フランス・パリにソフトウェアエンジニアとして転職した話
12月よりフランス・パリでiOSエンジニアとして働いている@redryeryeです。
この記事では私が東京から全てリモートで行った転職活動の内容について紹介します。
背景
私は数年前からパリに住みたい個人的な理由がありました。
色々調べていくと2013年から始まったフランス政府主導のスタートアップ支援プロジェクトの後押しもあり、フランスのテック業界が盛り上がっていることが分かり、iOSエンジニアとして働いていた自分の転職に現実味が帯びていきました。
最終的に移住をいつ踏み切るか私のパートナーと相談して、このタイミングで転職活動を行うことを決めました。
タイムライン
6月からLeetcodeで問題を解き始め、7・8月で面接を受けて9月にオファー承諾という流れでした。
7月の終わりの段階で私の来歴でビザ発行の基準を満たすのがスタートアップしかないことが分かり、8月から準備の仕方を大きく変えました。
これについては後ほど説明します。
リファラル
転職活動を始めるにあたってまずはリファラル経由での応募を考えました。
フランスに勤めている知人はいなかったものの、フランスに繋がりがありそうな知人やLinkedInのコネクションへ連絡しました。
それと同時に、フランス企業へのコネクションを作るためにLa French Tech Tokyoというフランスのスタートアップの活動を促進するコミュニティが開くイベントに毎月参加しました。
実際にこのイベントのご縁でフランスにオフィスを持つ企業の採用担当の方を紹介していただき、採用プロセスへ進むことが出来ました。
フランスの企業へのコネクションを探す時に、日本に進出しているフランス企業やフランスに進出している日本企業で働かれている方というのは意外と盲点だと思います。
就労ビザとその発給資格
リファラル経由で話が進んでいた企業とのPhone Screen(一次面接)でビザに関して確認した際に、私がビザの条件を満たしていないことが分かりました。
そもそも彼らがサポート予定だったフランスの就労ビザは、EU圏外の外国人労働者を対象とした労働許可証であるTalent Passportの中でも"Highly skilled employees"という枠です。通常3年以上の高等教育の修了または5年以上の就業経験の証明が必要で、当時私はこの条件を満たしていませんでした。
French Tech Visa
Talent Passportの条件を満たしてないことが分かり路頭に迷っていた私が見つけたのは、@JunichiSugiuraさんの動画で紹介されていたFrench Tech Visaでした。
French Tech Visaとは政府が“new innovative enterprise”として認めているスタートアップ企業の従業員への発行が許可されるビザで、"Highly skilled employees"とは違い、職歴や学歴の制限がないのが特徴です。
また従業員とその家族へビザが発行されるのも特徴の一つです。
どの企業が“new innovative enterprise”として認定されていて、French Tech Visaを発行できるのかリサーチするために、私はFrench Tech ecosystemを参考にしました。
このサイトは企業の資金調達額や投資家、使用しているテックスタックなどが集約されているデータベースで、過去にFrench Tech Next40/120に選ばれた企業を調べることも可能です。
ただ、このリストやデータベースに載っている企業すべてが必ずしもFrench Tech Visaでビザをサポート出来るという訳ではないため注意が必要です。
採用担当者との最初のPhone Screenでビザに関して確認するのが最も確実な方法です。
応募
レジュメで応募をする前に、上記でリサーチした会社をベースに、TwitterやLinkedInで募集中のポジションがないかメッセージを送りました。
しかし、反応はあまりなく、あっても次のプロセスに繋がるものはありませんでした。
同時にパリ周辺のリクルーターにもメッセージを送りましたが、これについては反応があり、実際に採用プロセスにのせてもらうことが出来ました。
応募に関してはLinkedIn、Welcome to the Jungle(フランスのエンジニア向け転職サイト)、そして企業の採用ページから直接応募のいずれかの手段で行いました。
私は現時点でフランス語が話せないので、英語でコミュニケーションを行う会社を探していました。French Tech Next40/120として認定されている会社は英語を公用語としているところが多い印象でした。
しかし中にはもちろんフランス語のみの会社もあり、募集要項や会社概要がフランス語のみの企業からは、お断りのメールもフランス語で来ました。
結局企業のキャリアページから2社選考に進みました。
殆どの会社から1〜2週間の間に書類選考結果がメールで来ました。
ただ、応募した期間が7月下旬から8月というフランスのバケーションの期間と重なっていたため、8月の最終週まで反応がない企業もありました。
面接
実際に採用プロセスに進んだ企業はどれも以下のようなプロセスでした。
Phone screen - Talent Acquisition Managerと面接
Hiring Managerと面接
Take home assignment
Discussion - 上記のTake home assignmentについてディスカッション
Final interview - ディレクターレベルのエンジニアと面接
面接対策
初めは絶対にコーディングテストがあるだろうと仮定していたので、とにかくLeetcodeで問題を解いていきました。
少し慣れてきたら、英語で問題について話す練習をするために模擬面接が行えるPrampや、シリコンバレーで働く方が主催されている「英語でLeetcode」へ定期的に参加しました。(Prampは上記のリンクから登録すればお互い無料でクレジットが貰えます。)
しかし、私が応募した多くのスタートアップではいわゆるLeetcodeで対策するようなコーディングテストがなかったため、8月からは通常の面接対策とiOS開発におけるドメイン知識の復習を中心に行いました。
オファー
最終面接後にメールで採用の結果通知があり、オファー面談が設定されました。この時に移住費等含めた福利厚生の確認と、オファー内容の交渉をしました。
オファー内容は基本的に応募する職種のランクによって決められており、そのランクの年収の下限と上限が存在します。通常、最初のPhone Screenで希望年収を聞かれるので、そこでお互いミスマッチがないか確認します。
日本と平均給与が異なるのでフランスでの希望年収を計算するのは難しいですが、私はパリでの必要な生活費から逆算しつつ自分のエンジニアのキャリアを考慮して希望年収を算出しました。
ビザ取得
オファー承諾後、ビザの取得と移住の準備を開始しました。
ビザは基本的に会社に必要書類を用意してもらい、自分で大使館へ手続きをしにいく形でした。
会社側に素早く対応していただけたおかげで、2ヶ月以内に家族の分を含めビザの取得が完了しました。
最後に
そもそも海外転職というオプションが私の選択肢に入ったのは海外転職した先人たちが残したブログがあったからこそでした。
ソフトウェアエンジニアのフランスへの転職に関しての知見はまだまだ少ないため、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
役立ったサイトなど
フランスの就労ビザの条件に関して書いている公式サイト
https://france-visas.gouv.fr/en/web/france-visas/international-talents-and-economic-attractiveness
都市ごとの生活費の差を種別ごとに比べられるサイト
https://www.numbeo.com/cost-of-living/comparison.jsp
ヨーロッパのテック業界で働いている人の日本語コミュニティ
https://github.com/tech-kai/welcome
企業の評判を見れるサイト
https://www.glassdoor.com
英語でメールをやり取りをする上で大活躍した文法添削ツール
https://grammarly.com
追記 2023/12/26
渡仏して一年が経ちました。
たまにフランス生活のTipsをブログに書いているのでよかったら参考にしてください 👋
https://paris.redryerye.com/
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