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ノリでボードゲームを作り始めたら、ボードゲームで遊ぶより100倍楽しめた話


こんにちは。Red SeedのMimiです。はじめまして!
ノリと思いつきでボードゲームを作り始めたのですが、やり始めたら非常に奥が深く、めちゃくちゃ楽しかったので、そのお話を書きます。


ノリからゲーム作りチーム発足(2019/6)


まさにノリで始まりました。
友人のあをこと女子会をしていた際、
あをこ「ボードゲーム好きだから、いつか自分でも何か作って出してみたいのよねー」
Mimi「私もサービス作って出してみたいなと思ってたから、一緒になんか作ってみようよ!」
あをこ「いいねー、やっちゃうか! メンバーどうしようかね?」
Mimi「サカスとモタネでいいんじゃない?4人くらいがちょうどよさそう」
あをこ「じゃそのメンバーでやってみよ!」
とメンバー決定!めちゃ緩い感じで決まりました。

巻き込まれた二人も
サカス「面白そうじゃん!やろやろ!」
モタネ「いいよー 毎回飲み会よりはコスパ良く遊べそうよね」
と快く承諾。
こんな感じでゆるーくボードゲーム作成メンバーが決定し、後にRed Seedとなりました。
この時はまだ、この先の大変さを全く知らない4人…

企画会議(2019/7~)


さっそく4人で会うことに。メンバーのおうちに集まって企画会議を始めました。まずは言葉から言葉を派生させてそのかけ合わせで面白い言葉を作る方法でアイデアをたくさん出しました。

会議模様_200425_0001

「未解決16歳」
「スフィンクス水戸黄門」
「過去改変恋愛」
「人数制限ありタイムマシン」
「ギリギリタクシーチケット」

などなど思い思いにアイデアを出していきました。
その一つ「ギリギリタクシーチケット」の時に
タクシーチケットを餌に、女の子を落とす、みたいなアイデアが出てきました。
そこから派生して、アイドル育成ゲームのようなものに発展し、好きな女の子にプレゼントをして落とすのはどうか?なんて話も出てきました。

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▲これが後にRed Seedが初めて売り出すゲーム「あの美女からご指名いただきました」の原型が生まれた瞬間でした

各々好きなことを話し満足したのでその日は解散。次回までにアイデアを考えて持っていくことに。

第2回目の打ち合わせ(7月)では、改めてスケジュールを立て直したのですが、そもそも思い付きで作っていたのでどんな流れがあるのかわかりません。唯一調べて知っていたのは、「ゲームマーケットというボードゲームを売り出す会が年に2回、春(5月ごろ)と秋(11月ごろ)にある。ゲームを作る人はとりあえずそこに出店する。」ということでした。

「今(7月)から秋目指すのもしんどいし、2020年春を目指そう!」というあをこの英断で、春のイベントに出展することを目指すことになりました。(あをこありがとう…! それでもギリギリでしたが笑)

そこから大まかにスケジュールを立てて、今後は月に2回ほどのペースで進めていくことになりました。(とは言え結局繁忙期は毎土日会っていたような気がします笑)

そこから肝心のゲーム企画の相談に入るのですが、その前に私(Mimi)は前回のアイデアからすでに「ホストになって女の子を落とすゲーム」って面白いのでは、とアイデアとルールをまとめて提案していました。紆余曲折ありながら、
「人妻、メンヘラ、アイドル…とか、ホストが落とす女の子のバリエーションを考えるのが楽しそう!」というノリで、このアイデアに決定。割ともめずに決まりました。
このボードゲーム作りを知らない素人のアイデアが、後にメンバー(特にあをこ)を超絶苦しめることになります笑。

プロトタイプ作成(2019/8~)


大まかなアイデアは私が作っていたので、それをさっそく作ってみて、どんな感じか試し始めました。

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▲徹夜のテンションでいつの間にかお絵かきタイムになっている様子

作り方は簡単。トランプにポストイットを貼るだけ。
これで試しに遊んでみると、「あれ、全然おもんない!?なんで!?」となります笑 それを繰り返しまくり「これならゲームになるんじゃない?」というレベルまでブラッシュしていきました。
(途中危うくメンヘラ女子をたくさん製造するゲームになりかけました笑。)

一番楽しかったのが、女の子決め。「こんな子いたら面白そう」と好きな子をたくさんあげて決選投票ていきました。選抜落ちする子を決める際は、女の子をなぜ押すかのプレゼン大会が勃発し、ドルオタのような熱気につつまれました笑 パッケージ化したのは32名なのですが、そこに至るまでに200名以上の美女候補が…。ちなみに大阪のおばちゃんは「落としたいと思えない」、と全員一致で落とされました。(ごめんなさい)

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メンバーが決まったものをイラストレーターでもあるあをこがカードっぽくしてくれました。よく見るとちょっと違う絵柄も…

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初めてのテストプレイ(2019/10~)


自分たちではテストプレイしすぎて、「もうこのゲームバカ売れするんじゃね?」とバカ親ならぬ、バカあの美女状態になっていたので、これはいけないと、友人にお願いしてテストプレイをしてもらうことにしました。
メンバーの家だと呼びにくいということで、貸し会議室を借りて、4人の友人にお願いし、初めてのテストプレイを開催しました。

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▲用意したもの:プロトタイプ一式、コメントを書けるポストイット、ペン、アンケート用紙、お茶、お菓子、ビデオカメラ、三脚、進行表

とまあ、ど真面目にやりました。プレイ中に気づいたことは、ポストイットで書き出していき、優先度を決めて対応していきます。分析、改善の過程は面白いので、詳しくはまた別のNoteで書きますね。

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自分たちでやっていると見つけられない改善点がわんさか! また、人にプレイしてもらって初めて「こんな遊び方もできるんだ!」という気付きもあり、「やってみてよかった!!!!!!!!!!」と大感動。
気づきがたくさんある分、この後の修正は大変でした。ここで出た課題を持ち帰り、どうゲームに反映するかを永遠と議論して、カードの内容をどんどん書き換えていきました。1度のテストプレイは3時間ほどでしたが、修正アップデートには丸2日くらいかかりました。

この後リリースまでの約半年間でテストプレイを4回しています。そう考えるとリリースまでに20人近くの人にお世話になりました。本当にありがたいです。

特に個人的に素晴らしかったのが、現役某超有名ゲームクリエイター会社で実際にゲームを作っている方に来てもらったときです。その時のゲームのかなり根本をつく指摘をいくつかしてもらい、そこを改善することによってゲームが格段に良くなりました。やはりプロは違いますね!! ちなみにそのプロが
「この(ホストが女の子を落とす)コンセプトは嫉妬するレベル」
と言ってくださったので、方向性が間違いじゃなかったんだ…と安堵しました。(内心、人に言うときちょっと恥ずかしいなとか思っていました笑)


コンポーネント決め(2019/10)


テストプレイを進めていき、なんとなくゲームの骨格もできてきた矢先、先輩ボードゲームクリエイターから「発注する会社のコンポーネントを調べて作ったほうが良いよ。カード枚数とか限界あるし。」とアドバイスをいただきました。
そこに来て初めて「そうか、カード枚数に限界があるんだ。女の子こんなに作れないってこと!?」と気づきました。笑
早速ボードゲームクリエイターの間では有名な萬印堂さんにアポを取り、お話を伺うことに。

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(画像提供:http://taitou.blog50.fc2.com/blog-entry-330.html)
お店に行くと、今まさに発送する前のボードゲームが山のようにありました。店員さんがパッケージプランを説明しながら、実際のコンポーネントに使われるチップやカード、箱などを見せてくださいました。実際に触ってみるとイメージがすごく沸くもので、箱のサイズやカードの枚数をより具体的にイメージできるようになりました。
更に質問攻めにし続ける私達に辟易したのか、最後に耳を疑うようなこんな一言が

「これらは過去に作った人たちの余りものなので、欲しかったら持って帰ってもらってもよいですよ」

好きに持って帰ってもよいですと!?
それを聞いて大阪のおばちゃん並みに図々しく「1パッケージ分もらってもよいですか?」とお願いし、自分たちが作っている最中のゲームに必要なカード、チップ、箱をすべてタダで譲り受けました。
あをこ、サカス、モタネはすかさず「もう本当にMimiずうずうしくてごめんなさい」と言いつつ後で「グッジョブ」、とほめてくれました笑
(このリアルなサイズの原本が手元にあることで、この後テストプレイや、デザイン、最終版プロトタイプを作るとき非常に役立ちました)
※心優しい店員さんの対応の心遣いだった可能性が高いので、マネして萬印堂さんを困らせないであげてください…笑

優しい萬印堂さんのお助けをいただき、自分たちのボードゲームの具体的なコンポーネントを決めることができました。感謝です!

コンセプト決め(2019/11~)


コンポーネントを決めて、今まで作ってきた42枚の美女カードを32枚にしないといけないとわかりました。またテストプレイを繰り返すうちに「このボードゲームって何が軸なんだろう」と迷走が始まります。チーム内でも「もっと戦略ゲーム寄りにすべきでは?」と「もっとライトにしたほうが楽しい!」などもめ始めたので、改めてコンセプトを定義することにしました。

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▲エレベーターピッチという手法を使っていました

コンセプトを考え直した結果、ゲームの売りは、
・日頃手の届かない美女を落とすという、ホストの非日常を楽しめる
・きわどい会話で盛り上がる
・何回やっても勝ち方が変わる戦略性がある

としました。そしてターゲットをより具体化するために、テストプレイをする過程で一番楽しんでくれた人を第一ペルソナとしました。これによって今後製品のブラッシュアップが非常にしやすくなりました。

それまでキャラが濃い方が良いのではと思って、かぐや姫や宇宙人(もはや美女か不明)なども入っていたのですが、人妻など現実にありそうできわどい会話のほうが盛り上がっていたので、「会話を生む」というプロダクトコンセプトに沿ってキャラクターを全部見直しました。そうして32枚の選りすぐりの美女が決まりました。


デザイン(2020/1~)


12月ぎりぎりまでテストプレイを開催し、どうにかカードをフィックス(女の子の種類や枚数などを決めること)しました。
そこからイラストレーターあをこの鬼のようなデザインが始まります…。今回ノリで「女の子たくさん考えるの楽しそ~」と選んでしまった結果、ボードゲームではめったに見ない、カード36枚すべて違うデザインとなりました。

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ボードゲームを作ったことがある人はわかると思うのですが、デザイナーに発注すると、それなりにいい額になってしまいます。今回はあをこがチームにいたので、超絶かわいいイラストがタダで手に入っていますが、あをこは何週間も睡眠時間を削って対応してくれました。正直、「これだけ素敵な女の子のイラストが32枚も入っていて、この値段、、、、!?」という感じです。あをこ、、ありがとう。。
(ちなみに、カードの効用も全部違ったため、そのバランスをとるのが一番大変でした)

デザインに関してパッケージは非常に悩んだので、思い切ってTwitterで簡易なABテストを行いました。

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アンケートの結果、約300人/500人からの圧倒的な支持を得て今のパッケージ↓になりました。

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最初に聞く前は、「自分たちが良いと思うほうに決めてしまった方が良いのでは」、と悩みましたが、ふたを開けてみると200人ほどの差が開き、かつ自分たちが選びたい方が選ばれたので、より自信を持つことができました。
カードやチップなどもデザインは非常に大変でした。ここについては今後あをこが詳細をまとめるのでそちらをご参照ください。

プロモーション(2020/3~)


まずは価格を設定しました。価格の設定はテストプレイの際に聞いた値ごろ感や収支計算、他ゲーム比較などをして決めています。いつか別Noteにまとめますね。
価格と合わせて、2020春ボードゲームマーケットに売り出すに向けて、ユーザーに認知してもらえるよう、ツイッターアカウントやゲームマーケットの商品紹介ブログなどを用意しました。

 Twitter:@redseed_bg
 ゲームマーケットサイト:あの美女からご指名いただきました

ツイッターは定期的に発信したり、あをこの人脈や、いくつかのボードゲームイベントで知り合ったつてを使ってフォロアー数を増やしていきました。
私たちならではの取り組みとして、少しでもみんなに興味が持ってもらえるように、定期的な発信で美女の1人ひとりの紹介をしています。

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▲サカス、モタネがどんな女の子だったら妄想駆り立てるかとよだれを垂らしながら一人ずつ一生懸命考えてくれました。笑 グラビアアイドルは人気があったようです笑

フォロワーを順調に獲得し、認知も高まって、「買いたいです!」などのコメントもいただいていた矢先、コロナの影響でイベントが中止となってしまいました。対面でのイベントを楽しみにしていたRed Seed的には ガーーーーン という感じです。
秋まで売り出しを待つか、他のメンバーと相談して、「今を逃すのはもったいない!」と通販で売り出すことにしました。
通販だと対面と違って、ゲームの内容を理解してもらいにくいと思ったため、説明動画を作成しました。

▲プレイイメージ動画を見てもらえると、このゲームはどんなふうに遊べるのかイメージしやすくなります

そしてついに、発売開始です!2020/4/28~


こちらのサイトで売り出していますので、ご興味持ってくれた人はぜひ内容見に来てくださいー!

最後に どうしてやり切れたか 全体を通してのチームワーク


正直4人で進めるのが大変だと思うことは多々ありました。予定を合わせるのもそうですし、集まる場所を確保するのも大変でした。また4人それぞれ思いが若干異なるので、ところどころ意見が合わず、殺伐とすることもたくさんありました。「一人でやった方がもっと良いものが楽にできるのでは…」と意見が食い違うたびに終電間際の帰り道思うときもありました。
しかし今では、本当に心から「一人で作ってたらこんなに良いものは出来なかった。」と確信しています。

カタログに出す言葉選びや、パッケージデザイン、キャラクターの細かいバランス管理、価格決めや交渉… 思いもよらないアイデアをたくさんもらい、一人では出せないスピードでドライブしてくれました。それが出来たのは、お互いが臆せずきちんと意見を出し合って、互いの得意分野を生かせたからだと思います。特に私は非常にわがままなので、よくみんな呆れずにここまで一緒にやってくれたな…と涙が出そうになりながら思います。


最初は思い付きでしたが、やり始めると奥が深く、大変だった分超絶な達成感と、チームで乗り越える楽しさを浸るほど感じました。
コロナで外出ができなくなってしまった今、GWなど時間を持て余している方がいましたら、ボードゲームで遊ぶだけではなく、友人らとオンラインなどで企画をしてみてはいかがでしょうか? 

ここまで長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

Red Seed Mimi

Red Seed Twitter:@redseed_bg
Mimi Twitter:@curiositykill33
Mimi Note: mimi_note
あをこ Twitter: @awokokko


ボドゲ制作をはじめ、さまざまなコンテンツ制作に取り組んでいます。読んでくださった方に、少しでも楽しい気持ちになっていただければ幸いです!