#23 遥か

今回は2001年5月16日に発売されたスピッツの23rdシングル『遥か』を見ていきたいと思います。


この曲、地味に全部キーが高い。
カラオケで歌うの、めっちゃためらいます。笑

そのせいか、なんだか空に浮かんでいるようなふわふわとした雰囲気を感じさせる曲です。



で、この曲の話ですが、もう論点はこれしかないでしょう。


誰が生きていて、誰が死んでいるか。


とらえ方によっては両方生きているし、また別のとらえ方によっては両方死んでいる…というより、片方が死んでいて、もう片方が後を追う、といった解釈もできそうです。

ですので、ここではあえて結論を出さずに、それぞれの論を支える根拠を並べていこうかと思っています。


まずは上で言った「両方生きている」説。

この説でいくと、

君と巡り合って もう一度サナギになった

”僕”が、そのきっかけを与えてくれた”君”に恋心を抱くようになり、過去の自分に別れを告げて想いを伝えようとする…みたいなところでしょうか。


カギもかけず 旅立つのは 少し怖いけど

というところを見ると、もしかしたら”君”は”僕”の過去を知らないのかもしれません。

だから”僕”は過去の自分を知られるのが怖いけれども、あえてそれも隠さずに素の自分で”君”と向き合う…
そういった覚悟も感じ取れるかと思います。



一方、「両方死んでいる」説。

これでいくならば、自分を変えてくれた”君”を亡くしたことで再び生きる意味を失った”僕”が、崩れていく未来しか見えない自分の人生に絶望して死を選ぶ…という感じですかね。

「丘の上から飛ぶ」という描写が、そこから舞い上がるにしろ、はたまた落ちるにしろ、今置かれている状況から逃れるようなイメージをもたらしますね。


そしてラストのフレーズ、

遠い 遠い 遥かな場所へ

ですが、これも、特に曲の最後でほぼアカペラみたいな感じで終わるので、その通り「物事の終わり」のような雰囲気を出しています。



あとは、

”君”は死んでいるけれども”僕”は”君”を想って生き続ける」という解釈、

それから、

自分を変えてくれた”君”を幸せにできないから”僕”は死ぬ」という解釈、

こういうのも少々無理はありそうですができると思います。



ただ、どんな解釈だとしてもいいイメージでしかとらえられないのがここ。

丘の上に立って 大きく風を吸い込んで
今 心から言えるよ ニオイそうな I love you


これから”君”に想いを伝える場面にしろ、天国で待っている”君”に向けてささやく場面にしろ、思い浮かべる風景は誰でも同じだと思います。

きっと爽やかな風が吹いて、1羽の鳥が空を飛んでいることでしょう。

まぁそこまで合ったらさすがに気持ち悪いですが、とにかくこのフレーズがあるからこそ、純粋な恋愛の歌だとしても、絶望の末の自殺の歌だとしても、同じように鮮やかに彩られた清々しい曲なんだと思います。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。

カオスなMVもぜひご覧になってみてください。


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