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迷光を纏う、その輝きは貴石のごとく【水×天カイヤナイト 黛冬優子】


私はつい昨日、【水×天カイヤナイト 黛冬優子】のTrueENDをようやく読んだ。

最初の感想は「短いながら冬優子のキャラをよく表現した佳作だな」といった感じだった。しかし今日の朝、ふとこのコミュの本当のすごさに思い至り、さらには本日更新された4コマ漫画で、それはシャニマスというコンテンツへの畏敬へと変わった。

というわけで実装からずいぶん経っているが、【水×天カイヤナイト】について記していきたい。例によってネタバレを含むので、未読の方はご注意。


1.コミュの内容について

『ラピス・ラズリは空の下』

夏の海辺での撮影の合間、冬優子は砂浜にいるプロデューサーにばしゃばしゃと海水を浴びせて遊んでいる。はしゃぐ冬優子が転んだところをプロデューサーがかばい、プロデューサーはびしょ濡れになってしまう。冬優子は濡れたプロデューサーに追い打ちをかけるように水を浴びせるが、それは冬優子の心配の裏返しだった。


『イーグル・アイは唄わない』

その撮影に向かう車内での出来事。せっかくの海辺の撮影なのに、どんよりした天気に冬優子は不機嫌を隠せない。「晴れろ」と空に念を送る冬優子を見て、プロデューサーも晴れてほしいと思う。すると、本当に陽が差しはじめてくる。


2.鉱物を用いた比喩

【水×天カイヤナイト】が秀逸なのは、まずカード名とコミュタイトルにある。

『【水×天カイヤナイト】』

『ラピス・ラズリは空の下』

『イーグル・アイは唄わない』

それぞれモチーフが統一されており、カイヤナイト、ラピスラズリ、イーグルアイはどれも鉱物の名前である。

カイヤナイトは別名を藍晶石といい、青、灰色をした鉱物だ。ラピスラズリは絵の具の材料にもなる美しい青色が特徴の宝石で、12月(冬優子の誕生月)の誕生石でもある。イーグルアイは黒、灰色の鉱物で、パワーストーンとしても用いられる。

これはストーリーと連動しており、照りつける太陽、青い空と海にはしゃぐ冬優子は青色の「ラピスラズリ」として(余談だがラピスラズリを用いた顔料は「ウルトラマリン」と呼ばれる)、灰色の曇り空に不機嫌な冬優子はそのまま灰色の「イーグルアイ」とすることができる。「カイヤナイト」はそんな二面性を持つ冬優子の色を内包するものと見ることができるだろう。

なお、ラピスラズリは宝石だが、カイヤナイトとイーグルアイは宝石ではなく、言ってしまえばただの石だ。

すなわちここでの冬優子は、いまだ宝石=アイドルとして完成していないと見ることもできるし、あるいは宝石と石、両方の魅力を兼ね備えているとも言える。


また、これは本筋とは直接関係ないが、「水×天」についても触れておきたい。

「水×天」はそのままコミュ内の海の水と空模様と取ってもいいが、この言葉は水天宮を連想させる。その水天宮には弁財天が祀られており、弁財天とは音楽の女神である。ここにアイドルとしての冬優子がぴったりと符合してくる・・・というのは考えすぎだろうか。


3.地球としての冬優子

いきなり何を言い出したんだお前は、と思われるだろうが、もう少し読んでいってほしい。

本日更新された4コマ漫画で、愛依は「プロデューサーが太陽で うち(=愛依)が月」と述べている。そしてその前のコマ、冬優子のセリフは「月っていいわよね」「暗い夜でも明るく照らしてくれて」である。

月が照らすものとは何か。地球だ。

さらに、地球は太陽の光を受けて輝き、その色は「青」である。太陽の当たらない面は「黒」に沈み、まさにラピスラズリとイーグルアイを示している。

また、これは別カードだが【(ノージャンル)グラヴィティ 黛冬優子】が存在することも有力な傍証となりえることを付け加えておく。


言わずもがなではあるが、ストレイライトとは「迷光」という意味である。「迷光」は光の反射により発生する現象であり、自身の発する光によるものではない。ストレイライトはしばしばイルミネーションスターズと対比されがちであるが、これは最もなことで、イルミネーション、あるいはスターは自ら光を放つものの比喩だ。

であるならば、ストレイライトの象徴とは光を受けるものとなる。

太陽の光を受けて輝く地球と月。冬優子と愛依。

ここまで言えばお分かりだろう。

太陽とはプロデューサーであり・・・・・・。

そう、もう1人、「太陽」をその名に冠するアイドルのことだ。

(了)

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