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中日ソイロ・アルモンテの思い出

本日の15時頃、突然の悲しいニュースが流れて来てしまいました。
中日がアルモンテ、シエラ、ゴンサレス 、ロメロ 、ブリトーの5選手の退団を発表。
どの選手も活躍を見せたり、何かと話題を残したり寂しい思いは強いですが、特にアルモンテ自由契約にショックを受けた中日ファンは多かったのではないでしょうか。
私も彼の写真をnoteのアイコンに使用しているぐらいのアルモンテファンなので正直言葉を失ってしまいました。

アルモンテは髭がトレードマークのスイッチヒッターで、1年目にはシーズン途中まで首位打者争いも演じ、2,3年目も怪我に苦しめられて少ない試合数ながらも、その中でしっかりと好成績をマークした頼れる助っ人外国人。
1億5000万という年俸で怪我を繰り返し、コストパフォーマンスが良くない点や、股関節や膝、太腿など下半身に次々と怪我を負い、身体の状態が来季戦えるレベルなのか不明な点など、様々な事情を考えると仕方ないのかもしれませんが、やはりとても寂しい思いが強いし、残留して欲しかったという気持ちは強いです。

そんなアルモンテの来日前の出来事から来日後の活躍、彼の素晴らしいエピソードなど、これまでの思い出や彼への感謝の思いを今回noteに纏めました。


MLB時代のアルモンテ

アルモンテはドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴの出身。広島フランスアやオリックスモヤ等も輩出した「ドミニカの東海大相模」と呼ばれる名門セナペック高校を卒業した後、ニューヨーク・ヤンキースと契約を結んでプロ入り。
当時のアルモンテは今のようにガッチリとした体格ではなく、どちらかというとMLB基準で見ると小柄な俊足の巧打者といった感じの選手で、日本時代によく守っていたレフトではなくセンターを多く守ることもありました。

そして24歳でメジャーデビューを果たすと、そこから最初の12打数で7安打4打点という鮮烈なデビューを果たします。しかし、左足の故障もありその後は失速したまま1年目を終えました。
当時のチームメイトにイチロー、黒田博樹、Z.ウィーラーなどがおり、特にイチローからは色々なアドバイスを受け、彼のことは非常に慕っていたとアルモンテは語っていました。

MLB2年目は打率.136に終わり、メジャーリーグでの選手生活は約2年という短い期間ではありましたが、当時からファンに親しまれる良い選手だったそうです。

https://twitter.com/akamiso97/status/1245341708071534592?s=21
https://twitter.com/akamiso97/status/1250058980828864513?s=21


アルモンテはどのようにして来日したのか

アルモンテはその当時からシーズン終了後は毎年ドミニカウインターリーグに参加していました。
MLBでの生活を終え、マイナーやメキシカンリーグを転々としている時もオフのドミニカでの活躍は素晴らしいものがあり、所属チームのアギラスでは常に主軸を担う選手でした。元中日のルナやナニータとクリーンナップを形成したり、後に中日でチームメイトになる又吉克樹と対戦することもあったり、当時から日本に縁がある選手だったのかもしれません。私もこのドミニカウインターリーグでアルモンテの存在を知り、彼のプレーを見ているうちに来日もあるんじゃないかという期待も寄せるようになりました。

https://twitter.com/akamiso97/status/1255860170761973760?s=21

アルモンテにとって転機となったのは来日前年のメキシカンリーグとドミニカウインターリーグでの進化でしょう。徐々に身体をビルドアップさせてパワーをつけていたアルモンテですが、スイッチヒッターながら左投手が苦手で、右打席ではまるで期待できない「なんちゃってスイッチヒッター」でした。

しかしアルモンテは来日する前年の2017年にメキシカンリーグで驚くべき変化を見せ、左投手相手に鬼のように打ちまくります。
その結果標高によって成績のされやすいメキシカンリーグの標高の低い本拠地で打率.355 15本の成績を残しました。そしてその後のドミニカウインターリーグでも、元中日左腕のR.バルデスから本塁打を放つなど右打席が完全に覚醒し、見事本塁打王を獲得。
その活躍を見た中日スカウトが彼の獲得を決め、次のシーズン中日ドラゴンズでプレーすることが決まりました。


中日ドラゴンズでのアルモンテ

アルモンテは前年に本塁打王を獲得した後巨人に移籍したゲレーロの穴を埋めるべく、モヤらと共に年俸5000万円で中日に加入しました。
日本に移籍するにあたり、かつてドミニカで一緒にプレーしたルナやナニータから沢山アドバイスを貰ったと言います。

年俸や知名度がそこまで高くなく、中日ファンはメキシカンリーグには某1人8役助っ人のトラウマもあり、入団当初の期待値はそこまで高くなかったのを覚えています。
開幕戦での不味い守備もあり、「松井佑介と代われ」など様々な声も飛び交いましたが、アルモンテはファンの予想を大きく上回る活躍を見せます。

1年目の3,4月にいきなり打率.359 OPS.994という大活躍で首位打者争いに名前を連ねると、5月には打率.371 OPS1.104で月間MVPを獲得。
とにかく欲しい場面での一打が目立ち、「神モンテ」と呼ばれる物凄い活躍を見せます。
6月以降は膝の怪我もあってやや失速こそしたものの、9,10月に打率.417とスパートをかけ、リーグトップ5にも入る打率.321を残しました。

年俸の大幅昇給を勝ち取って迎えた2年目シーズンでしたが、開幕から不調に陥ってしまい、外国人枠の関係もあって暫く二軍生活となります。
それでも二軍で腐らずにプレーし続けると、夏頃にチャンスが巡って来ます。そこから怒涛の固め打ちで打率を.329まで上げましたが、怪我により無念のシーズンリタイア。打率やOPSは前年より上がったものの、肝心の試合数が少なく悔いの残るシーズンとなってしまいました。

そして3年目、怪我の影響で育成契約という噂も流れましたが、現状維持の年俸1億5000万円で残留します。怪我で開幕に出遅れる見込みでしたが、新型コロナの影響で開幕が延期したことにより、6月の開幕には間に合わせることができました。
しかし6月に日本での自身初となる満塁弾を放つ活躍を見せるも、またしても無念の怪我での登録抹消。

約2ヶ月後、アルモンテは怪我から復帰しますが、今度は不調に苦しみ、一時は打率2割台前半というアベレージで今季限りでの退団も囁かれ始めます。
それでもアルモンテは意地の21試合連続安打と30試合連続出塁で打率を.294まで戻し、NPBで初めてライトの守備にも就くなど、来季の残留に向けて完璧な状態に戻したかと思われました。
しかし、今度は守備中に故障してしまいシーズンが終了。
少ない試合ながら好成績は出しましたが、2年間で111試合の出場に終わってしまい、本日退団が発表されてしまいました。今後の怪我の状態にもよりますが、再びNPB球団での活躍が見られることを祈るのみです。

アルモンテ NPB打撃成績
2018 .321(498-160) 15本 77点 OPS.861
2019 .329(164-54) 7本 25点 OPS.868
2020 .294(214-63) 9本 29点 OPS.847
通算 .316(876-277) 31本 131点 OPS.859


アルモンテの良さがわかるエピソード

アルモンテと言えば髭の長さがやはり有名です。MLB時代は髭を伸ばすのが禁止というヤンキースということもあり、髭なしでプレーしていましたが、ヤンキースを退団した後、運気を高める為に髭を伸ばし続け、日本ではあの髭の長さになりました。そのアルモンテの来日前の髭のない写真のイケメンっぷりがNPB時代とのギャップもあって話題になり、NPBでは1日3回髭をシャンプーしているという話でまた話題を呼ぶなど、凄い髭の持ち主でした。

また、日本人選手との仲の良さが垣間見えるエピソードも多く、他の選手曰くアルモンテの前を通ると物凄く良い匂いがするという情報や、アルモンテが溝脇隼人を見る時の目がうっとりしていて、彼のことが好きなのではないかという噂も流れたこともありました。他の選手だと同い年の阿部寿樹とよく一緒にいることが多く、チームにいることで場が和む選手とも言えると思います。
また後輩のモヤを常に気にかけていて、オリックスに行った際にはアドバイスを送ったり、移籍の手伝いをしたり頼れる兄貴分でもあります。
こういった彼の人の良さもファンに愛された要因の一つではないでしょうか。

アルモンテは今年の9月、新型コロナによって母を亡くしてしまいました。母国に戻るのも困難な状況であり、突然の知らせに物凄く辛い思いをしたでしょう。
ですがアルモンテは「1日だけ時間が欲しい」と1試合欠場した後、翌日にはいつものように練習に復帰し、スタメンで出場して活躍も見せました。
私のような一般人が語っていいようなことではないですが、彼のプロとしての凄さ、精神面の強さは本当に物凄いなと思わされました。
いつも彼には試合でも試合以外でも常にチームは支えられて来たので、本当に感謝してもし切れません。だからこそ本当に退団のショックは大きかった…。

怪我に苦しめられながらも、左打席では天才的なバットコントロールで安打を量産し、右打席では豪快なスイングで広角に長打を放つ本物のスイッチヒッターだったソイロ・アルモンテ。
人間としての良さも含めてまだ中日で見たかった選手ですが、どんな状況であろうと彼の退団後の野球人生を応援していきたいです。
そしてできることならもう一度NPBのどこかの球団でプレーしているところを見たいという思いが強いです。
本当に3年間素晴らしい活躍をありがとうアルモンテ


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