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出発Ⅸ(運命)



   あの時に、もう決まっていたのではなかったか。運命。そうではなかったか。

   人は、雨が降るよりも風が吹くことを恐れる。なぜなら、風はどこから来てどこへ行くのか分からないからである。基本的に、人は「道」というものにこだわり、それを踏み外すまいとする。だが、あいにく僕は基本が嫌いだ。

 最近、僕は瓦解という言葉を使いたがる。破滅でもいい。蚯蚓は嫌だ。雌伏も嫌だ。

  もう、いまのままではどうにもならない。僕には人生の転機が迫っている。機を逃せば、あと数年で僕は潰れてしまうだろう。

僕はドアを見つめる。あの「出発」の象徴を。

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