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あの子が腹腔鏡手術を受けるのって言ったから、今日は僕たちの腹腔鏡手術記念日(試作)
静かな午後、病院のカフェテラスで、僕はコーヒーを飲みながら
明日行われる腹腔鏡手術について考えていた。すると
すみません。お隣よろしいですか?
若い女性が声をかけてきた。僕が「どうぞ」と返事をすると
彼女は「ありがとうございます」といいながら、僕の前に腰掛けた。
そしてしばらくすると彼女が突然、
あの腹腔鏡手術ってされたことあります?
と僕に質問してきた。僕が「明日、その腹腔鏡手術をするんです」と答えると
実は私も明後日、腹腔鏡手術を受けるんです。でもね・・
そういうと彼女は黙ってしまった。
どうも、彼女は腹腔鏡手術が怖いみたいだ。確かに、腹腔鏡手術は、あまりポピュラーな
手術ではない。僕の場合は開腹手術だと、かなりの大手術になるらしいので
担当医から腹腔鏡手術を勧められたのだが、彼女はなぜ、腹腔鏡手術を受けることになったのだろう?
私、水着のモデルをしているんです。だからおなかに大きな傷ができるのはまずいって先生に言ったら
この腹腔鏡手術を勧められたんです。でも、周りに誰も経験者がいないので、ちょっと怖くて・・。
そういっておびえた顔をする彼女。なんとか力になれたら・・・。そうだ!
明日、僕の腹腔鏡手術が終わるころ、部屋に来てくれませんか?
そのときに、僕の体験ほやほやの腹腔鏡手術体験談をお話ししますよ。
僕がそういうと、彼女は
いいんですか?
と、うれしそうな顔をした。
OKですよ。看護婦さんには話しておきます。
ありがとうございます。腹腔鏡手術体験者から体験談をうかがえるなんて心強いわ!
そういうと、彼女はペコリとお辞儀をして帰っていった。
今、僕は腹腔鏡手術を終えて、ベッドの上で寝ている。
思った以上におなかが痛い・・・・。しかし僕は、まったく痛みを感じない素振りをして、これから腹腔鏡手術を受ける彼女を
目の前に、ありったけの作り笑顔でこう言った。
大丈夫。腹腔鏡手術なんてたいしたことないですよ。安心して
腹腔鏡手術を受けてください。お互い元気になったら、この近くにあるビール醸造所に
行って、醸造酒を飲んでお祝いしましょう。そのときは炙りカルビも一緒にね。
約束ですよ。
(了)
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