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どうしても頑張れない人たち

#どうしても頑張れない人たち
#宮口幸治

世間には「どうしても頑張れない人たち」がいる。彼らを支援するための知識とメソッドを詳述。
「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。



色んな背景をもった人たちに対し一律で、「努力すれば報われる」「やればできる」といった言葉かけをすることは、どれだけ彼らを傷つけてきたことでしょうか。また我々も「努力すれば報われなければならない」「やればできなければいけない」といった呪縛からいつまでも解かれない状態なのです。


支援したくないような人こそ実は支援の対象


認知機能の弱さをもった人たちは、見る、聞く、想像するといった力が弱いため、いくら頑張っても入ってくる情報に歪みが生じてしまい、結果が不適切な方向に向いてしまうのです。そうしているうちにいくら頑張ってもうまくいかず、失敗を繰り返し、次第にやっても無駄だと感じるようになり、頑張れなくなるのです。


本当の意味で子どもの話を聞いてあげているケースは少ないのです。実際は、親は子どもの話を聞いてあげているつもりでも、途中で割り込んで自分の意見を話したり、説教したり、叱ったりと、自分の考えをこどもに押し付けてしまうケースが多いのです。


少年院でいい指導をしていて人気があった法務教官は「まずは子供たちに好かれないといけない。嫌いな先生にどれだけ正しいことを言われていても聞きたくない。嫌だと思う。好かれるというのは決して、甘やかすとか期限を取るということではない。子どもに笑顔であいさつする、名前を覚えている、最後まで話を聞く、子どものやったことをちゃんと覚えている、そんな人と人との基本的な関係なのだ」と言った。


ああ、なんかやっぱり私世の中のことまだまだ知らないと思い知らされる。自分が知っている世界は狭くて、その範囲でしか物事を考えられないから、自分の知らないことを知ると自分の無知さを実感する。

心に残った「支援したくない人ほど、支援が必要だ」ということ。虐待する親こそが支援が必要な人であるということ。改めて考えるとそうだよなと納得する。友人にこの本の話をした時に、「日本ではいじめられた人に焦点を当ててケアしようとするけど、アメリカではいじめる方に問題があるという視点で考えられる」という視点を聞いて、逆の発想なかったなと思った。

この本に書かれている彼らはきっと認知の歪みゆえ、周りに受け入れらず苦しんできた。認知の歪みがあるということをもっとみんなに知られることで社会全体で寛容になるのではないかな。その寛容さが彼らを救う気がする。

少年たちに人気の法務教官の言葉も心に残った。好かれないということを聞いてくれない。嫌いな人に何言われても嫌な気持ちするでしょう。でも、好かれるというのは媚びを売るとか機嫌を取るとかではなく、挨拶をする、名前を覚える、話を聞くというような人として基本的なこと。その人として基本的なことを相手によって変える、そんな人を相手は見破るんだと。私もよく最近思うのは『人柄は顔に出る』ということ。日々の行いが顔つきに表れる。

先日仕事で不誠実な対応を目の当たりにして、窮地に立たされた時にその人の本質が見えるというけど、まさにそうで。きちんと対応するという話だったのに、「そんなこと言っていない」と言われ、その場しのぎで取り繕う言葉を発したら忘れるんだということを感じた。誠意ある対応を心がけていたら忘れるはずがないし、その人の行いや思考は日頃の対応に表れて、その時に相手の本質が見えると思った。誰しも忘れることだってあると思うけど、その後の対応も悪く、不誠実さを目の当たりにして、自分の利益のことばかり考える人はこうやって信頼を失っていくのか。と一瞬にして信頼がなくなる瞬間も感じた。

でも、そんな時にその出来事を知り、私に優しく声を掛けてくれる人がいて『あなたの対応を誰1人悪いと思う人はいないですよ』と言ってもらえて、日頃の行いが評価されて信頼に結びつくんだということも同時に感じた。日頃の行いを人として基本的なことをきちんとできる人でありたいと思う。


『ケーキの切れない非行少年たち』と同じくらい読んでよかったと思える本だった。改めてケーキの切れない非行少年たちの内容も思い出して、こういう振り返りをすることでまた意識ができるなと思った。


🌸: #スノーボール
花言葉「茶目っ気」「年齢を感じる」


#読書記録 #萌本棚

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