#34 若葉

今回は2008年11月5日に発売されたスピッツの34thシングル『若葉』を見ていきたいと思います。


イントロのこの音はマンドリンですね。
これまでの曲にはなかった音で、なおかつこのマンドリンがいい雰囲気を醸し出しています。

あと、1番はギターだけで、2番からドラム含めいろんな楽器が入ってくる、という構成もいいですね。


”若葉の繁る頃に”というフレーズからして、春の別れの季節が思い浮かびますね。
いや、少し時期がズレてるかな?
どっちにしろ発売日は枯れ葉の時期ですが。

そしてこれがまた切ない…

『冷たい頬』の記事でもこんなことを言ったかと思いますが、歌詞が全体的にただ過去形なわけじゃなくて、後悔というか、暗い感情が入ったような口調になっているんですよね。


1番のAメロ、Bメロの部分では「”君”がいることが当たり前だと思っていたこと」についての後悔が語られていますね。

扉の向こう 目を凝らしても 深い霧で何も見えなかった

というフレーズからは、なんとなく結婚式場の扉をイメージしました。

別に「結婚」につながるキーワードがあるわけではないので、本当になんとなく頭に浮かんだというだけですが。


そしてサビですが、このフレーズが心に刺さります。

つなぐ糸の細さに 気づかぬままで

なんというか…

「失って初めて気付く」とはこのことですね…


で、2番があって、最後のサビがあって終わるわけですが、この曲に関して僕の頭の中では1つのストーリーが描けています。

別れと言っても、ただ別れたわけじゃない。
かと言って、死別したというわけでもない。



僕のイメージとしては、「記憶を失った”君”」です。


なんらかの理由で突然記憶喪失に陥ってしまった”君”。

当然、恋人だった”僕”のことも覚えていない”君”は、面会に来た”僕”に対して「怖い」と一言つぶやいてしまいます。
”君”からすれば知らない人ですからね。


そのときの”僕”のショックはいかほどだったか。

予測できない雨に とまどってた

という大サビのフレーズに集約されていると思います。



3回訪れるサビはすべて歌詞が異なっていますが、最初の”思い出せる”というフレーズだけは共通していますね。


”僕”はすべて思い出せるのです。

”君”が思い出せないだけで。


これってものすごく切ないことだと思いませんか?

ヘタすりゃ”君”が亡くなっているという状況よりも切ないかもしれません。

ずっとそばにいて、今もそばにいる人が自分のことを覚えていないんですからね。


そして”僕”が下した決断…それは、

今 君の知らない道を歩き始める

これが果たして恋愛関係を断つことを意味するのか、それとも”君”に知られていない”僕”としての人生を歩み始めるのか、それは想像次第です。

ただ、なんとなくですが、”僕”はずっと”君”のことを愛し続けるのだろうと思います。希望的観測かもしれませんが、僕にはそんな気がします。

”僕”にはまだあの頃の後悔が残っていますしね。


とはいえ、これは僕の中でのストーリーですからね。
みなさん自由に想像を働かせてみてください。



というわけで、スピッツでも屈指の切ない曲です。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。


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