#40 雪風

今回は2015年4月15日に発売されたスピッツの40thシングル『雪風』を見ていきたいと思います。


草野さんは福岡出身なので雪になじみがなくて、「妄想力をフル稼働させて書いた」と言っています。
すると普段はどうやって書いているのでしょう…笑

でも確かに、これまで冬や雪をテーマにした曲ってなかったですね。
そういう点では目新しい曲と言ってもいいでしょう。



さて、この曲ですが、冒頭では2人でいた頃のことを”僕”が思い返しているような、そういうシチュエーションが想像できるかと思います。

割れた欠片と同じ物を
遠い街まで 探しに行ったね

僕のイメージですが、このフレーズからは、ちょっと遠くまでデートした日に手袋を落としてしまって、それをわざわざ取りに行った…みたいなストーリーが思い浮かびます。

それはサビの”あの日の温もり”というフレーズとの関連があるのですが、そうでなくても何かおそろいのアクセサリーとか、そういったものでもよさそうですね。
ただ、僕は手袋のイメージでいかせてください。


そしてそのサビでは、遠くにいる”君”に語りかけているような”僕”の言葉が印象的です。



ここまでだと単純に別れたカップルかな?というところですが、2番になると事情がもう少し詳しくわかるでしょう。

現実と離れたとこにいて こんなふうに触れ合えることもある
もう会えないって 嘆かないでね
君は生きてく 壊れそうでも


このあたりの歌詞から想像できるのは「死別」ですね。

こういうのは案外死んだ方はケロッとしている…みたいな話、よくありますよね。
まぁ誰も実際に死んだことがないのでわからないはずですが、そういえば死んだ方が悲しくて泣いている、みたいな曲ってそこまで多くないのかもしれないな…と最近気付き始めています。



ちなみに、僕はけっこうファンタジー的なストーリーを描いておりまして。


それは、”僕”が生まれ変わったのは「手袋」だった…というストーリーです。


実はあの探しに行った手袋は結局見つかっていなくて、もしかしたらそれからほどなくして”僕”も亡くなってしまったのかもしれません。

”君”はもう会えない恋人を想ってかなり悲しんだことでしょう。

そんな彼女を心配した”僕”が、どこか街の隅っこにでも落ちたままになっていた片方の手袋に生まれ変わって、風に乗って”君”の元へと戻っていく…

すごく懐しいだろ? 可愛らしいだろ?
あの日の温もり よみがえる
これでいいかな? ダメって言うかな?
雪風の中 問いかけてみる


「これからは手袋として”君”のそばに居てもいいかな?」

それで”君”が立ち直れるなら…


僕の中でこの曲は、「”君”を残して旅立ってしまった”僕”の、精いっぱいの優しさを歌った曲」です。


残念ながらMVがないのですが、サブスクで聴けるのでぜひ。


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