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(2)日本版帰化試験問題 第77問

【アメリカ市民権試験問題】

■第77問 スーザン・B・アンソニーは何をしたか。

(答) 女性の権利の為に戦った、公民権の為に戦った。

【帰化試験問題】

★第77問 明治大正期、積極的に社会事業を行われた女性皇族は誰か。

(答) 昭憲皇太后(皇后)。

【解説】
 アメリカでは、公民権運動は市民として知っておくべき重要な歴史の一部だ。戦後に至ってもこのような運動を経なければ、黒人が対等の権利を持てなかったというのは、日本人にとっても驚きだが、ドイツ(ナチス)は言うに及ばず、南アフリカ(アパルトヘイト)、オーストラリア(白豪主義)、スウェーデン(ナチスばりの優性保護政策)など、民族・人種などで差別をしてきた国は結構あるのだ。中共などウイグル人、チベット人など、いわゆる少数民族に対するエスニック・クレンジングが現在進行中だ。
 女性の権利という点についても、例えばフランスが女性に選挙権を与えたのは日本よりも後であり(戦前の帝国議会でも、女性参政権は議論されており、貴族院の反対がなければ成立していたのだ)、必ずしも日本が遅れていたというわけではない。また女性については、普遍的な権利は当然認められなばならないが、文化的、民族的背景も配慮する必要はあるだろう。イスラムの女性がブルカをとることが女性解放だというのは、イスラムではない人たちの言い草であって、当の女性がそう思わなければ、それを強制することは難しい。
 さて、日本でこの設題に匹敵する人物は誰だろうか。
 明治末に、青鞜社の平塚らいてうが女性解放運動を始めたことが教科書に出て来るが、その後の歴史への影響力を考えると、正直言って今イチだ。
 明治・大正期の女性をトピックに出題するなら、女子教育機関の創設や日本赤十字社の発展など、社会事業振興に貢献された明治天皇の皇后、昭憲皇太后を取り上げるべきだろう。
 国際赤十字委員会では、皇后が下賜された資金を基にして創設された昭憲皇太后基金 “Shōken Fund” を今日に至るまで運用しているのだ。

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