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もっとデカい船が必要だ

先日深夜にシャワーを浴びた後、ビール片手に何気なくテレビをつけたらスピルバーグの1975年監督作品『ジョーズ』をやっていたので思わず観てしまった。何度も観たけど、不意にやってると新鮮な気持ちになるのが不思議だ。

主人公ブロディ署長を演ずるロイ・シャイダーはこの作品前後『フレンチコネクション』『セブンスアップ』『マラソンマン』『恐怖の報酬』『オール・ザット・ジャス』などなど、名作に出演しまくってた頃だ。ジーンズ姿がかっこよかったな。

海洋学者マット・フーパーを演ずるのはリチャード・ドレイファス。『未知との遭遇』『オールウェイズ』でスピルバーグ作品に出演しているが、僕は個人的にスピルバーグはドレイファスに自分を投影しているのではと思っている。同じユダヤ系だしね。顔や雰囲気が似ている気がする。

荒くれ漁師クイント役はイギリス人俳優ロバート・ショウ。百戦錬磨の海の男だが、スピールバーグ作品には脇役に必ずと言っていいほどこういった〝男の中の男・頼れる男〟的なキャラが出てくる。『E.T.』の名無しの男KEY(ピーター・コヨーテ!)とか『ジュラシック・パーク』のイアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム!)とか『プライベート・ライアン』のマイケル・ホーヴァス(トム・サイズモア!)とかね。

あの有名なジョーズのテーマはドボルザーグの『新世界より』からの引用だったと知った時は驚いたな。「やってるね〜」とジョン・ウイリアムスに急に親しみを感じた。
ズームを使わないスピルバーグには珍しくブロディにズームするシーンがあったり、ハワード・ホークスの影響を感じるシーンがあったり、
「もっとデカい船が必要だ」
「近頃の若い男にはロクなのがいねえ」
「もっとデカい傷があるぞ。メアリーって女にハートを破られたのさ」
などすぐ浮かぶ印象に残るセリフもある。海からデカいサメが襲ってくる映画。ただそれだけ。だけど何度観ても面白い。

しかし、この映画も45年前か。そしてこの時スピルバーグ28歳。おそるべし。

ジョーズは大ヒットしたのでその後シリーズ化され、2までは観たけどギリ面白かったな、という感じだったので3は観てない。そしてよせばいいのに87年に悪評をほしいままにする『ジョーズ87復讐編』という完結編があるのだけど、イギリスの名優マイケル・ケインがこんなのに出演するためアカデミー賞授賞式を欠席したという。流石ケイン。逆に観たいぞ。

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