6.トス編

最後はトスです。


⑴低いトスは難しい

↪️結論「低いトスの方が簡単」

低いトスはトスをあげるのも打つのも難しいと思っている人が多いのではないでしょうか。僕は反対に高いトスの方が難しいと思っています。

理由は①高いトスの方が、使う筋力が大きいので正確にあげるのが難しい、②目標を定めにくいと思うからです。

平行トスの方が簡単ですし、慣れればアタッカーも打点を上げやすいので平行トスから練習するのをお勧めします。当然レフト、ライト両方あげることができれば、それだけでブロックもつきにくいですし。

アタッカーによって打点は違いますが、目安はアンテナの頂点よりはボールが上がらないように、アンテナの横を通すイメージでアタッカーの打点に送っていくように練習しています。

このとき、アンテナの赤、白のマークを目安にすること、ネットと平行にボールが飛んでいくこともイメージするといいでしょう。

アタッカーのタイミングの取り方ですが、これもある程度個人差はあっていいですが、右利きの場合、セッターがボールに触る時に左足を置いて残り2歩で踏み込んでいくのをまずは目安にするといいと思います。セッターが慣れてくれば、アタッカーの助走に合わせて、自由にタイミングを調節できるようになると思います。

低いトスの方が簡単ですので、うちはセッター以外も低いトスをまず練習します。要は慣れです。

ついでに高いトス(ハイセット)についても、簡単にコツを。ハイセットはアタッカーが自分のタイミングで助走できる程度の高さは欲しいです。目標を定めにくいのですが、トスの落下地点を決めて、腕と脚、身体全体でバネを作ってそれを縮めて伸ばすように、上げたときに足が地面から離れるくらいしっかり地面を押しながらあげるように教えています。落下地点の目安はサイドラインの上、ネットから1.5m、ちょうどアタックラインとセンターラインのど真ん中が狙いやすいですし、体重を乗せて打つのにちょうど良いくらいだと思います。

ハイセットは身体を真上に伸ばすのではなくて、きちんと両足をセットしてレフトであれば斜め前に、ライトであれば斜め後ろにまっすぐバネを伸ばしていくようなイメージを作ると良いでしょう。レフトとライトでは足を置く位置が違っていいと思います。ハイセットはわかりやすくても、球質の良さが優先です。ライトはボールの前側に両足をセット。かかとがボールの真下くらいでちょうどいいと思います。反復すれば精度はどんどん上がりますので、沢山練習してください。


⑵常に同じ形で相手にどこに上がるかわからないように上げなければならない

↪️結論「もう一歩進んで、別のところに上がるように見せなければならない」

いつも同じ形でを強調する指導者も多いと思います。これもどちらが正しいという問題ではないと思いますが、僕はむしろ、レフトに見えるようにライトを上げるフォームを身につけるよう指導しています。

レフトに見えるために

①ボールの下にギリギリまで入らない

②あごをあげない

を気をつけてください。爪先の上にボールがあるような位置に右足を置くのを目安にしています。レフトにあげるときは額の前でボールを捉えてトスの軌道にまっすぐ腕を伸ばす。このとき、脇を開きすぎて肘が耳の横にあるような、ボールを横から両手で挟むような形になる人がいますが、お勧めしません。ボールの上からの力に負けやすいので高く上がったレシーブなどで精度が落ちやすいからです。脇は閉じ気味にして、ボールを下から支えるように両手をセットし、両手の間は狭く、右手と左手の親指と人差し指の間がほとんど開かないように、力をなるべく加えずに上からの力を前方向の力に変えてやるようなイメージでボールを送りましょう。

ライトにあげるときは最後の瞬間にボールの下に身体を滑り込ませるようにしながら肘を開いてボールを頭の上で受けて斜め後ろにてを伸ばしていく。ジャンプトスであれば、少しだけ前に跳ぶことでこの形を作れます。ライトは距離が近いので、そんなに力もいりません。アタッカーとタイミングを合わせてなるべくスピードの遅いボールを低い軌道で送りましょう。

ついでにオーバーハンドの手の形ですが、僕は、両手の親指と人差し指4本でボールの中心を均等に上下から挟むように指導しています。この時、手のひらの人差し指の付け根の部分が人差し指と親指の先のちょうど中間地点になって、この人差し指の付け根と4本の指先の6点でボールの中心を支えるとオーバーカットなどでもボールが後ろに抜けていくことがなくなります。実際には人差し指の付け根がボールにあたるのはボールをもつパスだけですが。よく聞く三角形はボールを受け止めるときにボールの中心をイメージしにくいからあまりお勧めしていません。

トスはとにかくタイミングとポジションです。特にタイミングを操ることがセッターにとって最重要です。トスの場所は多少ずれてもアタッカーの打点は横にずれるだけですが、タイミングがずれると助走のスピードが落ちて、アタッカーの打点が一気に落ちてしまうからです。

ジャンプトスはこのタイミングを操るために必要な技術です。ジャンプトスは単に高いところからあげるトスではなく、タイミングの早いトスです。アタッカーが早く入っているときは、自分も早くボールを触らなければなりません。だからジャンプするのです。アタッカーが遅れているのにジャンプするのは間違いです。極端な話、遅れたアタッカーにはアンダーハンドで、トスをあげた方がいい時もあります。基本はパスの高さに合わせましょう。1本目のパスが低ければ、タイミングを遅らせて、パスが高ければ、早くしないといけない可能性が高いです。自分が触るタイミングをアタッカーの左足に合わせられるとなおいいと思います。

タイミングを操作する方法には他にもボールをもつか突くかという使い分けもあります。もつというのはできるだけ長くボールに触ること、突くというのはできるだけ短くボールに触ることです。もつ時はボールを迎えにいって一度引き入れて、ボールを出します。難しいようですが、一度掴んで離すをものすごく早くやるイメージです。指全体で、しかもなるべくたくさんの指でボールをキャッチしていきます。

突く時は手をあらかじめ引き入れておいて、伸ばしていく手の指先に当てるだけでボールを飛ばしていきます。指先以外はボールに触れません。なるべく少ない指で、親指と人差し指の4本が基本ですが、極端な話慣れれば右手だけでも、低いトスであれば正確に飛ばせるようになると思います。

さらにタイミングを操作するとき、わざとネットから離すという選択肢もあります。ネットから離せば当然アタッカーに近づくので、早いタイミングでアタッカーが打つことができます。

逆にネットに近づけるとアタッカーから遠くなります。近づけるという選択は基本的にはタブーです。アタッカーから遠くなって、アタッカーが触るまでに時間がかかる上に、ブロックに近づいてしまうからです。ネットぎわで当てて出すという選択は可能ですが、レベルが上がれば上がるほどブロックに捕まりやすくなるでしょう。


以上、通説に関係ないところが長くなりましたがこれでシリーズ終了です。

読んでくださった方ありがとうございます。

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