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「カリフォルニアの鉄道廃線跡」の巻

 上の写真、線路がなく道路だけなのに踏切だけがあることにお気づきだろうか(写真はすべて2007年5月25日撮影)。
 勿論鉄道廃線跡なのだが、日本ではこんなに「杜撰」な撤去の仕方は、まぁしないだろう。
 乗ったことのない鉄道に思いを馳せるのも、ひとつの旅情だ。たぶん、ゴールドラッシュの頃に拓けたこの街にとって、鉄道は現代のインターネットと同じ役割を果たしたに違いない。そんなことをしみじみ考えてしまった。
 ここは、北カリフォルニアのサン・ラファエル。小ぢんまりとした静かな街だ。サンフランシスコ、オークランドには混んでいなければ車で30分ほど。よく見れば踏切の左方には、列車がなくなった後の公共交通であるバスのターミナルがある。このういう光景は、日本の地方都市に行っても見られるだろうが、踏切のシグナルなどは流石に残していないだろう。 
 さらに、2枚目に注目。

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 どう見てもこれは駅舎の跡ではないか。線路もしっかり残っている。かなりいい加減だ。ホームは撤去されたのではなく、アメリカの田舎の駅はこんな感じのところも多いので、そのままなのかも知れない。
 鉄道による都市間の旅客輸送が、殆どその役割を終えてしまったカリフォルニアでは、このような、言わば「鉄道遺跡」が再利用されているケースも多い。廃線跡を整備して、観光列車を走らせているところもあるほどだ。ナパのワイン列車に乗ったことがあるが、なかなか楽しかった。
 現存するアメリカの鉄道駅は、日本のようにちゃんとしていないので、こんな感じの駅があっても決しておかしくない。今にも列車が走ってきそうだ、といいたいところだが、走ってきたのはピックアップトラックだった。
 一方、カリフォルニアでは、車に代わる公共交通が見直されている。ずっと市電があったサンフランシスコなどは別にして、ロサンゼルスも、州都サクラメントでも、かつて引っぺがした鉄道線のあとに、そのままライトレールが走り始めている。
 あほやなぁーと思うが、思い切ってそれをやってしまうのは、アメリカだなぁと思う。鉄道復権の日は近い、のかもしれない。

拙ブログ『無闇にアメリカに来てはいけない』より「サン・ラファエル駅跡にて」(2007年09月24日 11:11付)に加筆修正した。

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