「雇用調整助成金」よりも「みなし失業」を採用してもらいたい理由

社労士をしているのですが、先日こんなご相談を受けました。「パートやアルバイトでも、雇用調整助成金はもらえるのですか?」匿名希望の方だったので、勤務先は分かりませんが、パート先から、「仕事が減ったから、シフトを減らしてほしい。」と言われたとのこと。

「いえいえ、雇用調整助成金は会社がもらうもので、労働者の方が直接もらうものではありません。でも、パートやアルバイトの方でも、会社から休業手当がもらえるはずですよ。」

最近、テレビや新聞等で雇用調整助成金の話題が多く出るので、労働者の方が直接もらえると勘違いしてしまうのかもしれません。「みなさんが会社から先に休業手当をもらい、後日会社が申請して雇用調整助成金をもらいます。会社が雇用調整助成金をもらえるかどうかと、みなさんが休業手当をもらえるかは別問題です。休業手当は労働基準法で決められたものですから、会社は雇用調整助成金がもらえても、もらえなくても、労働者の方には休業手当を支払わなければなりません。」

そう説明しながら、でもそれって、労働者の方にも経営者の方にも酷な話だよなぁと。実際、休業手当をもらえていない労働者の方は多いと思う。(特にパートやアルバイト等、非正規労働者の方々は。)会社が申請する雇用調整助成金を、間接的に受け取るんじゃなく、労働者の方が直接国からお金を受け取れたら…。

ここ数日、申請書類の数が削減されたり、オンライン申請が決まったり、連帯保証が解除されたり、社労士にとって有難い話が続いています。だけど、一番大切なのは、受け取る労働者の方々にとって、有難い制度かどうか、生活の糧である賃金が、迅速に支払われる仕組みかどうか、のはず。

例えば東日本大震災の時のように、「みなし失業」を決定してもらえれば、失業保険のスキームで、労働者の方々が直接、お金を受け取ることが出来ます。そして将来コロナが収束したら、また同じ職場で働くことが出来る。

リーマンショックで雇用調整助成金を申請した企業は大丈夫でも、今回初めて申請する企業にとって、まだまだ申請のハードルは高い。休日出勤で対応されているハローワークや労働局の方には大変申し訳ないけれど、雇用調整助成金以外の選択肢を検討してはいただけないでしょうか?

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