#36 つぐみ

今回は2010年6月23日に発売されたスピッツの36thシングル『つぐみ』を見ていきたいと思います。


歌詞だけパパっと見たらスピッツだとは思わないですよね。
これにあの声とメロディが合わさって初めてスピッツの曲だと認識できそうな歌詞です。
何が言いたいかというと、それぐらいどストレートなラブソングだということです。


『ホタル』の記事で書きましたが、サビを曲の最初に持ってくるということは、このサビがすべてだという意思表示でもあります。

「愛してる」 それだけじゃ 足りないけど 言わなくちゃ


サビの一部だけですが、昔はあれほど「愛してる」という言葉を使うのに抵抗があった草野さんが、よりにもよって最初のワードに「愛してる」を選ぶというね。

ただ、「愛してる」というワード自体にというよりも、それを伝える行為の重要さの方にスポットライトが当たっているのはおわかりでしょうか?


ここで”つぐみ”という鳥の情報を入れておきますと、この”つぐみ”という名前の由来は口をつぐんでいること。
もっと詳しく言うと、夏場には鳴き声が聞こえなくなることに由来しているようです。

つまりここでは歌詞の通り、「口をつぐんでいるだけじゃダメだ」というメッセージを伝えたいのだと考えることができますね。


もう1つ情報を入れますと、つぐみはいわゆる”鳥目”ではないため、夜になっても昼間とほぼ変わらずに行動をとることができる、という生態があるそうです。

それが表れているのが1番のAメロですね。


普通に歩いていれば夜でも障害物をよけながら歩くことができるつぐみ。

それなのにぶつかってしまった…というのは、文字通り”ありえない確率”ということですね。



もう1つ、最後のサビの直前ですが、こんなフレーズが印象的です。

「愛してる」 この命 明日には 尽きるかも
言わなくちゃ 言わなくちゃ できるだけまじめに


ちょくちょく「好きな人の死」などがテーマになっている曲を見てきましたが、つまりこういうことなんですね。

人間いつ死ぬかなんてわからないからこそ、今思っていることは今言わなければいけない。
それがプラスなことならなおさら。

これまでの曲はどちらかというと失ってから「ああしておけば…」と後悔するような曲が多かったですが、この曲はむしろ失ったときに後悔しないようにしたい、という決意を感じる曲です。


『スカーレット』『ホタル』『スターゲイザー』『つぐみ』…

当たり前っちゃ当たり前ですが、「サビが最初にある曲のサビ最強説」は、今後紹介していくであろう曲も含めてなかなか破られそうにはない説です。


MVはYouTubeで見れますし、サブスクでも聴けるのでぜひ。


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