#26 ハネモノ

今回は2002年8月7日に発売されたスピッツの26thシングル『ハネモノ』を見ていきたいと思います。


パチンコの部品(?)に「ハネモノ」というのがあるらしいですが、それとは無関係みたいです。
「羽のような生き物」の略で「ハネモノ」というのがこの曲においては本当の意味らしいです。

この曲は静かな1番、賑やかな2番といったところにも注目です。
もっと簡単に言うと、1番と2番では使われている楽器の数が違います。

そういった部分にも耳を傾けながら聴くと面白いかもしれません。



さて、この曲ですが、サビから見ていくと大体のイメージをつかみやすいかと思います。

ささやいて ときめいて
街を渡る 羽のような
思い通りの生き物に変わる


ラノベチックな言い方をすると「転生」ですが、要するに一度死んだ魂が形を変えて生まれ変わる、というイメージでしょう。

そしてこの「転生」しているのが”僕”だと思われます。



例えば”宿題残したまま”というフレーズからは、予定外の死を迎えてしまった感じを読み取れると思います。


絡みついた糸を断ち切って
膜の外に連れ出してやろう

というBメロのフレーズを踏まえると、”僕”には糸でつながっている=付き合っている人がいて、その人を残して自分はどこかへ行ってしまう、といったシチュエーションも想像できるかと。



ただ、2番以降の歌詞を見てみると、そこまで悲しい雰囲気ではないですよね。

むしろ、2人の出会いや過ごした日々を思い出しながらも、次に与えられる運命に期待している感じ。

そして、願わくばまた”君”と関われる運命に期待している感じ。

こういった明るい雰囲気を感じ取ることができるのではないでしょうか。



この前年に9.11同時多発テロがありましたね。

未だにテレビでも流れるあのショッキングな映像を、当時の記憶がない僕でさえも今はっきりと思い浮かべることができます。


あの一件を受けて、草野さんは「音楽をやる意味」について深く考えたらしいです。

そんな折に受けたCMタイアップの依頼。

草野さんが作ったのは、「人々の不安を少しでも和らげることができる楽曲」でした。



思い通りの生き物に変わる
望み通りの生き物に変わる

僕は、こういったフレーズから「大丈夫」というメッセージを感じます。

人を慰めるときって「大丈夫だよ」とか言うじゃないですか。

何がどう大丈夫なのかわからないけれども、とりあえず「大丈夫」。
そう言って少しでも相手を安心させようとするものです。



きっと大丈夫だ、と。

それが草野さんからのメッセージだと読み取りました。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。


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