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#40 Yの悲劇ともうひとつの悲劇

ミステリやスリラー、推理小説、冒険小説やスパイ小説が好きである。
特に推理小説をよく読んでいたのは小学校の図書館にあったシャーロックホームズや怪盗ルパンシリーズで読書の楽しみを知ったからだろうと思う。
(何故か乱歩はハマらなかった)

推理小説を楽しむポイントとして、大まかに言うと

1. 意外な犯人 
2. トリックの解明 
3. アリバイ崩し

などがあり、それらのうち1と2など複数が混ざったものもある。
私が特に好むものはなんと言っても1の意外な犯人ものである。

「真犯人は・・・この中にいる!」

とか

「あの時、それが出来たのはたった1人しかいないんです。・・・貴方ですよね」

みたいな台詞にワクワクすんねん。

「なんと!、、、奴が真犯人だったのか!」

という驚きに我が身を震わせたいのだ。
(少し大袈裟に書いた)

「Yの悲劇」という推理小説がある。
言わずと知れたエラリークィーンの名作であり、意外な犯人といえばこの作品がすぐに思い浮かぶ人は多いだろう。

ポーの「モルグ街の殺人」やアガサクリスティの「アクロイド殺人事件」も意外といえば意外だが、私は「Yの悲劇」が最も出来が良いと感じる。
(「モルグ街の殺人」は「え?そんなんあり?」ってなる。「アクロイド〜」は途中で気付いた。わはは)

さて、ここからは何年も前の話。
今、読んでいる本が終わったら、いよいよ次に名作の誉れ高い「Yの悲劇」を読んでみようと思っていたある日のこと。
(既に購入済みであり、つまりは読む気満々状態。準備はできていたのである。)

題名は忘れたがその読みかけの作品の中に次のような文章が出てきたのだ。

「彼の洞察力は素晴らしく、"Yの悲劇"の犯人が○○であるということを第二章で既に言い当てる程、その鋭さは群を抜いていた。」

「えーと・・・ん?なんと仰いました?なんか見ちゃったけど。。」

世界的に有名な意外な犯人もの小説の、その肝心かなめのその人物の名前を読む前に知ってしまったのだ。
映画館でそれ言ったら強制退去ものの愚行である。

聞きたくないことを聞いてしまいそうな時に両耳を叩きながら「あーあーあー」とは良くやるアクションだが、この場合、目を叩きながら何を叫ぼうが、既に時遅しなんである。


だからといって読むことをやめなかったのは正解だった。
プロット、ロジック、共に素晴らしく、登場人物も鮮やに描写され楽しむことができたからだ。
(でもなぁ、、犯人知ってて読むとなぁ、其奴が出てきた時に「お前犯人なの知ってるんだぜ!」となっちゃってやっぱり楽しさ半減だわなぁ)

推理小説好きの私にとっては大変な悲劇であった。

正に「ワイの悲劇」である。

いや、あの、だからその・・これを言いたいが為にこの文章を書いた訳ではない。
そこは信じて欲しい。
ジッチャンの名にかけて。

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