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オレとギターとりんちゃんと。

りんちゃんはリビングでギターを弾いていた。このギター、最近うちに来たばかりのクセに、
りんちゃんの膝の上でお腹や首を、何時間もずっと撫で撫でして貰ってるんだ。オレも撫で撫でしてもらいたくなって、りんちゃんの近くに駆け寄って、ギターのやつを手でパシパシ。りんちゃんにアピールした。

りんちゃんは手を止めて、顔をボクの方へ向けた。ボクは力いっぱい尾っぽをぶんぶん振った。そしたらりんちゃん、

何?邪魔しないでよ。まだ餌の時間じゃないでしょう?

って言うんだ。違うよ。餌じゃなくて撫で撫でだよー。
ギターのヤツはまた、りんちゃんの膝の上でお腹を撫で撫でしてもらい、気持ち良さそうに、ぽろんぽろんと鳴いている。くそー!なんであいつばっかり!オレは悔しくてワンと吠えた。

うるさいよ!なんなの?

りんちゃんはまた手を止めてオレを見た。オレはりんちゃんの目をジーッと見つめて、念を送る。

撫で撫でしてー、撫で撫でしてー、撫で撫でしてー

あー、わかった。そっか。撫で撫でか。

やった!この方法、ヒット率高いんだ。でも、かなりの集中力がいるけどね。オレはお気に入りの座布団の上に移動して腹這いになった。そこにりんちゃんがやってきて、

よしよしー。では撫で撫でするよー。

と言いながら、背中を撫で撫でしてくれた。次は頭かな?と思ったら、

マズイ!宿題やらなきゃ!以下、省略!

と言い。自分の部屋に行ってしまった。なんだよ省略って。ギターばっかり可愛がって。オレはどうでもいいのかよ。もうりんちゃんなんか知らない。

夕飯の後、またりんちゃんは、自分の部屋でギターを撫で撫でしてる。ギターはかなり気持ちが良いのか、昼間より良い声で鳴いてる。オレは不貞腐れながら、りんちゃんのベッドの上で、2人の様子を横目で見ていた。そうしたらりんちゃんが、

昼間はごめんね。大分上手に出来るようになったから、ギターの練習はおしまいにして、たくさん撫で撫でしてあげるね。

と言って、ギターから手を離し、オレの背中を撫で撫でしてくれた。やった!オレは嬉しくて、しっぽを振りながらお腹を出す。りんちゃんがお腹も撫で撫でしてくれた。

りんちゃんありがとう。神様、この時間が省略されず、永遠に続きますように。

(了)

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