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出発ⅩⅩⅩⅧ(反旗)

ヒロイックな感情で、僕は旅に出るのではない。皆の英雄になどなれないことくらい、僕もわかっているのだから。ただ、僕はやってみたいのさ。出発というやつを。

猛暑のなか、セミ達は大声で叫んでいる。あいつらはわかっているのだ。自分たちが短命であることを。あれは精一杯、自分の名を叫んでいるのだ。寿命が更に縮まることも恐れず。自分がここにいることを、必死で叫んでいるのだ。

僕だって叫びたい。僕はここにいるんだと。ただ、僕は、セミではない。だから、僕は出発を宣言する。

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