4.サーブ編

⑴サーブはネットすれすれを狙わなければならない。

↪️結論「ネットすれすれである必要はない」

通説はまずなぜ?と理由を考えるところからはじめなければなりません。ネットすれすれを狙う理由はおそらくレシーバーの手前で落ちるサーブが非常にレセプションしにくいからではないかと思います。結果的にネットにあたってネットインになってもいいですし。あとは極限までスピードのあるサーブを求めるなら、ネットすれすれに飛んで相手コートのエンドラインに突き刺さるようなサーブになるでしょう。そういう意味では、ネットすれすれをイメージしてサーブを打つことは正解と言えるでしょう。

ただ、結局その他のサーブを全て否定してしまうとこの通説もいかがなものかとなってしまいます。

例えば相手コートのエンドラインに上から降ってくるようなサーブも、個人的には有効だと思っています。とくに女子の場合オーバーハンドでのレセプションに苦手意識を持っている選手が多いので、エンドラインを正確に狙って下がってレシーブしなければならない状況を作るようなサーブは充分効果的です。このときアウトのリスクはあっても、ネットに当たるリスクを避けられますしミスを避けたい場合には効果的だと思います。このサーブと前に落ちるスピードサーブの組み合わせは相手のレシーバーを前後に大きく揺さぶられるので、有効だと考えています。

いくら速いサーブでも、どこに飛んでくるかわかってしまえば処理するのは難しくありません。いくつかの選択肢の一つとしてきちんとかけひきに使うことが重要だと思います。

サーブは大きく分けて2種類。①球質で勝負するサーブと、②相手レシーバーの動きをイメージして崩すサーブに分けることをお勧めします。

①球質で勝負する、球質とはスピードと変化です。このとき照準はピンポイントではなく甘めで良いと思います。サイドラインどこでも良い、とかエンドラインの右のほうとか、照準は点でなく線でイメージするのがおススメです。どうせ多少意図しない変化をしますし。サーブやスパイクでは、行方が気になってボールを打つときに頭がボールを追い越してしまい、フォームがゆがんでいる人が多いです。あくまでボールを打ったあと、フォロースルーまで自分のフォームをしっかりイメージして、最後までボールを見て打つことが大切です。

②相手レシーバーの動きをイメージして崩すサーブは、誰にどんな形で触らせるかイメージしてタイミングと、位置を丁寧に狙って打つサーブです。例えば前衛の選手に下がってオーバーで取らせるとか、右後ろに下がりながらアンダーで取らせて後ろにはじかせるとか。この時は必ずしもネットすれすれでなくても構いませんし、スピードも相手選手の動きに合わせたタイミングで構いません。サーブカットがハッキリと苦手な選手がいるようなチームが相手であれば、ミスのリスクの高い①よりもずっと効果的です。

もちろん、レベルが上がれば上がるほど①のサーブの重要性が高くなりますし、より精度も求められるでしょうが、駆け引きという意味では、②のサーブも状況次第で充分効果的だと思います。


⑵大事な場面でサーブミスは許されない。

↪️結論「❓」

まず、大事な場面とは何なのでしょう?試合終盤や、2点差、劣勢などがイメージしやすいですが、チームとしてそれをはっきり定義しなければ、ただの雑な指導になってしまいます。

またサーブミスで無ければ良いのでしょうか?それもまた問題です。ダブルコンタクトやネットタッチなどのミスも嫌なものですし、スパイクミスでも同じことです。

僕自身はミスを恐れることそのものがスポーツにとって望ましい精神状態でないと思っていますので、サーブミスを責めることはしたことがありません。むしろ常にミスして良いから攻めなさいと許しています。

他のプレーでも極力ミス自体を責めるような言い方を避けています。逆にミスを恐れたプレーは叱るようにしています。これはカテゴリーが上がっても基本的には同じ考え方で良いと思っています。完成された選手などいません。選手は常に発展途上です。たとえ最後の大会でも、大会を通じて成長するよう選手には伝えます。僕自身はそういう考え方が好みです。

また、誤った選択をしたときは叱ります。前の選手がサーブミスをして、自分の心理状態が良くないときに笛と同時に焦って打ってネットにかけてしまうなどです。自分の状態を理解して②のサーブをイメージして、結果的にアウトになっていれば、僕は問題ないと思います。それはサーブ以外についても一緒です。自分が慌てているから安易に一番あげやすいところにトスをあげたり、チームメイトの準備ができていないのに、速いチャンスボールをネットぎわに送ってセッターにミスをさせたり、滅多に見られないスーパーレシーブから良いトスがあがったのを、集中していなくてフェイントしてブロックされたり。試合中のメンタルコントロールについては、ある程度できるようになって欲しいので、厳しく叱ることもあります。集中しているかどうかは、動きや表情を見れば評価できますので。そういう意味では集中力の欠けたサーブミスは責められるべきかもしれません。

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