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こどもの頃の写真があるということ

今日は5月5日、こどもの日。
私はアイドルファンなので、いろんな媒体で各芸能人たちのこどものころの写真をたくさん目にします。
それを見ると、「ああ、いいご家庭に育ったんだな」と瞬間的に感じる人が多いと思います。

さて、少し前ですが元AKB48で、ジャカルタにわたって大スターになった仲川遥香さん(はるごん)がこのような告白をしています。


アイドルのファンをしていると、まさにアイドルとは偶像なんだなと思うことがよくあります。
その一つが「暖かい家庭で親に愛されて育った」という偶像です。
男女問わず。
「育ちがいい」と言われることもあれば「貧乏だけど仲良く過ごした」と笑いになることもあります。

でも自分はもういい大人なので、経験と知識から、世の中のみんながみんな、親に自分の写真を撮っておいておいてもらえる家庭で育っているわけではないことも、知っています。
こどもの頃に家族との良い思い出があることが当然ではないことも。
貧困や親に愛されないこどもが、すぐそこに存在することも。
ネグレクトを含む児童虐待はすぐそこで起きていることも。
だからといって、そのこどもが成長した今が、不幸だと決めつけられないことも。


実生活で大人が、友達ではないと大人と話をするときには表れない、↓の当然たち。
親に愛されて育ったのが当然
教育にお金をかけてもらったのが当然
結婚したいのが当然
子供をもちたいのが当然
家族仲がいいのが当然
自分磨きをするのが当然
友達がいるのが当然
育ちがいいのが当然
異性愛が当然
恋人がいて楽しいのが当然
健康なのが当然
芸能人、特にアイドルに対して向けられるまなざし、ファンからの、マスコミからのまなざしに、この「当然」は、まま現れる。

毎年この時期、芸能人の方のこどもの頃の写真が出ているのを見ると、冒頭の仲川遥香さんの告白を思い出して、胸が少し苦しくなります。


こどもの写真は、大人が撮っている。
写真を見た人は、撮影したその大人の暖かいまなざしを想像します。
それが自分の推しだとしたら、こどもの頃から周りの人に暖かく見守られて、すくすくと育ってきたということが、嬉しくてありがたくて、家族の方や周囲の方にめちゃくちゃ感謝します(オタクの典型的心理)。


でも、そうではない経験をしてきたアイドルが、「あなたも当然、暖かいまなざしを向けられてきたんですよね」とまなざされることが、負担になりませんように。
そして、大人に暖かいまなざしを向けられなかった思い出のある人たちが、不必要に、辛い気持ちをかかえませんように。

そんなことを、ちらりと思うのです。


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