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父親が育休前後に感じた不安と学び

こんにちは。Grooves の赤川です。
第二子が生まれたことをきっかけに、2022年8月に1ヶ月間の育休を取得し、現在時短勤務中です。

世の中に育休を取得した父親の記事はすでに多々ありますが、育休前の私が本当に必要としていたのは”知っているあの人の体験談”だったように思います。そこで、私自身も私を知っている誰かの役に立てるよう、この記事を書きます。

特に、育休取得の前後でどのような感情が芽生えるのかは、事前に知る機会がなく、ポジティブなことも、ネガティブなことも、両方紹介することで、親になる/なった人の役に立てればと思います。

私を育児に駆り立てた一枚の絵

ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋 より、著者の承諾を得て掲載

この絵は、今回の育休に入る直前に読んだ本の挿絵です。
すでに1人目の子育て真っ最中だった私にとって、グサッとくるものでした。
ひとりでも大変なのに、もうひとり生まれたら家庭はどうなってしまうのか…真剣に育児に取り組まなければと思いました。

私にとっての育休の立ち位置

今回育休を取得するにあたり、自分なりの意味を3つ設けました。

  1. 産後直後の妻と家庭を支えるための期間とする

  2. 育休明けも続く育児・家事に備えて能力開発する機会とする

  3. これから父親になる身近な友人のために、先回りして育休経験を言語化する機会とする

これらを自分なりに満足できる期間として、1ヶ月は必要だと考え、育休を申請しました(これはあとになって誤りだったと気付きます。実際は2,3ヶ月取得しても良かったと思います)。

育休を通じた感情の変化

ここらは、育休取得前から復職までに体験した出来事、感情、学びを紹介します。
育休で得た知見だけを早く見たい方は、一気に「育休を通じた学びパート」まで飛んでください。

育休開始前

  • 育休の申請
    育休取得自体は、妊娠が発覚する前から取得しようと考えていました。妊娠発覚後、安定期に入る前から上司だけには妊娠を報告し、いつぐらいに育休を取得するかを、伝えました。
    当時の上司は2児の母で、父親の育休の大切さを身をもって知っている方でした。私の育休取得も、力強く背中を押してもらえました。
    安定期に入った頃、チームメンバーに妻の妊娠を伝え、5ヶ月後の育休に向けて、前もって体制を整えていきたいと伝えました。メンバーが自分ごとのように喜んでくれたことが嬉しかったです。チームの協力もあり、日々の業務をこなしながら、着々と引き継ぎ準備を進めることができました。

  • 仕事から離れる不安
    育休が始まる1ヶ月ほど前に、私の育休期間中に、所属事業で戦略を決めるためのリーダー合宿が開かれることになりました。その場にいれないことをもどかしく感じる経験をします。
    同時期から、中長期のプロジェクトに首をつっこみにくくなりました。「すぐ休みに入ってしまうのに、自分がプロジェクトに加わっては迷惑になってしまう」と。必然的に短期的な施策にしか手を出せなくなり、少しずつ自分が事業の蚊帳の外にいるのでは、と感じるようになります。

  • 突然仕事がなくなる
    そんなこんなで引き継ぎをしていると、育休一週間前に引き継ぎが完了し、やることがなくなってしまいました。こんなことは仕事人生で初めてで、自分抜きで事業が回るさまをみて、自分はこの会社に必要ないのではないか、と不安を覚えます。
    ここまでに私が感じた不安は、すでに多くのメディアで、女性が産休育休のために会社から離れる時に感じる不安として紹介されていますが、たった1ヶ月の育休でもこう感じるのだから、1年近く会社を離れる母親が感じる不安はその比ではないのだろうと身をもって知ります。

  • 予定日より早い出産
    たまたま早めに引き継ぎを完了していたことが功を奏すわけですが、出産予定日より数日早く子どもが生まれ、育休が始まります。

育休中の過ごし方

  • 就職してから一番長い一日
    出産直後は母親が授乳以外のことをしなくていいよう、赤ちゃんのお世話はもちろん、上の子の遊び相手、家事をできる限り引き受けました。
    2人の子供と過ごす一日は、体力的にとてもハードで、一日がとても長く感じます。これは一日があっという間に終わる仕事感覚とまるで異なりました。
    一日が長く、一週間が長く、1ヶ月が長い。育休が始まって、まだ5日しか経っていないのか、と驚いたものです。

  • 読書で得た知識が、直ちに経験に変わる
    空き時間は、体力が許す限り育児本を読みました。知人などの紹介を受けながら30冊ほど読みましたが、読んですぐ実践できるシチュエーションは、私の好奇心を何度も満たしてくれました。

復職

  • 浦島太郎気分
    育休明けの出社日は、自力でキャッチアップするためにドキュメントを遡りました。たった1ヶ月の間にも色々変化がありました。
    ちょうど、Groovesでは半期が切り替わるタイミングで、この期間に、勤務制度と、評価制度と、組織図と、上司が変わるなど、大きな変化が起きていました。浦島太郎気分です。
    ところが、チームメンバーの誰に話を聞いても「そんなに変わったことはないですよ」と答えがかえってきます。このギャップも育休あるあるなのかもしれません。

育休を通じた学び

やっぱり育休って大事

核家族のうえに、コロナ禍で地域や祖父母と分断される中では、父親の育休抜きでの子育ては無理ゲーだと身をもって知りました。
身の回りで育休を検討している父親がいたら、取得したほうがいい!と全力で伝えます。

育休希望は早めに伝え、早めに引き継ぎする

育休の5ヶ月前にチームに伝えることで、十分な引き継ぎ期間を確保できました。
仕事を手放す不安もありましたが、自分に依存していた仕事を手放す機会でもありました。仕事を抱えがちな私にとって、ワークフローをドキュメント化したり、権限移譲を次々と行う経験は良い学びになりました。

育休開始直前にする仕事を用意する

今になって思うと、引き継ぎが終わった後にどんな仕事をやるか?は事前に考えておくべきでした。
他人との依存関係がなく、いつ辞めてもよく、普段できない緊急ではないが重要な仕事に取り組むのが良さそうです(このタイミングで、育休明けの自分のためのオンボーディングプログラムを自分で準備すればよかったと振り返っています)。
また、生まれてから育休を取るのではなく、出産予定日の1週間前にはいつでも休みに入れるよう、計画しておくのがおすすめです。

育休に入る人への声掛け

育休直前期は、自分の仕事への貢献度を感じにくい時期だったこともあり、「育休楽しんでね」「ゆっくりしてね」という言葉よりも、「◎◎さんがいない間は、まかせてください。また帰ってきたらお願いします」とか「◎◎さんが戻ってきたら、こんなチャレンジしたいですね」と、未来につながる声をかけてもらえるほうが嬉しく感じました。
自分もそういう声かけをできる人になりたいと思いました。

育休中は、定期的にパートナーとのすり合わせする

育休中、家事をするのが楽しくなってきて、本来の役割を忘れてしまいました。パートナーにどうしてほしいかを時折確認し、求められていることをすることが大事そうです。

3ヶ月以上の取得も検討してみては

引き継ぎの終盤になって、1ヶ月育休を取得するなら、3ヶ月でも準備することは変わらなかったと気づきます。

育休明けのオンボーディングを自分のために準備しておく

中途入社社員だけでなく、育休から戻る人にも、オンボーディングがあるとよいです。もともとGroovesには母親向けのオンボーディングプログラムが用意されているのですが、父親向けにはありませんでした。私たちの会社はまだ完璧ではないので、自分で気付いて、復帰する自分のためのオンボーディングを組んでおけばよかったと思います。

父親が時短勤務をする選択も

よく、ビジネスはマラソンで、短距離走ではない、と例えられます。恥ずかしながら、短距離走を10年近く続けていた(?!)私にとって、今回の育休は強制的に仕事のペースを落とす良い機会となりました。
復職にあたって、育児期時短制度を使い、一日8時間労働を、一日7時間労働に切り替えました
強制的に一日の稼働時間を1時間減らすことで、自分が育児家事を当たり前に行う状態を目指しています。
よく、育児しながら学び続ける難しさが語られますが、時短勤務にすることで、学習時間も確保しやすくなりました。今の収入維持よりも、学習と研鑽が長期で大事だと思っています。時短の活用は、学び続けることが心の支えになる人にはひとつの選択肢だと思います。

育休を取得する理由なんて聞かれない世の中へ

「令和3年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると、男性の育休取得率は、2020年度で女性の85.1%に対し、男性が13.97%と、まだ一般的ではないようです。

男性が育休を取得するかしないかは、家庭や個人の事情によって異なるので、一概に取得率100%を目指すべきではないと思います。

ただ、現状が「育休を取得しない男性が大多数である」ことを考えると、
説明責任の向きが「育休を取得する理由」ではなく「育休を取得しない理由」になる世の中になったほうが、助かる親が多いのではと思います。

「育休取るの?なんで?」ではなく、「育休取らなくていいの?なにか取りづらい理由ある?」と。

そのためにも、身近な人が育休をとっていることが、育休の取得しやすさにつながるのでは、と考えます。
この記事が、あなたの役に立てたら嬉しいです。

「家族でスクラム」イベントのご案内

試行錯誤を続けていますが、いまだに子育てと仕事の悩みは付きません。
私のような方のために、一緒に学べるイベントを開催します。

イベントでは、冒頭で紹介した「ふたりは同時に親になる: 産後の「ずれ」の処方箋」の著者である狩野さんを基調講演にお招きしました。(ご快諾ありがとうございます!!)

また、ITエンジニアであり、3人の子育てに励む小田中育生さんに、育児と家事と仕事、そして自己研鑽のバランスをどうとってきたか、経験からの学びを紹介していだけることになりました。

子育て世代に参加しやすいよう、平日お昼の時間の開催のほか、イベント模様は YouTube でアーカイブ公開いたします。参加は無料です。よろしければぜひご参加ください 。

子育て中の方はもちろん、同僚や部下に子育て中の方がいらっしゃる方も、ぜひ学びに来てください。

家族でスクラム ー ふたりで乗り越える、不安と子育て

お申し込みはこちらから。

それでは。

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