Vtuberになって1年が経ちました
Vtuberとしてデビュー
Vtuberとしてデビューしたのは昨年の8月。それまで在宅で事務作業に携わっていたが、自分の年齢や将来の事、この先自分が人生の中で何を残せるのか、と言ったことをそこはかとなく考えているうちに、自分が大学で学んだこと、すなわち数学をもっと広めたいと思っていた。
数学はみんなが思っているよりもずっと楽しい学問だということを知ってもらいたい、そのために人生の残された時間をそこに捧げたいと思った。
ちょうどそこにVtuberという流行が重なっていたこともあり、私は自称「数学系Vtuber」としてデビューする決意を固めた。デビュー1ヶ月前の事であった。
初めは手探り
決意を固めたのは良いが、まずは何から始めたらいいのかさっぱり分からない。とりあえず色々調べて「OBS Studio」というソフトが必要なことはわかった。幸いにして無料で使えるソフトなのでさっそくインストールした。
アバターはどうするか。私は絵が下手である。そこでちょうどスマホにインストールしてあった「カスタムキャスト」を使って、自分のイメージに合うアバターを作成した。
ヘッドセットは当時は持っていなかったので、ありあわせのピンマイクと「カスタムキャスト」で作った静止画アバターでとりあえず動画を作ってみた。
出来はお世辞にも良いものではなかった。まず声が聞き取りづらい。後でわかったことだが、マイクのゲインを上げていなかったのである。聞き取りづらくて当たり前だ。
Vtuberを自称しながら、アバターが動かないということに対する批判の声もあった。そこでApowersoftが提供する「ApowerMirror」というソフトを使って、スマホの画面をPC上にミラーリングさせることで、それなりに動くアバターを投影できるようにした。無料でも使えるソフトであるが、そのままだと制限が多くて不便なので、6,000円ほど支払って、永年会員の権利を購入した。おかげでだいぶマシになった。
ヘッドセットも、安物ではあるがそれなりに使用に耐えうるものを購入した。もともとヘッドセット自体は別の用途でも使いたいものだったので、購入して損になることはないと思っていたから、ちょうど良かった。おかげで声も聞き取りやすくなった。
視聴者が増えない
こうして、PC本体のスペックはさておき、少しずつ必要なソフトや機材を揃えながら、コツコツと動画を作成していったが、思うように視聴者は増えなかった。
それもそのはずであった。そもそも数学に限らず「教育系YouTuber」として成功している人はごく一部である。何せYouTubeユーザーに占める教育系動画の視聴者層が薄い。私は既に実績十分な教育系YouTuberたちの中に、何のコネもなく単身で殴り込みをかけたようなものである。ただでさえ少ないパイを、自分に引き付けるなど、よほどのことがなければ無理だったのである。
やけになってエンターテインメント系の生配信もやってみたが、所詮は他人の真似事であった。同接視聴者はほとんどおらず、一人で空しく生配信を終えた。アーカイブはそれなりに見てくれた人はいたようだが、チャンネル登録者数の増加につながることはなかった。
追い風
そんな私に追い風が吹いた。それが下記の動画である。
これは元々は数学と詰将棋の解説で有名な鈴木貫太郎氏が解説していた問題であった。この動画を公開したのち、氏の動画のコメント欄に投稿したところ、爆発的に再生回数が増えた。現時点でおよそ2.3万回再生されている。
同時にチャンネル登録者数も一気に増え、現在約480人のチャンネル登録者を得ることができた。鈴木貫太郎氏さまさまであった。
もっとも、この動画が何度も再生されたことで、自分でも意識していなかった喋り方の癖に気づくこともできた。コメント欄に「『えー』が多い」という趣旨のコメントが多くついたことで、「これは改善していかなければいけない」というポイントの一つに気づかされたのである。視聴者さまさまである。
同志の活躍
もう一つ、私の活動の支えになっているのが「VRアカデミア」や「VR理系集会」といった、Vtuberによる教育普及活動団体の存在であった。志を同じくする仲間がいるというのはそれだけで心強い。チャンネル登録者数が伸び悩む間も、心折れることなく活動を続けてこられたのは、こういった人たちの存在もあった。それが結果的に上記の動画につながったのである。
「教育系YouTuberにはなるな」?
教育系YouTuberとして有名なヨビノリたくみ氏は、昨年の駒場祭の講演で「教育系YouTuberにならない方がいい7つの理由」というタイトルで講演をしていた。教育系動画というのは、視聴者層が薄いというだけにとどまらない。間違ったことを言えないのである。間違ったことを教えてしまうのは教育としては失敗である。これはなかなかのプレッシャーである。
以下、氏が講演で触れていた、「教育系YouTuberになってはいけない理由」を抜粋して紹介する。
視聴者の母数が少ない
ライバルが多い
撮影がシンプルに辛い
ミスが許されない
誰かに嫌われる
生活できない
仕事とプライベートの境目がなくなる
これらを踏まえた上で、以下のような人は教育系YouTuberには向かないとしている。
一人が嫌い
人の悪口が多い
学力に自信がない
行動が遅い
恥を捨てられない
では、どんな人が教育系YouTuberに向いているのか。氏の言葉を引用させていただく。
長い人になると、既に10年近く教育系YouTuber(Vtuber)として活動している人もいるが、私も半年や一年で結果が出るなどとは思っていないし、2年、3年と続けていくうちに、教育系Vtuberの一人として認知される日が来るだろうと思いながら、今日も動画のネタを探すのである。
変化を恐れず、これからも
私の人生に影響を与えてくれた人物の一人をここで紹介させていただく。札幌市を中心に障がい者の就労支援などを手掛けるNPO法人・コミュネット楽創の理事・総務部長、本多俊紀氏である。
本多氏のモットーは「変化は是」である。世の中は常に変化している。その変化についていけないものはやがて淘汰されるであろう。文字通りの意味で「変わらず愛され続けるもの」などない。「変わらず愛され続けるもの」とは、変わっていないように見えるだけで、実はちゃんと時代の変化に対応してきたからこそ愛され続けているのである。
私も今月、大きな「変化」に踏み切った。「ボイスチェンジ」である。1年ほど、ずっと地声で収録してきたが、何かを変えなければこのままマンネリになりかねないと思い、大改革に踏み切った。
幸いにして、ボイスチェンジによるチャンネル登録者数の変化はほとんどなく、今でも私の公開した動画は安定して100回前後、多ければ200~300回再生されている動画もある。
これからも、時代の変化に対応しながら、新しい企画をどんどん打ち出していきます。ぜひともこの数学系Vtuber「圏論のあか☆ねこ」を応援よろしくお願い申し上げます。
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