートに、身の丈というか、時代というか、自分の本棚とクローゼットに合わせて、本とTシャツと向き合っていけたらと思う。そうそう、それがいいよと、その気でいさせてくれたらありがたい。


ひとまず今回はこの辺で。そして、昨年末から定期的に更新してきたこのブログは、来週から再びお休みすることにしました。前回は腱鞘炎が理由だったんだけど、再発した…という訳ではなく、新年度を迎えるにあたり、いったん各方面で態勢を整えるべく、今後は何かしら別の形でアウトプットすることを目指してみることにします。今後また定期か不定期か分かりませんが、書き始めたら、その時はよろしくお願いします。それではまたそのうちに。


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